廊下のむし探検 第40弾
6月25日に久しぶりに公園に行って運動でもしてこようと思って、出かけるついでにマンションの廊下もちょっとだけ歩いてみました。そこで見つけた虫たちです。
こんなコガネムシがひっくり返っていました。ついでだから腹側を写しておきます。
表側も写しました。たぶん、シロテンハナムグリあたりかなと思ったのですが、「日本産コガネムシ上科標準図鑑」に載っている検索表で調べてみました。
①中胸腹板突起は平らで、うちわ状から横長の楕円形
②前胸背板の後縁中央部は顕著に湾入する;後基節は腹面中央で接する シロテンハナムグリ属 Protaetia
③中型(20mm前後)で、翅端は少し突出するか突出しない
④前脛節は被覆物を欠く;♂交尾器は左右の側片が少なくとも基半部では接する
⑤♂は腹部腹板中央が幅広くへこむか平坦
⑥中脛節・後脛節の外縁には2段刻がある
Calopotosia orientalis, lewisi(沖縄、渡嘉敷島・・・)
Pseudocalopotosia ishigakia(喜界が島、与那国島)
シロテンハナムグリはProtaetia (Calopostosia) orientalisなので、①から⑥までを確かめれば分かります。シロテンハナムグリはこれまで何度か調べたことがあったのですが(例えば、こちら)、一応、見ていきます。
この写真から、①の中胸腹板突起の形、②の後基節、それに、⑥の後脛節の2段刻あたりが分かります。
さらに、この写真から②の前胸背板の後縁中央部の湾入が分かります。③と④はたぶん大丈夫で、⑤は♂の形質なのでよく分かりませんが、おそらくCalopotosia亜属か、Pseudocalopotosia亜属までは確かそうです。この2亜属のうち、本州産はorientalis1種だけなので、シロテンハナムグリでよいのだろうと思っています。
最後に頭盾前縁を見て、ちょっと不安になってきました。シロテンハナムグリの説明には「(頭盾)前縁は明瞭に上反し、中央で深く湾入する」とあります。以前、撮った写真でもかなり深い湾入が見られます。ところがこの個体では浅く湾入しているだけです。本当に大丈夫だろうか。ちょっと心配になってきました。
これはヒトツメオオシロエダシャク。
そして、ホシササキリ。
それから、フタホシシロエダシャク。
それと、キシタエダシャク。
次はこのコガネムシ。今度は裏返っていませんでした。
それで、わざと裏返して写真を撮りました。「日本産コガネムシ上科標準図鑑」の図版と比べてみると、ちょっとくすんだ緑色のところがアオドウガネあたりと似ています。アオドウガネはAnomala属なので、そのうちのドウガネ種群を見てみました。この種群には6種載っているのですが、そのうち、本州産はアオドウガネ albopilosa、ヤマトアオドウガネ japonica、ドウガネブイブイ cupreaの3種です。このうち、ドウガネブイブイは金属光沢があるので除外してよいとすると、アオとヤマトアオの2種が残ります。アオはもともと南方系なのですが、近年、北上傾向が強く、ヤマトアオドウガネやヒメコガネを駆逐して、本州を北上していると書かれていました。ということで、このどちらも可能性があるようです。ただ、両者の違いはあまりはっきりとは書かれていません。ぱっと見たところ、①頭盾前縁が強く上反しているとヤマトアオ、微かに上反しているとアオ、②上翅側縁の隆起が上翅肩部より約2/3まで縁取られていたらヤマトアオ、約3/4まで縁取られていたらアオ、③尾節板が黄色の毛でまばらに覆われるとヤマトアオ、黄褐色の長毛で覆われるとアオ、というくらいかなと思います。
まずは頭盾を見てみます。かなり強く上反しているように見えますが、「強い」か「微か」は相対的な問題なので、はっきりとは分かりません。
上翅側縁の隆起は上から見たときに縁にある筋のように見える部分だと思われますが、はっきり見えているのは2/3程度、微かに見えているのは矢印のある部分まで。従って、3/4を少し超えたところ。ということで、結局、よくは分かりませんでした。何となく、ヤマトアオドウガネかなとは思っているのですが、甲虫は難しいですね。
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