大宮ソニックシティで行われた光害シンポジウム「夜空の明るさを考える」に参加しました。
塩尻星の会として個別発表を依頼され、発表も行いました。
大宮駅を出て、満開の桜を横目に会場である大宮ソニックシティへ。
参加者は80人くらいでしょうか。当日参加もあり満席でした。
学生の参加が多かったです。これは前日行われた日本天文学会ジュニアセッションに引き続き参加されたようです。
冒頭、基調講演として、シンポジウムの実行委員である皆さんからそれぞれの立場からお話しいただきました。
引き続き、個別発表が6件。
スカイクオリティメータ(SQM)を使った発表が目立ちました。まず、コアSSH(スーパーサイエンスハイスクールへの追加支援校)の実践報告として、愛知県立一宮高校から、SQM-Lの実測値と理論値との比較検討した発表。ジュニアセッションのレポートとして、群馬県立前橋女子高校から、SQM―Lによる光害調査。ライトダウン甲府バレー実行委員会から、先進的大規模なライトダウンを行っている山梨県の事例発表。中島照明デザイン研究所から、横浜市から委託された屋外照明の調査や照明デザインの立場からの光害対策について。環境省水・大気環境局、大気生活環境室から、25年間続けられた全国星空継続観察が、平成25年度から休止する報告がありました。
塩尻星の会からは、2003年から2012年まで10年間行ってきた光害調査の実践経験についてお話しをしました。
学生の発表はどれも素晴らしく、圧倒される思いでした。SQMを使った発表が多かったのですが、塩尻星の会で使っているSQMはベースモデルで、ほかの発表者は後発モデルのSQM-Lを使っています。塩尻の発表では、SQMからSQM-Lへの移行について課題を投げかけましたが、両者の比較について検証する必要性があると感じました。
ライトダウン甲府バレー実行委員会からの発表では、ライトダウンに関わらず、だと思いますが、光害啓発は、一過性のイベントで良いのか、目的は環境問題なのか、狭義の光害問題(星が見えない)なのか、課題を提示されましたが、こうした提言はもっともだと思います。光害に対して何かしたい(してほしい)という要求は、天文関係者の中だけでもばらばらなように思います。もっと目線を合わせて、光害啓発に取り組む機運が生まれれば良いと思いました。
中島照明デザイン研究所から、光害を念頭に置いた照明デザインについてお話しを聞きました。LUCIという夜間景観の国際賞があるそうなのですが、2011年に金沢市が第3位になり表彰された事例。屋外照明も計画時と設計が変更されても置き去りになって、完成されたものが光害を発するものになってしまう事例、照明に対する考え方も、照度ではなく輝度を重視してしまうこと、つまり光ることで明るくすることができると思っている人が多いこと、など説いていました。(ナルホドと思うことあり)
環境者からは、全国星空継続観察の休止宣告がありました。実は、平成22年度より、当時の民主党事業仕訳の結果、廃止となったのですが、有志による運営でウェブサイトへ参加登録、観測報告をする形で残っていたのですが、25年度からはこれも休止(廃止?)ということです。誠に残念なことです。それに対する代替策など問題提起もされましたが、本シンポジウムでは具体的に話し合いはなされませんでした。
基調講演から個別発表まで終わり、予定時刻を大幅に超過して、全国への提言として3件。
まずGLOBE at NIGHTについて、伝統的七夕ライトダウンについて、そして、個別発表された2高校から、SQMまたは1眼レフデジカメによる全国共同調査の呼びかけがありました。
時間超過のため休憩もそこそこで、交流会に移りました。
ここでも塩尻星の会の発表に対し、質問や声かけをいただきました。
途中、国際ダークスカイ協会(IDA)東京支部から、IDA製作の光害啓発プロモーションビデオの鑑賞。現在日本語吹き替え版を製作中だそうです。
ジュニアセッションで最年少発表(小学校4年生!)された発表のリクエストがあり、本当に大人顔負けの発表度胸とその内容に、参加者一同感嘆と拍手喝采でした。
いろんな方との出会いがあり、充実したひと時でした。