How many rivers must I cross? I don't know...

幸せになりたくて川を渡る・・・

2015/09/26,27 益田川~2015年 最終釣行

2015-10-04 18:37:42 | 渓流釣り 釣行記(益田川水系)
書きかけだった、2015年の最終釣行記。
記憶に残るうちに書きとめたものの、あまりにぶざまな釣りのために読み返す気も起こらなかった。
でもそれも2015年のシーズンの僕の釣果なのだからと思い直し、今更のように公開してみる。




一年前、2014年のシーズンの最終釣行を思い出してみる。
どうにかして網を掻い潜って釣りをしていたものの、さすがにどの有望ポイントも網だらけで腐り始めていた。
もういっそのこと釣行そのものを止めようかとさえ考えていた。
それが最終週末の前日になると、いつもよりもかなり気持ちの入っている自分が居ることに気付く。

今にして思うと、昨シーズンは確信や自信のようなものがあった。
それは自身の釣技に対するものではない。
根拠は無いけれど、釣れない気がしなかった。
「大丈夫だ。絶対に釣れる。日暮れまでに必ず尺上は獲れる」。
おかしな話だが、そんな気持ちをいつも抱きながら川に降り立っていた。
そして実際に魚たちが成長してくれた7月以降の釣行ではほぼ釣行の度に尺上の魚を手中に収めることができた。

それが今シーズンは到底そんな気持ちは持てない。
例年なら下流から差してきた大物が複数匹入っていて当然のポイントにもさっぱり魚が居ない。
アマゴだけでなくウグイの姿すら少ない。

まだまだ下流域でもたもたしているのかと思うがそうでもない。
下流域で釣れる魚も小さい。
好調だった昨シーズンも初期の釣りでは「何だか今年は小振りだな」と感じた。
だがそれは体長が小さいなと感じただけだったが、今シーズンは体長が小さいだけでなく体躯も細いように感じる。


奥飛騨の高原川の魚も小振りで細いと感じたが、ここ益田川の魚たちも成育状態があまりよくないのかもしれない。
支流の小坂川については二年続けて魚も薄いしサイズも小さい。
そのような状況の中で、更には水況や天候にもよく悩まされた。

増水したあとに水位がなかなか落ち着かない。
ダムにより流量が調整されているからであろう。
一見水位は高止まりで落ち着き、濁りも引いたに見えるが、よく見ると僅かに濁りが入っているということもある。
益田川の水は最上流域から複数のダムで流れが寸断されることが原因なのか、或いはこれが本来の水色なのか分からないが、強めの緑色が付いており透明度は決して高くない。
だから益田川への釣行回数が少ない釣り師や水況を気に止めない釣り師には気付かないが、一見濁りがないように見えてもよくよく観察すると懸濁したような濁りが僅かに入っていることがある。
そのようなときは、益田の魚の食いが頗る悪くなる。



最終釣行日はまさしくこのような日だった。
朝一番でポイントに入ったときに益田の水色を見て肩を落とした。
「よりによって、最終日にこの水色かよ・・・」。

8月の半ばからずっと高水状態が続いている。
60cm高だとか、90cm高だとか、その水位で竿を出すなんてどうかしてると思われるような水況の中でも竿を出してきた。
半日同じポイントで竿を出し続けることを余儀なくされたこともあった。
自身の釣技でカバーできる限度を遥かに超えていた。
でも1ヶ月半もの間、アマゴたちがずっとどこかに隠れているわけがない。
絶対に捕食行為はする筈だ。
ならばポイントの見立てでカバーできるはずだ。

しかし、僕の見立てはたいしたものではなかったということなのだろう。
時折20cm台のアマゴは食ってくれる。
幸運にも尺アマゴに巡り合えたこともあった。
でも例年の益田のことを思うとあまりにも貧弱な釣果だった。

「まったくどうしようないくらいに呪われたシーズンだったな・・・」。
終焉を告げようとしている2015年の益田川での釣りを振り返りながら、僕は日すがら竿を振り続けた。
しかし、アタリは一度も無かった。



