京都大学大学院・工学研究科 河野 益近さんは
放射能を含むがれきを、放射性物質を管理できない一般の焼却炉で焼却するという行為は、
放射性物質を管理するという点からは、本来絶対に行ってはならないことである
とおっしゃっている。
高島市でも瓦礫受け入れの話がありますが、
京都大学大学院・工学研究科 河野 益近さんが発表されている以下のレポートを是非ご一読いただきたいと思います。
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レポート中 特に以下の部分「おわりに」だけでも是非お読みいただきたい。
瓦礫受け入れ焼却は、放射能汚染環境の拡大だということを知っておきましょう。
おわりに
環境に放出された放射性物質は、回収しない限り形を変えて何時までも環境に存在し続ける。事
故などで放射性物質が環境に拡散すれば、環境から放射性物質を回収するのにエネルギーが必要に
なる。無駄なエネルギーを使って各地に拡散された放射性物質が環境を汚染すれば、汚染を環境か
ら減らすには更にエネルギーを投入しなければならない。エネルギーの再投入がなければ、時間だ
けが頼りとなる。
放射線による被曝は、その被曝量に比例して影響があると考えて被曝管理をするのが現代科学の
一般的な考え方である。したがって、福島第一原発からの放射性物質が少しでも回収され、あるい
は人間の生活圏から遠ざけられない限り、広域への拡散という方法では日本に住む人全体への放射
線被曝の影響を低減することはできない。100 Bq/kg 以下というクリアランス・レベルはもともと
原子炉を解体した際に生じるコンクリートや鉄骨などを再利用するために決められたものである。
本来は低レベル放射性廃棄物として管理すべきものであるが、原子炉の解体という近未来の現実を
考えたとき、その管理すべき低レベル放射性廃棄物の多さに困惑した結果として便宜上出てきた数
値である。このクリアランス・レベル以下のコンクリートや鉄材は、そのまま、あるいは放射能の
無いものと混ぜて使うことが想定されていたはずである。すなわち、環境に持ち込まれたとしても
100 Bq/kg を超えるような放射能の濃縮はおこらない。しかし、今問題になっている震災瓦礫につ
いては、焼却が前提となっており、その結果、濃縮などにより100 Bq/kg を超える放射能が灰など
に残留し、最大8,000 Bq/kg のものが、埋め立て処理により大量に各地の環境に持ち込まれようと
している。また、今回の島田市の松葉の調査結果は、焼却灰の処理だけではなく、震災瓦礫の焼却
に伴って焼却場周辺の大気が放射能によって汚染する可能性についても考えなければならないこと
を示唆している。
放射能を含む瓦礫を、放射性物質を管理できない一般の焼却炉で焼却するという行為は、放射性
物質を管理するという点からは、本来絶対に行ってはならないことである。焼却可能な震災瓦礫(木
材チップなど)や放射性物質を含む汚泥などは有機物を多く含むので、バイオ燃料の材料として使
うことができる。バイオ燃料を作る過程で分離される放射性物質を回収すれば(そして回収された
放射性物質を国が保管管理すれば)、瓦礫・汚泥の焼却によって放射性物質を再び環境に拡散させる
ことはなくなる。現時点でバイオ燃料の製造が割高であっても、放射性物質の回収という観点から
考えれば、補助金をだしたとても市民は納得するのではないだろうか。せめて、専用の焼却施設を
建設してほしいものである。
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