老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

日本は民主主義の国といえるのか

2021-07-05 14:00:47 | 民主主義・人権
この時期になっても五輪開催について先が見えず、やきもきしているとは思わなかった。

オリパラ開催国側の責任者たちは今日に至るまで「安心・安全」と公の場で毎回念仏のように唱えているが、具体的な対策は直接示されないままだ。「安心・安全」どころか、事前合宿を受け入れる段階でバブルが簡単に壊れると早くも証明されてしまったではないか。

日本で生活していると、通勤がどうしても必要な人にも定期的な検査がなく、公共交通機関や職場で誰が陽性なのか皆目見当がつかないがゆえに無用な心配をしながら暮らすことは、もはや当たり前になってしまっている。しかし、世界の人たちはそれを認めるだろうか。

上下水道の完備など公衆衛生上のインフラが十分に整備されており、罰金などのペナルティが課されなくてもマスクは可能な人はほぼ全員が着用し、(主に視力矯正目的での)眼鏡の着用者も多いというように、感染症を防ぐための好条件が日本にはそろっている。

しかし、徹底検査で陽性者を早期発見しなかったことが原因で職場や学校、家庭内へと感染の連鎖を断ち切れずに蔓延させてしまった。

また、日本では身の回りに陽性者が見つかったにせよ、検査を受けられるのは一定の条件を満たした人に限られる。国外に住む筆者の知人たちは一様にこの点を不安視している。首都圏であれば個人で検査にアクセスすることが可能ではあるが、受検の際に30ドル前後費用がかかるというと、もはや全員が言葉を失ってしまう。

国内でも「ザル」と評される空港検疫をはじめ、一年間で公的な制度面が整えられていない事実が、新興感染症などなかったことにしたいという逃げ腰の姿勢を反映しているようにしか見えない。

こうした現状でも、個人の行動変容で可能な限り感染連鎖を防ごうと辛抱強く努力しているが、感染しない/させないための公的なバックアップがない事実は、国外の人には到底受け入れられず、むしろ日本の人たちが気の毒だと心配されるのではないか。

国外からの懸念と不安や恐怖が、オリパラへの出場辞退、あるいは選手の派遣見送りという行動で明確に表明されれば、今からでも考えを改める可能性がある。国内でもJOCの名誉顧問を務める人物が大会開催への懸念を示している。決して無視することはできないだろう。

しかし、何よりも無視してはいけない声がある。私たちは今現実に起きている悲劇をすでに予測して、暴走を止めるように訴えてきた。このコラムで以前に紹介された、宇都宮健児さんが呼びかけている署名はさらに賛同を集め、現在では44万筆に達している。報道機関による世論調査でも、開催する系の選択肢をいくら増やしても過半数の回答者が「中止」を選んでいる。

五輪中止を求める署名は35万筆に達した時点で開催都市である自治体に提出をしているものの、何かしらの応答は今のところないようだ。

文字通りの先が見えない状況が続いてしまっているが、この現状を打破するのは鶴の一声や外圧でなく、それこそ日々を命がけに生き抜いている市民の声であってほしい。

「護憲+コラム」より
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気候変動の話(その四)気候の防衛に何が出来るか?

2021-07-05 10:40:50 | 社会問題
飛行機利用を減らす・運転を減らす・肉を食べるのを控える。このような個人ができる消費の抑制でもって、地球レベルの気候変動に果たして効果があるものなのか?一連の見かけの気候変動に関する神話に目を向けてみたい。(DeutscheWelle、2021年7月1日)

中国と米国が二大放出国であることを念頭に置いて、多くの人は自身に問いかける。個々人が二酸化炭素排出を減らすため制約した生活を送ることで実際どれだけの違いが生まれるのか、と。

そんな努力は大して効果はない、という人がときにいる。しかしドイツで活動する気候研究者のStefan Rahmstorf氏はこの議論は合理的ではないという。

“生態学的足あと(Ecological Footprint)”

人々の個人的な貢献を考えていくには、一人当たりの排出分を相対化してみせることが必要である。2019年、米国は一人当たり15.52トン排出している。中国は一人当たり8.12トン、ドイツは8.5トン。世界平均は一人当たり5トン未満である。

