老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

新藤兼人監督100歳の生き様

2016-11-01 16:34:46 | 戦争・平和
少し前に亡くなった新藤兼人監督。100歳だった。新藤監督に関して今回取り上げるのは、先週の土曜の集会で朝日新聞の記者(論説委員)の方と出会ったのがきっかけである。

京都自由大学というところで自分史講座があり、月下さんという4歳で被爆した方の講演会だった。

私の隣に座っていた朝日の記者加戸さんと、たまたま新藤監督の映画の話になり、私が新藤さんは「徹子の部屋」に出演したとき、「今度は原爆が広島に落ちた瞬間の映像を撮りたいのだが」と黒柳さんに話していたことが気になりました、と言ったところ、加戸さんは「私は新藤監督を長期間取材していました。そのときに新藤監督は原爆が落ちた瞬間の3秒間で大勢の人間が死んだ(1万人以上か)のでその3秒を映像化できないか。私に20億円くれれば撮れるのだが、と言っていました。」

その新藤監督を取材したときの記事を加戸さんは私に送ってくれたので、新藤監督のお話を一部引用する。(朝日新聞の記事「被爆国からのメッセージ2)

「死ぬまでに、映画『ヒロシマ』をつくりたいんです。原爆が投下され、1、2、3秒の瞬間に何が起きたのかを2時間かけて描きたい。」「ふだんと変わらぬ朝を迎えた市民が、太陽よりも強い光に焼かれ、爆風になぎ倒された。目が飛び出し、手足をもぎ取られ、数万人が一瞬で殺された惨劇を映像にし、世界の人に見せたい。そうすれば核兵器への考え方も変えられるんじゃないか。脚本はできているが、製作費の20億円も、撮る体力も、もう僕にはない。」

最後に監督はオバマ大統領の来日予定と来ヒロシマに触れこう語る。

「・・・、できれば『原爆の子』も観てもらいたいね。
市民を実験台にした原爆投下は間違いなく人道上の罪であり、その最終命令にサインしたのが米大統領でした。オバマさんがもし広島に来ることがあるなら広島は『米国が世界で初めて原爆投下した歴史的事実をどう思いますか』と問うべきでしょうね。
彼がどう答えるかが、核兵器の今後を考えていくうえで大きな意味を持つはずです。」

新藤兼人、現役映画監督は100歳にしてヒロシマの実験的な映画化を目指していた。その執念に私は驚く。

核兵器の問題が徐々に国際的な議論として後退しているような印象があるが、実際上核拡散防止条約というものは、拡散している張本人の大国が小国に押し付けている自己欺瞞の上に成り立っている。これでは核戦争の恐怖や核兵器の拡大に歯止めはかからない。

新藤兼人監督のような映画人が、今後は新藤監督の遺言を継承するべきではないのか。朝日の記者との出会いで私はそう思った。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
名無しの探偵
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