翌日は少し水位が下がった。
多少無理をして薄暗い内に渡渉し、昨シーズンの最終釣行で36cmのアマゴを獲ったポイントに朝一番で入った。
しかし、相変わらずアタリは一切ない。
場所を変えようか、変えてもどのポイントでも同じようなものだろうし、いっそ納竿にするかと考えながら河原に腰をおろしていた時、毎年この時期にそこで出会う地元の網師の方に話しかけられた。

「どうや?釣れるか?」
「いや、全く釣れません。アタリすらない。アマゴだけでなくウグイも居ないです。」
「ほうやろう、今年はどうかしとるわ」

高水のためにずっと網が出せなかったらしい。
本来なら今日の水位でも網にはまだ厳しいとのことだったが、贈答用の鮎を仕入れたくて網を仕掛けたそうだ。
でも、全く獲れなかったようだ。

「ホントに滅多にないくらいの不漁の年やったな。」
「やっぱりそうなんですか・・・」
「ほうや。こんな年はそうそう無いでなあ。あんたもよう来よるで分かるやろう。デカイのなんか全然釣っとらんやろ?」
「ええ。今シーズンは益田本流では数えるほどです。」

6月から7月辺りは、気温がなかなか上昇せず、それに伴って水温の上昇も鈍かったことだろう。
そのためにアマゴたちは下流域に留まっていたのかと考えた。
でも、その下流域でも大型のアマゴを獲ったのはたった一度だけ。
恐らく、大きく育った個体が極端に少なかったのだと思う。

漁協管内では上流部に当たるポイントでは8月半ばまでは比較的まともな反応があった。
今シーズンは下流域は棄てて上流域で勝負しようと考えていたものの、高水続きでそれも断念せざるを得なくなった。

「もう終わりやなあ。来年また会おうな」
そう言って、その網師は川から上がって行った。
僕も竿を畳み川から上がった。
そしてクルマを上流部へ向けて走らせた。
でも、もう竿を出すつもりはなかった。
今シーズンはもう終わりでいい。
不完全燃焼どころか、火入りさえなかったような2015年の益田川。
恨めしい気持ちはあったが、来シーズンはこんなことにはなって欲しくない。
この目に益田の流れを収めて、魚はなかなか釣れなかったけど竿を出させてくれたお礼と、来シーズンはよろしくお願いしますとの気持ちを抱いて、幾つかのポイントに挨拶回りをした。


僕のホームと言える益田川と高原川、そのどちらも不漁に見舞われた2015年のシーズンが終わった。






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2015/09/22,23 益田川~辛うじて尺アマゴ

2015-10-03 23:56:08 | 渓流釣り 釣行記(益田川水系)
5連休の前半を桂川での釣りに充てた僕は貧果に落胆しながら岐阜へ戻った。
9月21日は所用のため釣りが出来ず、22日と23日に泊まり掛け釣行で益田川で竿を出すことにしていた。

もう詳細な釣行記など書く気も沸いてこず放置していた。
昨年まで梅雨時から禁漁間際まで最も大物の実績のあったポイントは、今シーズンは大物どころかアマゴそのものが殆ど入ってこなかった。
ウグイも極端に少ない。
それでも少しの望みを懸けて入ってみたものの、掌サイズのアマゴが数匹釣れただけだった。

水はかなり落ち着いてきた。
ポイントによってほぼ平水のところもあれば、20~30cm程度高いところもある。
アマゴたちが流れに出にくいような水況ではなかった。
でも食い気のあるのは未成熟の若魚たち。
大物には出会えない。

益田川本流沿いにクルマを走らせ、時折支流を眺めながら、本流から差した大物が着いていそなポイントはないか物色してみたが、なかなか心惹かれるポイントは見つからない。
結局そのまま小坂地域まで来てしまった。
どうしようか少し迷った。
支流の小坂川は昨シーズンから極端に釣れなくなった。
魚の数も少ないしサイズも小さい。
年々川底が砂に覆われて行くように感じる。
でも本流も期待できないし、綺麗な流れで竿を出してみることにしたが、2箇所のポイントで20cm前後のアマゴが数匹釣れただけだった。


