この間、ブログに出したハムシを調べてみました。
これはマンションの廊下で3月27日に写したものです。その時はアカタデハムシであろうということにしたのですが、今回は検索表に従って調べてみました。以前、ニレハムシの検索をしたことがあったのですが、そのとき、「上翅は側縁に沿って細い隆起条を基部より末端へ装う」という項目がありました。ニレハムシにはなくて、アカタデハムシには隆起条があるので、是非ともその隆起条を見てみたいと思っていました。今回はアカタデハムシらしい個体を採集したので調べてみたら、やっとその隆起条らしきものが見つかりました。
それでは、検索表に沿ってその特徴を調べていきたいと思います。なお、検索表としては次の本に載っているものを用いました。
木元新作、滝沢春雄、「日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説」、東海大学出版会 (1994).
実は、この本は手元にないのですが、公立図書館にはあったので一部コピーして使っています。ヒゲナガハムシ亜科であることは確かなので、その後の属と種の検索をしてみたいと思います。
検索表でアカタデハムシの属するケブカハムシ属 Pyrrhaltaに至る過程とその先のアカタデハムシ semifulvaに至る過程をまとめたものがこの表です。全部で13項目あるのですが、これを写真で確かめていきたいと思います。検索順に見ていくとあっちの図に飛んだり、こっちの図に飛んだりとややこしいので例によって部位別に見ていきます。なお、赤字の部分は確かめられなかったのですが、最初の④でもし間違っていたら、上翅が緑色のアオバホソハムシ属になり、最後の⑬では沖縄に生息するヨシモトケブカハムシになるので、たぶん大丈夫ではないかと思います。
まずは背面からの全体像です。体長は4.2mmでした。⑪の前胸背板後縁角は矢印で示した部分だと思うのですが、裁断状でないので、この項目はOKです。
次は頭部を斜め上から写したものです。②の「触角の基部は一般に相接し」というのは時として判断できないことがあるのですが、以前にも書いたと思うのですが、触角第1節の長さに比べて左右の触角基部間の距離が短いというように理解すればよいようです。次の基部の場所が複眼前縁と同じ水準というのは破線で示した複眼前縁と近いということを表しています。また、頭頂や前胸背板は顕著な点刻で覆われています。ということで、この項目もOKです。
触角基部の場所を示すために横からも撮ってみました。このくらいの感じです。
次は触角です。触角は全部で11節。長さと幅の比は先端近くの9節、10節では確かに2倍以下でした。先端節は2倍以上なので、これは測ってはダメということなのでしょう。
次は前胸背板についてです。⑤と⑦は剛毛が密生するかどうかという項目なので、写真からたぶん大丈夫でしょう。また、⑥は側縁の形ですが、黒矢印で示したように丸く側方に張り出しています。問題は④の前縁角の剛毛です。以前、ニレハムシを調べたときには明瞭に見られたのですが、これはいくら探しても分かりません。
その部分を拡大して、せめて剛毛の生えていた孔でも見つけようと思って撮りました。たぶん、黄矢印辺りだと思うのですが、どれがそれなのか結局分かりませんでした。でも、最初に述べたように検索としては大丈夫だと思われます。
次は③の前肢基節窩についてです。基節は図に示した通りですが、基節窩は基節が入る孔を示しています。その後方には囲いがないので(黄矢印)、この項目もOKです。
これは胸部を腹側から見たものです。中胸腹板と後胸腹板は示した通りですが、「後胸腹板の基節間室の突起」はたぶん、矢印で示した部分を指すと思われます。この部分はほぼ水平か少し傾く程度というので、たぶん、その通りかなと思いました。
次が問題の「側縁に沿った細い隆起条」です。なかなか見つからなかったのですが、こんな角度にして撮ってみると、確かに側縁の隆起条に沿って細い隆起条が見られます。たぶん、これのことかなと思うのですが、あまり自信はありません。とにかく、これだということで先に進みます。
次は上翅側片に関する項目です。上翅の側縁には写真で示したように平らな縁が付いています。これが上翅側片です。これがどこまで伸びているかが検索項目にはよく出てきます。この個体ではかなり後ろまで伸びているので、⑥と⑩はたぶん大丈夫でしょう。
上翅側片が上翅末端まで伸びているかどうかというのが⑫ですが、黒矢印で示す辺りで不明瞭になりました。従って、⑫もOKでしょう。⑪はその通りなので、赤字で書いた部分を除くとすべて写真で確認できました。これでたぶん、アカタデハムシでよいのではないかと思っています。ただし、「側縁に沿った細い隆起条」があれでよいのかどうかちょっと不安なのですが・・・。(追記2019/04/08:「日本列島の甲虫全種目録(2019年)」によると、アカタデハムシの学名はTricholochmaea semifulvaとなっていました。属の検索の方は大丈夫かなぁ)
検索には使わなかったのですが、ついでに撮った写真を一応、出しておきます。
これは顔の部分です。
そして、これが腹部末端です。この腹板の切れ込みから♂♀が分かると思うのですが、どうやって見るのかがよく分かりません。
こうやって調べた試料は再び調べ直すこともあるかもと思って、小さなチャック付きポリ袋に入れて保存しています。甲虫やら、カメムシやら、最近ではコバチもこんな袋に入れています。どうせ長期保存することもないだろうし、このままで展示もできるし、調べ直すときには台紙に貼り付けていない方が楽なので・・・。
これはマンションの廊下で3月27日に写したものです。その時はアカタデハムシであろうということにしたのですが、今回は検索表に従って調べてみました。以前、ニレハムシの検索をしたことがあったのですが、そのとき、「上翅は側縁に沿って細い隆起条を基部より末端へ装う」という項目がありました。ニレハムシにはなくて、アカタデハムシには隆起条があるので、是非ともその隆起条を見てみたいと思っていました。今回はアカタデハムシらしい個体を採集したので調べてみたら、やっとその隆起条らしきものが見つかりました。
それでは、検索表に沿ってその特徴を調べていきたいと思います。なお、検索表としては次の本に載っているものを用いました。
木元新作、滝沢春雄、「日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説」、東海大学出版会 (1994).
