老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

世界大転換の予感(1)

2016-11-20 22:28:21 | アメリカ
米大統領選でほとんどのメディア予想を覆し、トランプが勝利した。日本だけではなく、米メディアもほとんど言論機関として用をなしていない事を世界中に示した。

日本でトランプ勝利を予想したのは、キャスター木村太郎と外交評論家田中宇などほんの少数。多くの記者や評論家・キャスターなどが渡米して大騒ぎをしていたが、彼らの予測はほとんど外れた。膨大な費用をかけた割には、お粗末というしかない。

米大統領選の結果の本質は、英国のEU離脱と同じで、トランプ勝利というより反・新自由主義の勝利。具体的に言うと、新自由主義経済の進展とともに、米国社会を蝕んでいる貧困問題・格差問題などが、負け組とされた人間の心理をどのように屈折させ、どのように蝕んでいるかに対する洞察力(想像力)の貧困さに尽きる。

たとえば、今回トランプ勝利の立役者とされる白人貧困層(特に地方在住)の国や社会に対する恨みの深さを完全に見誤っていた、とうより何も分かっていなかった。

彼らは、高学歴ではなく、その生涯を自分の生まれ育った田舎(地方)で過ごす。彼らから見れば、高学歴で田舎を出て、都会で華やかな生活を送っている連中などは、それこそその存在だけで腹がたつ。

それでも、田舎に仕事があり、何とか生活が送れていれば、我慢できる。ところが、グローバル時代などというキャッチフレーズで、安い他国の商品が入り、移民の安い労働力が入り始めると、わずかな仕事も奪われ、賃金も上がらず収入も激減した。それでいて税金だけは高い。

彼らは、俺たちの税金で移民たちが保護されていると考えている。グローバル経済など何の恩恵があるのか、という話になる。彼らの絶望は深い。この恨みがウォール街の金持ちの操り人形ヒラリーに対する反発として結実した。

この心理的メカニズムを考慮の外に置いた大手メディアは所詮1%の勝ち組に身を置いた連中に過ぎないという事を露呈したのである。

では、一体全体、トランプの登場は、世界や日本にどのような影響を与えるのか。

田中宇は、以下のように述べている。
・・「米国の共和党系の論文サイト「ナショナル・インテレスト」は11月9日に「トランプは就任から百日間にどんな新しい外交政策をやりそうか」という記事を出した。その中で「地球温暖化対策パリ条約にオバマが署名したのを撤回する」「オバマ政権がイランと締結した核協約を破棄する」というのに続き「尖閣諸島は日米安保条約の対象地域だと言ったオバマの姿勢を撤回する。尖閣諸島で日中が交戦した場合、米国が参戦するかどうかはその時の状況によって変わる、という姿勢へと退却する(日本を疎外しつつ米中間の緊張を緩和する)」というのが、トランプが就任後の百日間にやりそうな新外交政策の3番手に入っている。
(Donald Trump's First 100 Days: How He Could Reshape U.S. Foreign Policy)
 4番手には「中国を不正な為替操作をする国の一つとしてレッテル貼りし、それに対する報復として米国が輸入する中国製品に高関税をかけ、米中貿易戦争をおこす」というのが入っている。
 尖閣紛争を日米安保の枠から除外して軍事面の米中対立を減らす代わりに、貿易や経済の面で米中対立をひどくするのがトランプの政策として予測されている。
(Yuan slips as dollar recovers but wary over Trump's China intentions)
 米フォーチューン誌は11月9日に「トランプ大統領は最初の1年間に何をしそうか」という記事を載せた。「米国内での大規模なインフラ整備事業の開始」「地球温暖化対策の後退」「税制改革」などの後に、尖閣諸島問題をあげて「トランプの最初の外交試練は中国との間で起きる」と予測している。
 日本の安全保障に米国が全面的な責任を負う従来の体制を拒否するトランプの姿勢を見て、中国がトランプを試すため、トランプ就任後、尖閣諸島での中国側の領海侵犯がひどくなると予測し、これが「トランプの最初の外交試練」になると予測している。
(Here’s What to Expect from Donald Trump’s First Year as President)
 英ガーディアン紙は「トランプ政権下で激動しそうな10の国と地域」という感じの記事を11月10日に載せた。タリバンの要求に応じて米軍が撤退するかもしれないアフガニスタン、親ロシアなトランプの就任におののくバルト三国、NAFTA改定を心配するカナダ、トランプ勝利のあおりでルペンが来春の大統領選で勝ちそうなフランスなどに混じって、オバマ政権からもらった尖閣諸島を守る約束をトランプに反故にされかねない日本が言及されている(北の核の話と合わせ、日韓がひとくくりにされている)。
(Mapping the Trump factor: 10 countries and regions feeling the heat) 」・・・

