
残すところ、あと2日となりました。
3週間の会期中、たくさんの方にご鑑賞いただいています。
ご来場ありがとうございます。

弥勒祐徳・近著 「絵が動く」 鉱脈社 (¥1800+税)
中央の「画壇」から遙か遠き宮崎の地で、
九三歳の今日まで
ただひたむきに絵とは何かを求め続ける
土俗画家・弥勒祐徳の自伝的エッセイ集。
自然の躍動を、神楽の鼓動を、心の感動を、キャンバスにー。(帯のことばより)



何を描けばいいのか悩んだ。
何年描いても描いても続けられる絵をみつけなければいけない。
そんな時、平地の学校から僻地の寒川中学校に
教頭として転任することになった。
学校の生徒は十二名たらずで、五百メートルの高地にあった。
自然を見下ろす場所であり、そこでは自然が動いていた。
ここで初めて生きている自然を感じた。
風景が動いていることに気がついた。
生きているのだから生きているように描く。
どうすれば生きた絵が描けるのか。
動いて語りかけてくるものを描く。
それには絵が語り、動くことだ。
ここで出会った夜神楽は、一晩中舞い続ける。
この舞を描き続ければよい。
動くものを描くのは難しい。
それでも描かないと動く絵は描けない。
こうして神楽宿を探して夜神楽を描いた。(本文より)

ギャラリーの奥まった所に書籍のコーナーがあり、販売(委託)していますので、
ご来館のときには、是非このコーナーも覗いて下さいね。
宮崎でしか手に入らないような、郷土色豊かな本が揃っていますよ。



アムは気になっていました。
「絵が動く」の本の中にありました。
~人物を描きたいとデッサンを始めたが、うまく描けない。
デッサンの勉強をしたくても人がいない。
そこで、中学生のころ学校の帰りに雨宿りに寄っていた国分寺の
「五智(ごち)如来」をモデルがわりに描き始めたのがきっかけ~とのこと。
描いているうちに、木喰仏の魔力に惹かれ
30年間も描き続けます。
木喰仏は、何度描いても同じように描けない。
なぜだろうか…
これはきっと、生きているから同じ顔でも違って見えるのだー
とあります。
あの自由奔放な所が好きになり、無欲・無邪気に生きた
その自由な宗教心にも惹かれた……ともあります。
「小伝 弥勒先生」(井口幸久・著 西日本新聞社 ¥1800+税)の中には
「水上で彫った観音様」というページがあります。
木喰上人が池に丸太を浮かべて、5体の如来坐像を彫ったー
のを再現したというのです。

本当にそんなことが出来るのか…と、
白羽の矢がたった弥勒氏。
かの池はすでに埋め立てられており、
一つ瀬川に丸太をつなぎ、弥勒氏が重さ2トンの楠の木にまたがる…
水を吸った楠はやわらかく、
ノミはやすやすと木肌を削っていった……とあります。


その画集も、夢たまごに展示してありますよ。

こうして、夢たまごで拝見する様々な作品。
そこから、作品や作者の背景や歴史、人生などを知るという作業…
いつの間にか私はたくさんの事を学ばせていただいていました。
うれしくて仕方ありません。
この大いなる出会い、ありがとうございます。





















次回の展示会のお知らせ
展示会名:伊東マンショ没後400年記念事業
展示期間:11月6日(火)~11月11日(日)
なお、11日(日)は18:30からぞろ目ライブを行います。
お楽しみに。詳細はブログをご覧ください。