ハクの独白
一昨日の夜、あやしい気配に、思わず外に飛び出してしまった。
夜中という時間らしい。母ちゃんが窓を閉め忘れたから、外に出られてしまった。
出たのはいいけれど入れない。
ボクは何度も母ちゃんに入れてと呼んだけど、家の中はし~~~んと静かなまま。
あきらめずに呼んだ。
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その頃母ちゃんは夢のなかでハクの声を聞いていた。ハクの声はどうも外から聞こえている。おかしい。今は夜中のはず。閉めきってあるこの家から出られるはずがない。きっと夢や。
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ハク
なんで開けてくれんのや。これだけ頼んでるのに。勝手に出たからやろか。ボクだけ外にいるのはイヤや。もっと呼ぼ。
ワォーーーーーーン ワォーーーーーーン
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やっぱり外から聞こえる・・・。なんで外に出られる? 夢現の中で、、、。ちょっと呼んでみよ。
「ハク、こっちおいで。どこにいるん?」
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ハク
やっと気がついてくれた。母ちゃんの声が聞こえた。ボクここやし!家に入れて母ちゃん!
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まどろみを覚醒さすのはいややったけど、その思いから抜けだして、半分寝たままのような脳再起動中の中、古くなったグロー球のついた蛍光灯がスイッチを入れてから時間差で点灯するように、やっと思考サイトも点灯、家の中にハクがいないということを理解する。
「ウソ、なんで外に出られるの?泥棒が入ったん?」とひとりごと。
あくまで寝ぼけていながらも最悪のことが最初に思い浮かぶ。人間の性というか、自分が窓を締め忘れているなどということは思いつかないワタシ。
そして、窓の閉め忘れが招いた事態であるにもかかわらず
玄関ドアを開け、急いで入ってくるハクに向かい
「アンタ どこから外に出たん!」と詰問調に・・・。
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ハク
そんなこと言われても、開いてたし、鹿のニオイがしたから出たんやもん・・・・。
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ハクを家に入れてから、ハクが外に出た可能性のあるリビングの窓に行ったら、カーテンの向こうで窓が開いて網戸だけになっていた。網戸の下部にワンコ用のスイングドアがつけてある。スイングドアと言っても両方同じように開かないので、凛太郎サイズなら出入り自由なのだけど、ハクは出られても入れない。
ここにきて、ようやく自分が閉めたつもりで閉めていなかったことに気がつく。それでも閉めたはずなのに・・・と心のなかでブツブツ。
今度はしっかり閉めて、また寝床へ。ハクも自分の場所で丸くなった。
ハクのお陰で、寝冷えをせずにすんだのかもしれない。
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ハク
寒かったし。ほんま勝手に出たらえらい目にあうな。いつも夜になったら勝手に出たらアカンて言われてるのに出たしやな。ボク怒られて入れてもらえへんのかと思ってたけど、母ちゃん寝てただけやったんや。凛兄ちゃんも冷たいな。母ちゃん起こしてくれたらええのに。ブツブツ。
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凛太郎独白
ボクに頼らんといてほしいわ。勝手に出たハクが悪い。反省しいや。頭叩かれんだけ良かったと思とき。下手したらギャンっていうまで噛まれるんやで。母ちゃん半分寝たままやから噛まんかったと思う。ラッキーやったと思とき。それからな、母ちゃんは寝起きがめちゃくちゃ悪いから、次は母ちゃんが起きるまで、絶対起こしたらアカンで。1日じゅうアンタが起こしたっちゅうてしつこいからな。わかったな。
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朝、ワンズは母ちゃんが起きてもなお、ベッドの上から降りてこなかった。凛太郎は常からそうだけど、ハクは必ずと言っていいほど、母ちゃんが起きたら一緒にベッドから降りるのに・・・。
ではまた明日
読んでいただいてありがとうございました。
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