働き方改革関連法ノート

厚生労働省の労働政策審議会(労政審)労働条件分科会や労働基準関係法制研究会などの議論に関する雑記帳

裁量労働制 新厚生労働大臣見解

2018年10月08日 | 裁量労働制
新厚生労働大臣に根本匠議員が就任し、2018年10月3日(水)に新大臣による記者会見が行われました。

10月3日・記者会見での質疑では、次のように記者の質問に答える形で裁量労働制などに対する根本匠大臣の見解が述べられていますので、厚生労働省ホームページより抜粋して引用します。

裁量労働制について
記者:先ほどの前大臣の話でも、働き方改革法案を含め、法律が成立した後、施行していくことが大事だというお話がありました。働き方改革法案の、特に問題となりました高度プロフェッショナル制度の詳細については、まだ省令改正などもできておりません。今後どのように進めていくのかというのが一点です。

あと、働き方改革の中で、裁量労働制の問題が、先ほどもありましたデータ問題などで抜け落ちまして、再度調査などをやり直すことになっております。今後、大臣としては裁量労働制の拡大はどのようにお考えか見解をよろしくお願いします。

大臣:働き方改革法案が成立したことは皆様ご存じかと思いますが、長時間労働の是正、そして多様で柔軟な働き方の実現、これが高プロです。そして、雇用形態に関わらない公正な待遇の確保、これらがメインであり大きな柱となっています。これについては、今、まずは働き方改革推進法の周知徹底を図らなければいけないので、都道府県労働局あるいは全国47都道府県に設置した働き方改革推進支援センターを通じてしっかりと周知をする。そして、経済団体と連携して説明会や会合などの機会を活用して、しっかりとその内容も含めて、丁寧な周知をおこなっていきたいと思いますが、法律は制定して、その法律を受けた政令や省令や運用という具体的な制度設計になるので、そこは今、最初に申し上げた大きな3本の柱の措置について具体的に設計して、それを周知していく対応をしております。

それから、裁量労働制は、要はデータについて、国民の皆様に裁量労働制の改正について疑念を抱かせることになってしまったことは、大変遺憾に思いますし、残念でありました。その意味では、仕切り直しで、公的統計としての優位性や信頼性に関わる問題点を真摯に反省して、そして今改めて、現行の裁量労働制の実態を正確に把握するための新たな調査をきちんとした適切な設計をした上で、制度改革案の検討につなげていく必要があるので、まさしく統計学者や労働経済学者、労使関係者を含む専門家にお集まりいただいて、新たな調査の設計を行うための検討会を立ち上げたところです。年内を目途に調査設計の議論の整理を行いたいと思います。その上での対応です。

*「大臣としては裁量労働制の拡大はどのようにお考えか」との記者の質問に対し「そのうえでの対応」とし、裁量労働制の拡大については明確に応えていません。

記者:大臣としては、裁量労働制を拡大する必要があるとか、そうでないとかお考えはございますでしょうか。

大臣:私は、裁量労働制は、やはり裁量労働制にふさわしい職種、対象の業務の問題だと思います。そこをしっかりと精査して、必要な制度設計を行っていくということだと思います。

*裁量労働制の拡大については明確な見解が述べられなかったので、記者が再び「裁量労働制を拡大する必要があるとか、そうでないとか」と聞き方を変えて質問しています。必要かどうかについても「職種、対象の業務の問題」として拡大が必要かどうか、再び明確には答えていません。

しかし「職種、対象の業務の問題」と述べた後に「必要な制度設計を行っていく」としていますので、裁量労働制拡大の必要性については明確に回答していませんが、裁量労働制の制度設計見直しを行い、裁量労働制の職種・対象業務の拡大をしたいという意図は隠しきれていません。


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