11月23日、遠野市で開催された「三陸エコビジョン・プレフォーラム・パート2~三陸の復興と自然エネルギーの未来~」で、鎌仲ひとみさんに続いて登場した、自然エネルギー政策の第一人者飯田哲也さんの講演内容の概要を紹介します。
飯田さんは元々は原子力ムラにいた人だったんですね。だから、裏側までよく知っている。
海外にも強力なネットワークを持っていて、あらゆる情報を入手できる体制を作っているようです。
飯田さんの発言は自信に満ちていました。
・福島第一原発事故は世界史に残る地球規模の原発事故。
・過去にもスリーマイル島事故、チェルノブイリ事故があるが、スリーマイル島事故のあと、アメリカは1基も原発を作っていない。そして事故を機にスウェーデン、デンマーク、オーストリアは脱原発へシフトした。
・チェルノブイリ事故では、経済的損失の大きさを恐れたロシアがソ連から抜け、旧ソ連は崩壊。
・それに対して福島原発事故が起きた日本は、反省なし。推進してきた原子力ムラの連中は誰も責任をとらない。上にいくほど無責任。
・2011年の福島第一原発事故は、1868年の明治維新、1945年の太平洋戦争に次ぐ日本の第三の転換期。
・原子力ムラは思考停止している。事故が起きたらどうするかなど考えたことがなかった。そして考えられない。
・アメリカでは、福島第一原発で水素爆発が起きた時、80km圏内からの在日アメリカ人の退避を指示。簡単な手計算で爆発の影響を計算出来た。
・日本ではどうしたか。地震当日、実はSPEEDIの解析結果が関係者に配られていたが、政府は何もしなかった。
・原発を止める手段は2つ。民主主義でやめさせるか(国民投票など)、あるいは、本来払うべき原発コストを払わせて、自発的にやめさせるかだ。
・原発は造るほど設置コストが上昇。アメリカが40年原発を造っていないのは、銀行がお金を貸さないから。
・ドイツ17基の原発の原発災害損害額は、16兆~680兆円と試算され、それを電気代でカバーしようとすると電気代は16円~8000円/kw時になり、設置後のコストも莫大になる。
・ドイツが脱原発になったのは、最終的には倫理的な観点で決めた。
・小規模分散型自然エネルギーへのシフトを考えるべき。
・これまでのような、巨大電力センターをつくってそこから送電するというシステムはもろい。
・世界規模でみれば風力発電は1億930万キロワットで、原発193基分になり、原発の半分まできた。あと5年で原発を追い越すだろう。
・太陽光発電は原発43基分。固定価格買取制度のおかげが大きい。倍々ゲームで増えている。
・自然エネルギーはつくればつくるほどコストが安くなる。
・原発を推進する人々は、太陽光や風力での発電は限界などと言っているが、太陽エネルギーだけでも現在我々が化石燃料で使っているエネルギーの1万倍も降り注いでいるから、量的には全く問題ない。
・日本の自然エネルギーは、植民地型開発。青森の風力発電は200基が県外資本。県内資本はわずか3基しかない。
・地域のオーナーシップで地域のお金を回すシステムづくりが必要。
・自然エネルギーの普及速度はこれから速まっていく。広がる自然エネルギーをどう地域でひきとっていくかが重要で、そのためには地域の核が必要。
・これからは、地域に足場をおきながら、世界に広がるネットワークをもって活動する必要がある。
・過去と他人は変えられないが、自分と未来は変えられる。
・2050年に自然エネルギー100%を目指す。時間をかける必要があるが、十分可能。
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