黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

池島炭鉱十年の変貌 06発電所とフライアッシュタンク

2017-06-10 11:05:34 | 池島炭鉱
第二の軍艦島といわれる、
軍艦島と同じ長崎市にある炭鉱跡<池島>の全貌をまとめた、
『池島全景 離島の《異空間》』(三才ブックス)の発売記念として、
書籍に収録できなかった池島を、シリーズでお送りしたいと思います。

取材で通った2004年〜2017年の約12年の間に、池島がどう変わったか。
今回は、火力発電所関連の施設です。

池島炭鉱/火力発電所の電気集じん機

画像は2005年(平成17)に撮影した、火力発電所の電気集じん機。
電気集じん機は、
石炭を燃焼した時にでる石炭灰(フライアッシュ)を収集する機器。
集められた灰は、道を挟んで向かいにある、
フライアッシュ・タンクに貯蔵され、
坑内の石炭を採掘した後の空洞密閉の原料として使われていました。





池島炭鉱/火力発電所の電気集じん機

ほぼ同じ位置から撮影した2017(平成29)の様子。
四角錐にすぼまっている部分や、
それに続くダクトの部分などの表面が剥落し、
内壁が完全に錆び付いて、いたるところに穴があき始まっています。

火力発電所のボイラー棟や発電棟は、
2017年現在でも、案外しっかりとしている様子ですが、
集じん機が崩落するのは時間の問題かもしれません。





池島炭鉱/火力発電所のフライアッシュタンク

画像は火力発電所の道を挟んで反対側に建つ、
フライアッシュ・タンクの2005年(平成17)の様子。
錆は浮いているものの、ほぼ原型を留めています。





池島炭鉱/火力発電所のフライアッシュタンク

そしてこれが2017年(平成29)のフライアッシュ・タンク。
左の頂上部に載るダストコレクターを初め、
全体的に錆の量が少し増えた程度で、
電気集じん機の劣化具合に比べると、
12年経過したとは思えない存続っぷりです。

特にフライアッシュ・タンクは周囲に建物もなく、
波浪風雨に直接晒される環境にあるにもかかわらず、
ここまで劣化していないのには驚かされます。





池島炭鉱/火力発電所のフライアッシュタンク

『池島全景』内には、ページの都合で、
フライアッシュ・タンクの画像を2枚しか収録できなかったので、
建屋内のそれ以外のものも少しアップしておきます。

画像は建屋の前室にあたる場所にあった、
フライアッシュ・ブロワ。
発電所で生成されたフライアッシュを、
空気圧でタンクへ送り込むブロワ。
(だと思います。もしかしたら排気ブロワかな。
いずれにせよ、ファン関連の施設)





池島炭鉱/火力発電所のフライアッシュタンク

書内に収録しなかった建屋の内部。
右に写るブルーやグリーンの部分が、
ダストレス・アンローダと呼ばれる加湿器だと思います。
貯蔵されたフライアッシュは、適宜加湿され、
下部の排出口から排出されていました。





池島炭鉱/火力発電所のフライアッシュタンク

建屋の壁面に遺る系統配電盤。
殆どのスイッチは、開閉を操作するものだったようです。
ちなみに画像中央に写る2つの五角形のベース状のものが、
フライアッシュタンクですが、
その下には「1号サイロ」「2号サイロ」とあるので、
「フライアッシュ・サイロ」でもいいのかもしれませんね。


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