田中によれば、各国の外交専門誌とも、尖閣問題が重要な問題に浮上する事を取り上げている。オバマ政権に擦り寄ってやっともらった「尖閣諸島を守る」と言う約束がトランプによって反故にされかねない、という話である。

実は、尖閣問題については、トランプだけでなく、ヒラリーもかなり冷淡な姿勢だった。ウィキリークスが暴露したヒラリーの私用メールの中に、「尖閣問題は、日本のナショナリストが火をつけた」という記述がある。ヒラリーの頭の中には、尖閣問題は日本のナショナリスト(石原慎太郎)が火をつけた問題だと言う認識があり、米国にとっては迷惑至極というニュアンスがある。この種の認識は、必ず具体的政策(尖閣問題)に表現される。つまり、オバマの約束を守ってもらうためには、さらなる日本の譲歩が求められたはずである。

要するに、安倍政権が、反中国姿勢を取り続けようとすればするほど、尖閣問題は先鋭化する。そうなると、米国の援助がますます必要になる。ところが、米国は、経済的理由を考えると、中国との関係を先鋭化させたくない。

オバマ政権の姿勢(安保条約の適用内だが、領土問題は二国間関係だから米国は容喙しない)がぎりぎりの限度。それも日本が尻尾をちぎれるほど振ってやっとの思いで勝ちえたもの。その為に日本の国益をどれだけ損ねているか分かったものではない。

尖閣問題は、対中国関係を悪化させ、対中国貿易関係も悪化させている。同時に、尖閣問題は、対米追従外交(隷従外交と言ってよい)をますます強化させる方向に進んでいる。

その典型的事例が、沖縄辺野古基地移設問題。尖閣問題が日本に取って死活的問題ならば、沖縄こそ日本に取って最も重要な意味持つ地域のはず。その沖縄県民の心をないがしろにして基地を建設しても良い事は一つもない。米軍に取っても、地域住民の理解がなく、敵意に囲まれた基地は好ましいものではない。

それでも辺野古移設を強行する安倍政権にとって、尖閣問題の先鋭化は、対中国、対米の外交、中国貿易などの経済問題、尖閣防衛に名を借りた防衛費増加など、日本の軍国主義化の大きな理由になっているのである。

おそらく、この政策は、ジャパン・ハンドラーと呼ばれるアーミテージ、ジョセフ・ナイなど米軍産複合体の代理人たちの指導が背景にある。要は、軍産複合体の利益優先の政策なのである。日本に取って、「百害あって一利なし」の政策だが、産軍複合体にとっては、大きな経済的利益を生み出す政策なのである。

こう見てくると、田中角栄の「尖閣問題棚上げ」が如何に賢明な選択だったか理解できる。同時に、田中角栄が、米産軍複合体に取って大きな障害物だったかも理解できる。ロッキード事件の背景は、小沢一郎人格破壊攻撃に続くものなのである。

トランプ大統領の実現は、かれらジャパン・ハンドラーたちにもきわめて都合が悪い。おそらく、トランプの政策は、オバマ大統領時代とは様相を異にするだろう。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
流水
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世界大転換の予感(2)

2016-11-20 22:27:14 | アメリカ
よく知られているが、トランプはロシアのプーチン大統領を高く評価している。あまり語られないが、この評価、トランプ独自の評価ではない。米誌フォーブスの表紙を飾る世界に影響を与える指導者には、いつもプーチン大統領が選ばれている。それだけ、プーチン大統領の政治力は世界から評価されている。