この絵柄は一個人あたりの生態学的足あと(Ecological Footprint:一個人が必要とする資源を生産するのに必要な土地の大きさを表す測定単位)にも反映される。その基準には、消費する食料の由来と種類、および消費財の移動性と生産条件が含まれる。米国では平均一人当たり8グローバルヘクタール(Global Hectares)、ドイツでは4.7、中国では3.7である。

ドイツ・中国・米国の数値をみて、生態学的足あとの数値がそれほど大きくはないと考えて、他人に気候の防衛方策を委ねるのは賢明ではない。中国人一人当たり8.12トンだが、人口を勘案すれば、やはり中国は群を抜いて温室効果ガスを出している国である。

生態学的足あとの世界のリスト(単位:グローバルヘクタール)
    カタール        14.7
    ルクセンブルグ     12.8
    UAE          8.9
    バーレイン        8.7
     トリニダード&トバゴ   8.2
    カナダ          8.1
    米国           8.0
    オーストラリア      7.3
     エストニア        7.2
    デンマーク       6.9
    ドイツ         4.7
    中国          3.7

行動すべき責任を持つ人間は当然、米国と中国の2大排出国の人に限定されるものではない。“地球の平均気温を1.5℃以内に保持することが求められている。そして全排出量の半分以上が2大排出国以外の残りの国々から排出されている事実を考えると、2大排出国を含め世界の全ての国が行動に参加することが求められている。”

“市民の生活からの寄与”

ドイツの一人当たりの二酸化炭素排出の大きさからすると、個人の資源の使い方の問題は政治の問題でもある。2020年にドイツで排出された計算上7.4億トンの温室効果ガスのうちの約0.9億トンが市民の生活(家庭内での冷暖房・調理・照明等)からの寄与分である。

ドイツでは消費者が節エネ意識を高めるのに手助けとなる手段をいろいろと考えている。その一つが連邦環境エージェント(The Federal Environment Agency)の二酸化炭素計算器である。

”肉の消費と飛行機旅行”

この計算器を使ってBrandenburg大学チームが計算すると、冬季のビル内温度設定を1℃低くすればビルの熱エネルギーの6%が節約できる。

市民の家の電力節約も大きな力を秘めている。個々人の電力消費を意識的に減らせばドイツで年間ほぼ0.15億トン(約120億ドル)の二酸化炭素放出を減らせる可能性を持っている。

去年1年で1.46億トンの温室効果ガスを排出している移動手段・方法の分野も節約の可能性を秘めている。

食料も重要な分野で、もしも肉の消費を現在の一人年88kgから46kgに減らせば二酸化炭素排出を0.15億トンから0.08億トンにすることが出来る。

“無気力と権限付与”

肉をあきらめること、オートバイに乗ることをあきらめることは、持続可能性と気候保護の戦いに違いを生みださせるものなのか?事実を見れば個々人の貢献努力は有効であり、目の前に立ちはだかる大きな二酸化炭素放出分の壁に対して、かかる努力を必要以上に卑下し卑屈になる必要はない。

しかし、もし個々人の貢献の手段方法に政治的な力を持たせ、結果として社会に意義ある変更をもたらしたいと考えるのであるならば、個々人の貢献の手段方法に個性ある内容を持たせる必要がある。

ノルウェーのCICERO気候研究機関のRobbie Andrew氏は、最も有効なやり方は個々人の手段方法が社会にとっても大切な問題であるという点を政治家と共有して行くために、政治家と議論をしていくことだと述べている。

“選挙の投票権が有効ならそれを使えば良いし、又は経済的な手段(換言すれば市民が何を買い、何を買わないか)が有効ならそれを使えば良い。個人個人の議論の論点に合理性があるのなら、おのずと社会に見えてくるものである”という。

世界の足跡ネットワーク(The Global Footprint Network)の代表Mathis Wackernagel氏は、”気候保護活動は我々自身を保護するものであり、中国に任せる米国に任せるという問題ではない”と言っている。個人個人の賢い選択と振る舞いが、より良い将来の道を切り開いてゆく。

「護憲+BBS」「 メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
yo\chan
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