サー・サイモン・ラトル指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
グスタフ・ホルスト組曲「惑星」作品32
火星、戦争をもたらす者
金星、平和をもたらす者
水星、翼のある使者
木星、快楽をもたらす者
天王星、魔術師
海王星、神秘主義者
コリン・マシューズ「冥王星」再生する者
カリヤ・サーリアホ「小惑星4179、トゥータティス」
マティアス・ピンチャー「オシリスに向かって」
マーク=アントニー・ターネイジ「セレス」
ブレット・ディーン「コマロフの墜落」
惑星論議が深まる中、ホルストの惑星の新譜が出た。
しかも「冥王星」付!
ホルストが惑星を作曲した当時は、まだ冥王星は発見されていなかった。
地球は別として、唯一冥王星抜けていたのだが、2000年にコリン・マシューズが
海王星に引き続いて演奏するよう、この冥王星を作曲した。
いわゆるメジャーなレコード会社、アーティストによる初めての冥王星録音となる。合わせて、小惑星トータチス(トゥータティス)、ケレス(セレス)、太陽系外の惑星とされるオシリス、SFの世界の星とされるコマロフ・・・。4つのほかの惑星たちもこのディスクに録音されている。
まさに、今国際天文学連合に提案された、惑星を12個にする内容を彷彿していたかのようだ。
奇しくも、発売日(8月23日)の翌日、惑星の新たな定義が議決され、その結果冥王星は惑星の座から降ろされることとなった。何か皮肉な話・・・。
演奏だが、わりとオーソドックスなスタイルで、ある意味ラトルらしくない。
しかし、ベルリン・フィルの力量は申し分なく、火星の迫力あるリズム、金星の美しい叙情性、木星のスケール感(分厚い弦楽パートが、活躍する管楽パートを支える)、ラトルらしいと言えば、土星と天王星か。結構新鮮に聴けた。
冥王星は、海王星のフェイドダウンする終わり方から踏襲して、フェイドインして楽曲が始まる構成はナルホドと思うが、途中のフォルテッシモによる喧騒は、最果ての惑星(今は、矮小惑星)のイメージを消してしまう感じ。エンディングも中途半端に終わってしまう・・・。
4つの小惑星の曲は、どれもSFチックな曲。良し悪しの判断は難しい。