黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

【特集】中ノ島 #21

2005-10-31 01:11:00 | ・特集 中ノ島


軍艦島の中でもよく知られた場所や有名なエピソードの数々は、
軍艦島関係の老舗サイトさんを初め、私たちオープロジェクト
端島出身の方のサイトもで、沢山アップされているので、
このブログでは、あまり知られていない所を取り上げていきたいと思います。

かつて明治年間の僅かな期間に炭鉱として栄え、
その後軍艦島の姉妹島的な役割を担ってきた中ノ島の特集。
今回は中ノ島の煉瓦に関してです。

中ノ島内に残存する遺構の幾つかには、
初期長崎で製造された、現代の煉瓦より薄い<蒟蒻煉瓦>といわれる
煉瓦が使われていることは既にお伝えしてきました。
記録に残る、国内で最初に焼かれた建築用煉瓦が、
オランダ人技師ハルデス氏により長崎で作られた蒟蒻煉瓦でした。
ネットなどで調べると、その特徴は厚さが4cmということでした。




画像は南部岩礁地域に残存する
矩形煉瓦遺構(【特集】中ノ島 #02の中段)の壁面です。
偶然にもほぼ正面から捉えた画像があったのでアップします。
画像の部分を拡大して、幾つかの煉瓦の縦横比をサンプルし平均してみると、
長い側面のモノは20(ないし21):4
短い側面のモノは10:4
でした。







次に内海側海岸線の半壊護岸の上に残存する、
矩形石組と煉瓦複合遺構(【特集】中ノ島 #03の最下段)の
すぐ横にある小屋状の煉瓦建造物の壁面の画像です。
これもほぼ正面から撮影していたので、
煉瓦の縦横比を計る参考になりました。
上記同様幾つかのサンプルを平均化してみると、
長い側面のモノは20(ないし21):5
短い側面のモノは10:5
でした。またこの遺構以外にも、







高台平坦地にある火葬炉の壁面(画像)や、
また同じく平坦地にあるなんらかの小屋状の煉瓦建造物の壁面も、
正面から捉えた画像があったので計ってみましたが、
その比率は
長い側面のモノは20(ないし21):5
短い側面のモノは10:5
でした。

ちなみに煉瓦の積み方ですが、
島内に残る全ての煉瓦遺構の積み方は、
一段長い面をずらっと並べたら、次の段は短い面をずらっと並べる、
所謂イギリス式積み方です。

さてここで気になるのは、JIS規格で決められている現代の煉瓦は、
上記の比率で言うと厚みが「6」になります。
つまり、明らかに蒟蒻煉瓦とわかるそれは別として、
それ以外の煉瓦も現代の煉瓦よりは薄い作りになっているということです。
この特集をアップするにあたって、何度となく煉瓦の画像をみましたが、
時に豆腐煉瓦と記憶していた場所の煉瓦が、蒟蒻煉瓦にみえたりしていたのは、
カメラレンズによる歪みや撮影角度が、
この微妙な誤差をより曖昧にしていたのだと思います。

※縦横比の計測は、あくまで正面画像からのものですので、
次回探索のときには正確に計ってみたいと思います。

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【参考】蒟蒻煉瓦:小菅修船場

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