昔懐かしいラジオ番組「とんち教室」の司会を長年務められた青木センセイの「「とんち教室」の時代」(1999年 展望社)をネタ元に、いろんな言葉遊びやエピソードをご紹介してきました(文末に過去2回分へのリンクを貼っています)。こちらの本です。
残念ながら、ネタもほぼ尽きましたので、今回がシリーズの最終回になります。これまでの分と合わせお楽しみください。
まずは、<上の句づけ>から。
七・七が与えられて、上の五・七・五を付けます。お題は、AだけどAでもない、とか、AだったりBだったり、のように、対照的なものを並べるのが定番です。
「大きすぎたり小さすぎたり」に付いたのは、
「兄さんが居るばっかりに僕の服」(下の子は、おさがり専門)
「先(さき)になったり後(あと)になったり」では
「独り者洗面するのが朝食の」
「上を向いたり下を向いたり」には
「打ち上げの花火見に来て金(かね)落とし」
「ほめたくもありほめたくもなし」に
「恋人に友の性格尋ねられ」
「見せたくもあり見せたくもなし」では
「待ちぼうけさせた彼女怒る顔」
(恋愛2句はいかにも、と思わせます)
さて、割とハードル低そうなので、自作自演してみました。
お題は「嬉しくもあり嬉しくもなし」で、
「若い気でいたのに席を譲られて」と付けたんですけど、どうですか?この年齢になると、電車で、席を譲る、譲られるって、ビミョーなものがありますからね。
<ものはづけ>という遊びもあります。「~なものは?」に、ちょっとありがちなもの、とか状況をウィットを効かせて、答えるものです。
ぞっとするものは・・・女房のミニスカート
高くて低いもの・・・・坊やを褒められた時の女房の鼻
ちょっと失礼なもの・・女の赤ちゃんを男の赤ちゃんと間違えた時
ちょっと非常識なもの・バスの降り際に千円札を出す男
(かつては、千円札が高額紙幣でしたからね)
なぞかけのバリエーションと言えなくもないですが、<類似点見つけ>という遊びがあります。
一見、言葉の一部は共通なだけで、関係のなさそうなもの同士の似ているところをこじつけて見つけようというものです。
〈沢庵と答案〉
あまり辛くつけて(漬けて、点けて)もらいたくない
歯がたたないのはそのまま出してしまう
〈扇風機と倦怠期〉
うるさいのもあれば、首を振ってあっちを向くものがある
〈お灸と月給〉
どうかすると途中で消えることがある
罰としてすえおかれることがある
最後に、私も以前、自作を披露した<いろはカルタ作り>です。
カルタですから、本来制約はありませんが、いろいろシバリをかけて作る、という手があります。
「とんち教室」では、自分の名前の最初の1文字で作る、というシバリで作りました。
石黒敬七さんの「イ」には
イヤな奴だが金(かね)がある
落語家橘ノ圓(たちばなの・まどか)さんの「マ」には
前から税金後ろから借金
その場にいるひとで、「イ」から順番に作っていく、テーマ(「男と女」、「私の夢」、「酒」など)のシバリをかけるなど、酒の席での余興としても楽しめそうな「言葉遊び」です。
前回(第291回)と前々回(第270回)分も合わせてお楽しみください。
お楽しみいただけましたか?それでは、また次回。