実は、この本は手元にないのですが、公立図書館にはあったので一部コピーして使っています。ヒゲナガハムシ亜科であることは確かなので、その後の属と種の検索をしてみたいと思います。
検索表でアカタデハムシの属するケブカハムシ属 Pyrrhaltaに至る過程とその先のアカタデハムシ semifulvaに至る過程をまとめたものがこの表です。全部で13項目あるのですが、これを写真で確かめていきたいと思います。検索順に見ていくとあっちの図に飛んだり、こっちの図に飛んだりとややこしいので例によって部位別に見ていきます。なお、赤字の部分は確かめられなかったのですが、最初の④でもし間違っていたら、上翅が緑色のアオバホソハムシ属になり、最後の⑬では沖縄に生息するヨシモトケブカハムシになるので、たぶん大丈夫ではないかと思います。
まずは背面からの全体像です。体長は4.2mmでした。⑪の前胸背板後縁角は矢印で示した部分だと思うのですが、裁断状でないので、この項目はOKです。
次は頭部を斜め上から写したものです。②の「触角の基部は一般に相接し」というのは時として判断できないことがあるのですが、以前にも書いたと思うのですが、触角第1節の長さに比べて左右の触角基部間の距離が短いというように理解すればよいようです。次の基部の場所が複眼前縁と同じ水準というのは破線で示した複眼前縁と近いということを表しています。また、頭頂や前胸背板は顕著な点刻で覆われています。ということで、この項目もOKです。
触角基部の場所を示すために横からも撮ってみました。このくらいの感じです。
次は触角です。触角は全部で11節。長さと幅の比は先端近くの9節、10節では確かに2倍以下でした。先端節は2倍以上なので、これは測ってはダメということなのでしょう。
次は前胸背板についてです。⑤と⑦は剛毛が密生するかどうかという項目なので、写真からたぶん大丈夫でしょう。また、⑥は側縁の形ですが、黒矢印で示したように丸く側方に張り出しています。問題は④の前縁角の剛毛です。以前、ニレハムシを調べたときには明瞭に見られたのですが、これはいくら探しても分かりません。
その部分を拡大して、せめて剛毛の生えていた孔でも見つけようと思って撮りました。たぶん、黄矢印辺りだと思うのですが、どれがそれなのか結局分かりませんでした。でも、最初に述べたように検索としては大丈夫だと思われます。
次は③の前肢基節窩についてです。基節は図に示した通りですが、基節窩は基節が入る孔を示しています。その後方には囲いがないので(黄矢印)、この項目もOKです。
これは胸部を腹側から見たものです。中胸腹板と後胸腹板は示した通りですが、「後胸腹板の基節間室の突起」はたぶん、矢印で示した部分を指すと思われます。この部分はほぼ水平か少し傾く程度というので、たぶん、その通りかなと思いました。
次が問題の「側縁に沿った細い隆起条」です。なかなか見つからなかったのですが、こんな角度にして撮ってみると、確かに側縁の隆起条に沿って細い隆起条が見られます。たぶん、これのことかなと思うのですが、あまり自信はありません。とにかく、これだということで先に進みます。
次は上翅側片に関する項目です。上翅の側縁には写真で示したように平らな縁が付いています。これが上翅側片です。これがどこまで伸びているかが検索項目にはよく出てきます。この個体ではかなり後ろまで伸びているので、⑥と⑩はたぶん大丈夫でしょう。
上翅側片が上翅末端まで伸びているかどうかというのが⑫ですが、黒矢印で示す辺りで不明瞭になりました。従って、⑫もOKでしょう。⑪はその通りなので、赤字で書いた部分を除くとすべて写真で確認できました。これでたぶん、アカタデハムシでよいのではないかと思っています。ただし、「側縁に沿った細い隆起条」があれでよいのかどうかちょっと不安なのですが・・・。(追記2019/04/08:「日本列島の甲虫全種目録(2019年)」によると、アカタデハムシの学名はTricholochmaea semifulvaとなっていました。属の検索の方は大丈夫かなぁ)
検索には使わなかったのですが、ついでに撮った写真を一応、出しておきます。
これは顔の部分です。
そして、これが腹部末端です。この腹板の切れ込みから♂♀が分かると思うのですが、どうやって見るのかがよく分かりません。
こうやって調べた試料は再び調べ直すこともあるかもと思って、小さなチャック付きポリ袋に入れて保存しています。甲虫やら、カメムシやら、最近ではコバチもこんな袋に入れています。どうせ長期保存することもないだろうし、このままで展示もできるし、調べ直すときには台紙に貼り付けていない方が楽なので・・・。
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