第39弾をお届けします。
<~かいな>
いかにもの大阪弁である「~かいな」の基本的な用法は3つです。
まずは、「命令」です。カジュアルですが、かなり強いニュアンスがあります。目上のものが目下のものに、とか、上司から部下へ使うことが多いようです。
「なにをグズグズしてんねん。さっさと行かん「かいな」(行きなさい)」のように。
それで思い出すのが、「その場で絵ぇ描かんかいな」という言い回しです。
大阪で仕事してた時、若い頃は、上司から言われ、少し上の立場になってからは、部下に対して使ってました。
意味するところは、あらかじめ想定していたことと事態が変わっても、その場で臨機応変に、機転を利かせて、柔軟に対応しなさい、ということなんですね。
「絵ぇ描け」というのが、いかにも大阪的です。
「うまくやれ」「よく考えろ」「自分で判断しろ」みたいな通り一遍の言い方より、よほど具体的で、分かりやすい指示(というか命令)になってます。ただし、「自己責任で」というニュアンスも、言外に匂ってたりしますが・・・
「約束してた相手がおらんかった?そんな時は、お局(つぼね)はんとこヘ、ご機嫌伺いに行くとか、手はあるやろ。「その場で絵ぇ描かんかいな」。のこのこ帰って来るだけやったら、イヌでもできるど!」
今日も、大阪のビジネス現場では、このフレーズが飛び交っているんでしょうなぁ。
次は、「反語による否定」です。
「うちのオヤジがそんなことする「かいな」」
ニュアンスとしては、「そんなことするわけないやろがっ」と、これも強い調子の言い回しです。
そして、最後が、「疑問」、「疑念」です。
「そんなうまい商売あるんかいな」「あるわけないやろっ!」とたいていは、強い否定の追い打ち、またはツッコミが返って来るのが多いようです。それで思い出すのが、「川柳でんでん太鼓」(田辺聖子 講談社文庫)に載っていたこの句です。
「命まで賭けた女てこれかいな」
ここまで行くと、疑問を通り越して、あきれかえって、軽蔑の念まで抱いていることになります。使いこなすのがやっかいな大阪弁の代表選手です。
<ほなな>
これ、日本語?と思われそうな大阪弁ですが、もちろんちゃんとした使い方があります。まずはイラストで、使う場面をイメージしてください。
分解すると、「ほな」と「な」です。「ほな」というのは。「それでは」とか、「それじゃ」のように話の区切りをつける時などに「ほな」だけ単独でも使えるカジュアルな表現です。一言付け加えて、「ほな、このへんで」とか「ほな、ワテは、先に行ってるから」のように使うこともできます。商談を切り上げる時なんかにも「ほな、そういうことで・・・」と、何が「ほな」なのか(あえて)詰めずに、なあなあで切り上げるのにも使えて便利です。
で、この「ほな」に、軽い念押しの「な」が付いて、「ほなな」の出来上がりです。最初の「ほな」は平板かつ一息に、そして、0.1秒ほど間(ま)を置いて、2つ目の「な」を上げ調子に言うのがコツなんですけど、お分かりでしょうか?
この「ほなな」ですけど、これだけで完結するのがユニークなところです。
「ほなな」(ほな、さいなら(さようなら))
「ほなな」(ほな、言われた通りやるんやで。分かってるな)
「ほなな」(ほな、オレは、先に帰るけど、あとは頼むで)
いかにも横着な大阪人らしい言い回しでしょ。
いかがでしたか?それでは次回をお楽しみに。