9月30日にマンションの廊下でこんなハムシを見つけました。
前胸背板後縁に沿って深い溝があるので、カミナリハムシの仲間であることは間違いないと思うのですが、カミナリハムシ属 Alticaにはいろいろな種がいるので一度検索をしてみようと思いました。種の検索には次の論文の検索表を用いました。
S. Kimoto, "The Chrysomelidae of Japan and the Ryukyu Islands. X Subfamily Alticinae III". J. Fac. Agri., Kyushu Univ. 13, 601 (1966). (ここからダウンロードできます)
①a 上翅には肩と同じレベルに位置する鋭い縦隆起線が側縁に沿って存在する;背面は細かいサメ肌状で、点刻は退化している;金属的な緑青色;体長4.5-5.6mm latericosta latericosta
①b 上翅には明瞭で鋭い縦隆起線がないか、ある場合には弱く隆起するのみ
②a 上翅の点刻は痕跡的にあり、間室は細かいサメ肌状;金属的な緑青色;体長4.0-5.5mm latericosta subcostata
②b 上翅の点刻は明瞭
③a (前胸背板)基部前の横溝は側面に1対の短い縦溝か窪みがある;青や緑がかった光沢のある黒;体長は3.5-4.5mm nipponica
③b (前胸背板)基部前の横溝の側面には短い縦溝か窪みがない
④a 上翅表面は滑らかで光沢がある
⑤a 触角第3節は第2節とほぼ同じか、少し長い程度 circaeae, himalayensis japonica, caerulescens
⑤b 触角第3節は第2節のほぼ2倍の長さ;黒みがかった青から紫青色;体長は4.8-5.5mm cyanea
④b 上翅表面は明瞭にざらざらしているか皺がよる
・・・
途中までですが、検索はこんな感じに進んでいきます。検索の結果、カミナリハムシ Altica cyaneaになったのですが、その過程を写真で確かめていきたいと思います。
まずは全体像です。体長は5.7mmでした。この写真では上翅に光沢があって、黒みがかった青から紫青色であることを確かめます。
次は横からです。「上翅には肩と同じレベルに位置する鋭い縦隆起線が側縁に沿って存在する」というところで、以前、間違ってしまってlatericosta latericostaにしたことがありました。確かに側縁に沿って鋭い縦隆起線があるように見えます。
その部分の拡大です。ただ、この縦隆起線は上翅と上翅側片を分ける隆起線で目的とする縦隆起線とは異なるようです。それで、これは①bの方を選択します。
この写真は上翅を拡大したものですが、点刻は明瞭です。それで、②bを選択します。
これは前胸背板を拡大したものですが、後縁前方の横溝の側面に縦溝も窪みもありません。それで、③bを選択します。
④aはさっき確かめたので、残る⑤の触角の第3節と第2節の長さの比較です。実際に測ってみると、第2節をどこまで測ったらよいのか分からず、長めにとると、第3節の長さ/第2節の長さは1.65倍になりました。でも、⑤aとは全く異なるので、ここは⑤bを選び、カミナリハムシcyaneaになりました。
ついでに撮った写真で、これは顔面です。属の検索表でカミナリハムシ属に至る部分の検索項目を一部載せています。触角の基部間距離が第1節の長さより短いところがヒゲナガハムシ亜科の特徴で、また、前頭隆起の前角は触角間室に伸びないのはカミナリハムシ属の特徴です。
次は前胸背板を横から撮ったものですが、後縁前方の横溝が側縁まで届いていることが何となく分かります(矢印)。
ということで、どうやらカミナリハムシでよさそうです。今年はマンションの管理組合の役員をさせられていて、虫を調べる暇がまったくありません。それで、久しぶりの虫調べだったのですが、調べると少しずつ分かっていくところが楽しいですね。
前胸背板後縁に沿って深い溝があるので、カミナリハムシの仲間であることは間違いないと思うのですが、カミナリハムシ属 Alticaにはいろいろな種がいるので一度検索をしてみようと思いました。種の検索には次の論文の検索表を用いました。
S. Kimoto, "The Chrysomelidae of Japan and the Ryukyu Islands. X Subfamily Alticinae III". J. Fac. Agri., Kyushu Univ. 13, 601 (1966). (ここからダウンロードできます)
①a 上翅には肩と同じレベルに位置する鋭い縦隆起線が側縁に沿って存在する;背面は細かいサメ肌状で、点刻は退化している;金属的な緑青色;体長4.5-5.6mm latericosta latericosta
①b 上翅には明瞭で鋭い縦隆起線がないか、ある場合には弱く隆起するのみ
②a 上翅の点刻は痕跡的にあり、間室は細かいサメ肌状;金属的な緑青色;体長4.0-5.5mm latericosta subcostata
②b 上翅の点刻は明瞭
③a (前胸背板)基部前の横溝は側面に1対の短い縦溝か窪みがある;青や緑がかった光沢のある黒;体長は3.5-4.5mm nipponica
③b (前胸背板)基部前の横溝の側面には短い縦溝か窪みがない
④a 上翅表面は滑らかで光沢がある
⑤a 触角第3節は第2節とほぼ同じか、少し長い程度 circaeae, himalayensis japonica, caerulescens
⑤b 触角第3節は第2節のほぼ2倍の長さ;黒みがかった青から紫青色;体長は4.8-5.5mm cyanea
④b 上翅表面は明瞭にざらざらしているか皺がよる
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途中までですが、検索はこんな感じに進んでいきます。検索の結果、カミナリハムシ Altica cyaneaになったのですが、その過程を写真で確かめていきたいと思います。
まずは全体像です。体長は5.7mmでした。この写真では上翅に光沢があって、黒みがかった青から紫青色であることを確かめます。
次は横からです。「上翅には肩と同じレベルに位置する鋭い縦隆起線が側縁に沿って存在する」というところで、以前、間違ってしまってlatericosta latericostaにしたことがありました。確かに側縁に沿って鋭い縦隆起線があるように見えます。
その部分の拡大です。ただ、この縦隆起線は上翅と上翅側片を分ける隆起線で目的とする縦隆起線とは異なるようです。それで、これは①bの方を選択します。
この写真は上翅を拡大したものですが、点刻は明瞭です。それで、②bを選択します。
これは前胸背板を拡大したものですが、後縁前方の横溝の側面に縦溝も窪みもありません。それで、③bを選択します。
④aはさっき確かめたので、残る⑤の触角の第3節と第2節の長さの比較です。実際に測ってみると、第2節をどこまで測ったらよいのか分からず、長めにとると、第3節の長さ/第2節の長さは1.65倍になりました。でも、⑤aとは全く異なるので、ここは⑤bを選び、カミナリハムシcyaneaになりました。
ついでに撮った写真で、これは顔面です。属の検索表でカミナリハムシ属に至る部分の検索項目を一部載せています。触角の基部間距離が第1節の長さより短いところがヒゲナガハムシ亜科の特徴で、また、前頭隆起の前角は触角間室に伸びないのはカミナリハムシ属の特徴です。
次は前胸背板を横から撮ったものですが、後縁前方の横溝が側縁まで届いていることが何となく分かります(矢印)。
ということで、どうやらカミナリハムシでよさそうです。今年はマンションの管理組合の役員をさせられていて、虫を調べる暇がまったくありません。それで、久しぶりの虫調べだったのですが、調べると少しずつ分かっていくところが楽しいですね。
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