ウクライナ政権交代、ロシアのクリミア統合などを背景にした米メディア・ネオコンなどを中心とした欧米メディアのプーチン大統領「悪魔化」キャンペーンは、その狙いは対ロシア戦にある。

この「悪魔化」キャンペーンは、たとえばオサマ・ビンラディン、サダム・フセイン、カダフィなどに対して行われ、米国の軍事的侵略の口実になった。現在では、シリアのアサド大統領がそうである。この中でリビアのカダフィを倒したのがクリントンが国務長官時代。その後のリビアの悲惨な状況を見れば、その政策は大失敗であることが良く分かる。

今頃言われ始めているが、リビアのカダフィ大佐は、性格的にはエキセントリックな点はあるが、個人的蓄財や不正は行わず、テントで生活し、国民のためにその生涯をささげていた政治家・革命家だった。その彼を悪魔化し、彼の政権を倒し、彼を死に追いやったのがクリントンだった。

彼女の罪をもう一つ付け加えると、テロ集団ISの創始はクリントンが国務長官時代。専門家によれば、彼女がその創始に関わっているとしている。一言で言うと、クリントン女史は、きわめて強固なネオコンであり、かなりな好戦家である。

わたしは、この事例から見ても、個人的には、クリントンが大統領になったら、対ロシア戦は不可避。おそらく、第三次世界大戦の勃発につながると予想していた。クリントンは米国最後の大統領になるであろうと考えていた。

しかし、予想に反してトランプが勝利した。トランプが大統領になれば、このプーチン悪魔化キャンペーンは、力を失うに違いない。事実、トランプは、習近平やプーチンとも電話会談をしている。田中宇によれば、トランプ・プーチン・習近平による新ヤルタ体制が構築される、と予想している。

さらに、シリア情勢でも、トランプはアサド体制存続を認めている。こうなると、クリントンが国務長官時代に創り出したと言われるISに対する攻撃は、米国とロシアが緊密に連絡して行う事になりそうである。トルコのエルドアンもそれに協力するだろう。中東情勢は大きく動く可能性が高い。

今世界でも日本でもトランプ次期大統領は、差別主義者であり、反民主主義者であるというキャンペーンがなされている。事実、トランプにその傾向がないとはいえない。日本のヘイトスピーチ連中と同じような感性の持ち主だと思われても仕方がない点はある。

しかし、クリントンが大統領になるより、トランプが大統領になった方がはるかに世界は平和に近付く、という点について、欧米メディア・日本メディアは書かない。ウクライナ危機を通して、NATOと米国対ロシアの危機はそれだけ深刻なのである。ウクライナ危機やクリミア問題では、日本のメディアでは、プーチンが一方的に悪者にされているが、この危機は、米国のネオコンが仕掛けたもので、その実行者はウクライナ国内のネオナチだった。

ヤヌコビッチ前大統領の時、その退陣を求めるデモは半年以上にわたっており、多くの泊まり込みの若者たちが活動していた。貧しいウクライナ国民が、どうやって半年以上にわたって仕事もせずに泊まり込みのデモができたのか。その資金はどこから出たのか。世界中に吹き荒れたカラ―革命の現場でも同じような事が起きていた。

ウクライナの答えは簡単。次期政権の有力閣僚や政策決定に誰がどうかかわっているか。米国ネオコンのビクトル・ヌーランドの役割を考えれば、すぐ分かる。ウクライナの政変を通じて、クリミアのロシア海軍基地撤収などを画策。こうすれば、ロシアの地中海の出口はなくなる。対ロシア戦で非常に有利になる。

それに対してプーチンの行動は素早かった。クリミア住民の住民投票の結果を踏まえて、クリミアをロシアに併合した。欧米各国は力による現状変更だと非難しているが、プーチンは曲がりなりにも住民投票という民主的手続きを経ている。

それに比べ、米国のやり口は、常に民主義的手続きを経た政権(エジプトのモルシ政権、イラクのサダム・フセイン政権、リビアのカダフィ政権、ウクライナのヤヌコビッチ政権、シリアのアサド政権など)をアサド政権を除き、デモや内乱などを経て倒している。米国が民主主義国家で民主主義の原理を忠実に守っているのなら、民主的手続きを経た政権をこのような形で倒すはずがない。

