ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

一滴 一刻

2015-09-18 00:04:26 | Weblog
わたしの世代の人たちなら、きっと知っているだろう。
「ああ、ときが見える」というセリフを。

「とき」には、時か刻か、どちらかの漢字が当てはまるのだろうけど、
そのシーンに、ザブーンという水しぶきが当てられていることから推測すると、
たぶん「刻」なんだろうな、と思う。

そして、このセリフは、一刹那が愛おしいという意味なんだろうと思う。
生きているこの瞬間、わたしをとりまくすべてを愛おしいと思うこの瞬間、
この執着にとらわれたすべてを、わたしだと思う。

それは死を前にし、有限を実感したからこその一刹那。
ありのままの自分を、自分が受け止めた瞬間。
それが「ときが見える」ということなんだろう。

決してエスパーとしてのセリフではなく、生きているたった一人の
ちっぽけな人としてのセリフ。

これをニュータイプとして描かれたララァに言わせたところに、
このセリフの重みがあるんだと思う。

ニュータイプだから見えたのではない。
人だから見えたんだ。

そんなことを考えたのは、
今日飲んだお酒が美味しかったから。

一滴に、すべてが宿る。そんなお酒だった。