黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

長崎さるく #37 グラバー別邸跡

2009-08-02 07:20:57 | 長崎さるく
前回からアップしている長崎県の高島。→Mapion
今日はその北端にあるグラバー別邸跡です。
かつては隣接しながらも独立した小さな島だったようですが、
現在では完全に地続きになっています。



3年前まではあとづけで設置された東屋がありましたが、
発掘調査のために撤去されて、今はありません。
別邸の再現の話もあったようですが、当時の姿がわからず、
結局再現はされなかったようです。
それにしても眺めのいい土地ですね。
周囲にならぶ松の木が当時からあったものかはわかりませんが、
もし松の木に囲まれたこの地に、
グラバー邸の様な木造洋館を建てて日々暮らしていたのかと思うと、
いいですね。



かろうじて基礎らしきものが残っています。
他に井戸跡や便器跡などもあったようでうが、
時間がなく見られなくて残念。
蒟蒻煉瓦を敷き詰めた跡もあったようですが、
すでに草に覆われてしまったのでしょうか。
(単純に見落としたのかな
地面に敷き詰めた蒟蒻煉瓦だとすれば、
グラバー邸同様、厨房の床ということになるのかな。
次回行ったら、もう少しちゃんと見てみようと思います。



別邸のすぐ裏にはかつての船着場への通路も残っています。
そしてこの別邸が島の北端に造られていたことは、
正確には知りませんが、台風対策による選択だったと思います。
以前にアップした伊王島も、そしてこの高島も、
住宅や生活施設は島の東北側に集中していますが、
これらは全て風水害を考慮してのことだと思います。



跡地のすみにひっそりと佇むグラバーさんの銅像。
武器の輸入販売などもしていた事から「死の商人」などとも言われますが、
それは時勢を見越しての一つの商材にすぎなかったと思います。
以前の記事でも書きましたが、グラバーさんが
日本の近代化、とくに産業の発展に蒔いた種は絶大だと思います。

氏の日記には度々グラバー邸を訪れる坂本龍馬のことが記録されているそうですが、
あまり本を読まなかった坂本龍馬がグローバルな視点を持てたのも、
グラバーさんあっての賜物、と考える方が納得がいきます。
来年の大河ドラマでは坂本龍馬が取り上げられるようですが、
つくられたヒーロー話はそろそろ卒業して、
『グラバー伝』なんて話があったら、見てみたいですね。

■追記:AUG. 04, 2009 ■
2004年12月に、高島町が長崎市合併の時に発行した、
『高島町の足跡 高島町閉町記念誌』に、
年号は書いてないものの、
別邸が建っていた時代のものと思われる写真が掲載されていました。
それを見ると、別邸エリアの一番高く隆起したエリア、
最初の画像で言うと左端、2番目の画像で言うと、画像奥
に母屋らしき建物が写っています。
そして建物の周囲ははっきりとはわかりませんが、
おそらく松と思われる形をした木々が、
現在よりもやや多めに立っている光景が写っています。
当時からこういう雰囲気だったんですね。

■シリーズ:長崎さるく■
> NEXT  > TOP  > INDEX



最新の画像もっと見る

post a comment