シリア情勢を考えて見よう。シリア国内で空爆している国は、米国・イギリス・フランスなど欧米各国。トルコ、ロシア、シリア政府。よく見て見ると、シリア政府の要請を受けているのは、ロシアのみ。他の国はどこもシリア政府の要請を受けていない。

その国の政府の要請も受けていないのに、その国を空爆するなど、国際法違反と言われても仕方がない。もし、米国と関係の良い国にロシアがその国の要請もなしに空爆をしたらどうなるか。「国際法違反」だとして、国連だけでなく欧米メディアが大騒ぎをしたに違いない。しかし、同じ事を米国がやればそれが通る。要するに、米国と言う国は常に「ダブルスタンダード」で行動してきたのである。

しかし、そうは言っても、誰が見ても国際法違反のやり口を力任せに押し通す事は米国といえども簡単ではない。その為に創り出されたのが、「悪魔化作戦」である。イラク戦争前のサダム・フセインに対する「悪魔化」キャンペーン。リビアのカダフイに対する「悪魔化」キャンペーン。相手は悪魔だから、多少の法令違反は許される、という論理である。この事を裏から見れば、誰かの「悪魔化」が始まると、その国に対して米国が戦争を仕掛ける、という事になる。

ロシアのプーチン大統領に対する欧米メディアの「悪魔化」キャンペーンを見れば、ロシアとの戦争近し、と見るのが普通である。プーチン大統領の凄さは、冷静沈着に抑制的にこの仕掛けに対して対処している所である。

クリミアの編入は、ロシアの安全保障の死活的問題なので、強引な強権的手法を使っているが、その他に対しては非常に抑制的に対応している。それでいて、核兵器発言やモスクワ市のミサイル攻撃対応完成発言など、着々と最悪の事態に対する用意も行っている。米ネオコン連中とNATOの好戦派連中の短兵急のやり方とは一線を画している。

日本ではトランプがプーチンを評価しているのを問題視する馬鹿な評論家連中もいるが、上記の事を考えれば、トランプの評価はきわめてまともである。ヘンリー・キッシンジャーの評価もこの文脈に沿って、トランプを評価している。この「まとも」な見方ができなくなっている所に、日本の危機的なメディア情況がある。

キッシンジャーの論理は、トランプの論理を上品に論理的に語っていると思える。少し見て見よう。

 ・・・・「第2次大戦後に現れた世界は終わろうとしており、多くの国々の関係を再定義する必要に迫られている」
「多くの同盟関係はソ連が大きな脅威だった時代に生まれたものだ。今、新しい時代において脅威の内容は違っている。それだけ取っても、すべての同盟は再考されなければならない。新しい現実に立ち向かうため、前向きな意味で再考すべきだ、ということだ」
「指導者たちは執務室で同盟の評価を重ね、その評価を基礎として(同盟を)修正しなければならない」
「「「米中戦争」の可能性を否定するところから始めるべき」
「我々は他の地域の国々を理解しなければならず、彼らの意思決定についても思いを寄せなければならない。言い換えれば、米国によって彼らの意思は決められない。それは米国にとって新しい経験といえる」
「(各国間の)交渉で、それ(ルール)も修正されなければならない」 ・・・・日経新聞11月13日朝刊P.9]

笹井さんが、主張されているJapexitそのものである。冷静に世界情勢を眺めれば、もはやかってのような米国の一国覇権主義的方法論は通用しない。と言う事は、アメリカ追随主義(隷属主義)も時代遅れになっているのが世界の趨勢。まず、自分たちの立ち位置をきちんと掘り下げる事からしか、真の意味での自立は不可能である。

以前にも書いたが、外国人が見つけ出し、高く評価するクール・ジャパンは、日本の職人技、物事に対する真摯な取り組みなど、自らの立ち位置を掘り続けたものが多い。「井の中の蛙かもしれないが、日本での課題を掘り続けていれば必ず世界と交わる」と書いたのは吉本隆明だが、彼の思想の骨格が、「自立の思想」というのも興味がある点である。笹井さんのいうJapexitに相通じる思想である。

