市民の憩いの場 宮崎県西都市「まちなかギャラリー夢たまご」ブログ

宮崎県西都市小野崎1丁目76番地 電話0983-42-0027 入場無料 月曜休館

「絵が動く」

2012年11月02日 | 日記
弥勒祐徳作品展「神話と弥勒ワールド」も、
残すところ、あと2日となりました。
3週間の会期中、たくさんの方にご鑑賞いただいています。
ご来場ありがとうございます。

今日は著書のご紹介です。
弥勒祐徳・近著 「絵が動く」 鉱脈社 (¥1800+税)

中央の「画壇」から遙か遠き宮崎の地で、
九三歳の今日まで
ただひたむきに絵とは何かを求め続ける
土俗画家・弥勒祐徳の自伝的エッセイ集。
自然の躍動を、神楽の鼓動を、心の感動を、キャンバスにー。
(帯のことばより)

     

帯の文より~
何を描けばいいのか悩んだ。
何年描いても描いても続けられる絵をみつけなければいけない。
そんな時、平地の学校から僻地の寒川中学校に
教頭として転任することになった。
学校の生徒は十二名たらずで、五百メートルの高地にあった。
自然を見下ろす場所であり、そこでは自然が動いていた。
ここで初めて生きている自然を感じた。
風景が動いていることに気がついた。
生きているのだから生きているように描く。
どうすれば生きた絵が描けるのか。
動いて語りかけてくるものを描く。
それには絵が語り、動くことだ。
ここで出会った夜神楽は、一晩中舞い続ける。
この舞を描き続ければよい。
動くものを描くのは難しい。
それでも描かないと動く絵は描けない。
こうして神楽宿を探して夜神楽を描いた。(本文より)


夢たまごには、他に弥勒氏の著書としては、絵本を含めて7冊あります。
ギャラリーの奥まった所に書籍のコーナーがあり、販売(委託)していますので、
ご来館のときには、是非このコーナーも覗いて下さいね。
宮崎でしか手に入らないような、郷土色豊かな本が揃っていますよ。

彫刻制作中の弥勒氏(西日本新聞社刊「弥勒先生」より)

弥勒氏は、どんなきっかけで木喰上人の彫ったものを描くようになったのか
アムは気になっていました。
「絵が動く」の本の中にありました。
~人物を描きたいとデッサンを始めたが、うまく描けない。
デッサンの勉強をしたくても人がいない。
そこで、中学生のころ学校の帰りに雨宿りに寄っていた国分寺の
「五智(ごち)如来」をモデルがわりに描き始めたのがきっかけ~とのこと。

描いているうちに、木喰仏の魔力に惹かれ
30年間も描き続けます。
木喰仏は、何度描いても同じように描けない。
なぜだろうか…
これはきっと、生きているから同じ顔でも違って見えるのだー
とあります。

あの自由奔放な所が好きになり、無欲・無邪気に生きた
その自由な宗教心にも惹かれた……ともあります。


「小伝 弥勒先生」(井口幸久・著 西日本新聞社 ¥1800+税)の中には
「水上で彫った観音様」というページがあります。
木喰上人が池に丸太を浮かべて、5体の如来坐像を彫ったー
のを再現したというのです。

1992年秋、地元テレビ局の企画。
本当にそんなことが出来るのか…と、
白羽の矢がたった弥勒氏。
かの池はすでに埋め立てられており、
一つ瀬川に丸太をつなぎ、弥勒氏が重さ2トンの楠の木にまたがる…
水を吸った楠はやわらかく、
ノミはやすやすと木肌を削っていった……とあります。


弥勒氏は木喰上人の足跡を追って、スケッチの旅をされたりしています。
その画集も、夢たまごに展示してありますよ。

このごろとみに思います、私。
こうして、夢たまごで拝見する様々な作品。
そこから、作品や作者の背景や歴史、人生などを知るという作業…
いつの間にか私はたくさんの事を学ばせていただいていました。
うれしくて仕方ありません。
この大いなる出会い、ありがとうございます。



次回の展示会のお知らせ

展示会名:伊東マンショ没後400年記念事業

展示期間:11月6日(火)~11月11日(日)

なお、11日(日)は18:30からぞろ目ライブを行います。
お楽しみに。詳細はブログをご覧ください。




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