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流水
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世界大転換の予感(3)

2016-11-20 22:21:03 | アメリカ
トランプについて語る時、TPP離脱を語らない訳にはいかない。トランプは選挙中TPP離脱を明言している。この選挙公約を破るわけにはいかないだろう。というのは、トランプのTPP離脱は、新自由主義的経済の進展に歯止めをかける、というトランプの経済姿勢の象徴でもある。

彼の支持層の中核である貧困な白人層(田舎在住)を救うという彼の経済政策はきわめて実現が難しい。それでも、貧富の格差是正や大企業のみが肥え太る経済政策の是正は、トランプのレーゾンデートルである。成功、失敗を問わず、この政策はどうしても実行しなければならない。

日本にとって、このトランプの政策は、それこそ「奇跡」に近いものである。IWJなどで何度も指摘されているように、TPPは国の姿を決定的に変える可能性がある「悪法」そのものである。何度も言うが、TPPは企業(コングロマリット)が国家の上に君臨する仕組みである。同時に、今や不可能になりつつあるパックス・アメリカーナ(アメリカ一国覇権主義)を維持しようという目的の条約である。

その為、国会で有名になった「海苔弁」のような真っ黒に塗られた書類が象徴するように、交渉過程も交渉内容も秘密のベールに包まれている。その結果に最も影響を受ける大多数の国民は一体全体どんな条約なのか、何が良くて何が悪いのか、ほとんど理解できていない。おそらく、国会議員の大半も理解できていないはずである。

こんな条約を問答無用の強行採決をする自民党も公明党もそれに賛同する維新の党も、骨の髄からの反国民政党だと言わなければならない。右翼連中がしばしば口にする「売国奴」そのものである。

幕末に結ばれた日米修好条約などの不平等条約改正に明治時代全ての外交努力が傾けられた事を想起しなければならない。今回の条約は、それ以上の反国民的内容が含まれている。その意味で、トランプの登場は、日本に取って、ある種の「福の神」だった、と言わねばならない。ただ、トランプがいつまでも日本にとっての「福の神」であるという保証はない。

安倍晋三が取るものも取りあえずトランプに会いに出かけた。宗主国の政権交代に慌てて貢物を持って挨拶に出かける「朝貢外交」そのもの。恥ずかしい、というのが普通の感覚だろう。

通常の外交感覚ならば、APECでオバマ大統領に会い、8年間の労を労い、感謝の意を伝えるのが最初。その後、トランプに会うのなら、まだしも理解できる。それを喜び勇んでトランプに会いに行く。それも、トランプ側は娘家族など多数おり、安倍側は安倍首相などほんの数人。外交の場での人数の公平原則など何もない。こんな外交をしてはならない。

そんな外交を目の当たりにしながら、安倍の提灯持ちの評論家(田崎や元毎日新聞の山口など)は、安倍とトランプは馬が合うとか、世界の首脳でで最初にあったのが安倍首相とか、こちらが恥ずかしくなるようなごますり解説をしてのけている。

安倍首相がトランプと会っていたその頃、ドイツのメルケル首相はオバマ大統領と会っていた。彼女は、トランプに反差別などの世界の共通の価値観を共有するように釘を刺していた。

本当の政治家は、自らの政治信念・政治思想を簡単に捨て去る事はしない。自らの理想・信念を現実政治の文脈の中でどのように実現するのかを徹底的に考え抜き、実行していく。現実主義者とはそういう人を指す。

その場その場の関係や政治情勢の変化でくるくるとその立場を変えるのは政治家とは言わないし、現実主義者とも言わない。ただのご都合主義者である。日本メディアはそれを持ちあげほめそやす。メディアの退廃ここに極まれり、と言ってよい。

まだ発足していないトランプ体制だが、良きにつけ悪しきにつけ、世界に大きな変革を与えそうな予感がする。一言でいえば、「トランプ政権下で米国の単独覇権体制が崩れ、多極型の覇権体制の構築が進むことになる。トランプが大統領になる意義はそこにある。」(田中宇)と言う事になるだろう。

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