すっかり気持ちが萎えていた。
昨年の同じ時期は、なんとか網を掻い潜って大物を獲ってやろうとしていたがそんな気持ちは到底持てない。
惰性で入った夕まずめの益田川本流のポイントで、何とか尺サイズのアマゴを釣ることが出来た。



写真の撮り方が悪かったのか随分小さく見えるが一応尺はある。
居残り放流魚なのだろうか、左側の胸鰭が欠損していた。

とにかく安堵の気持ちでいっぱいだったが、喜びとか達成感はもう全く無かった。
今シーズンの酷い釣りをなんとかしたい。
どうすれば最後に気持ちよく納竿できるだろうか。
寧ろそんなことを考えていた。



翌日も朝一番から去年までは実績のあったポイントを探ったが小さなアマゴに遊んでもらえただけだった。
昼過ぎに入ったポイントで28cmのアマゴを釣ったが、そのポイントでもそれっきりだった。



夕まずめまで粘る気力もなく、僕はまだ陽が高いうちに帰り仕度を始めた。
3日後の最終釣行も落胆させられるだけなのだろうな。
沈んだ気持ちのまま家路についた。



当日のタックル

竿:ダイワ 琥珀本流エアマスターメタルチューン105M
  シマノ スーパーゲームベイシスMH75-80

水中糸:フロロ0.6~0.8号,ナイロン0.8号

ハリス:フロロ0.5~0.6号

鈎:オーナー スーパーヤマメ8.5号

餌:ミミズ、ブドウ虫



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2015/09/12,13 益田川~アマゴたちは何処へ

2015-09-20 21:29:46 | 渓流釣り 釣行記(益田川水系)
益田川は高水が続いている。
停滞する秋雨前線のおかげで8月末に増水してから約半月もの間かなり高い水が続いている。
網師たちは殆ど網を出せていない。
釣り師だってまともに竿を出せるポイントが限られる。
その限られたポイントで何とか尺上のアマゴを獲りたいと思い、暴挙とも言える80cm高の水況の益田川へ向かった。
もう2015年のシーズンも最終盤なのだ。


増水して増した水勢の影響を直に受けない淵。
流芯脇のトロ場でも流れが停滞せず適度な水通しがある。
アマゴたちが避難しながらも就餌行動を取れるポイント。
この条件を満たすポイントに朝一番に入った。
淵のキャパシティが思ったより大きく、水位が増しても淵の表面積が広がっただけで、水勢はアマゴが充分に就餌行動を取れるくらいだった。

これはいけるかもしれない。
期待が膨らむ。
膝辺りまで立ち込んで10.5mのエアマスターをもってしても届かない筋は幾つもある。
探れる範囲で丁寧に流したがアタリはない。
やはり、釣り師が見た目に感じるのと、実際にそこに生息する魚の受け取り方は異なるのだ。
充分に流れに出られそうだと思ったのだが、まだ早かったようだ。


少し立ち位置を移動した。
恐らくウグイの巣窟だろうと思い最初は探るのをためらっていたのだが、その淵の中で一番流れの緩い筋に餌を流してみた。

一流し目から明確なアタリがあった。
しかし、これはウグイだろうなと思い鈎に掛かって欲しくなかったためそのまま暫く放置していたのだが、どうやら相手さんの方で勝手に鈎にかかったようだ。

軽くアワセをくれると首を振って走り出す。
「これはウグイじゃないぞ」と少し丁寧にやり取りをして寄せてきた。
やはりウグイではない。
アマゴだ。
そのまま慎重に寄せて網に入れると、27cmの雄のアマゴだった。
※画像はありません。


更に粘ってみたがこのポイントはここまでだった。
しかしながらこの高水でも食い気のあるアマゴは居るのだと思い、上流へクルマを走らせながら竿を出せそうなポイントを探した。
ところが事はそんなにうまく運ばない。
淵を中心にポイントを眺めてみたが、どのポイントもとても竿の出せる水況ではなかった。
支流の小坂川に入ってみたが、掌より少し大きいくらいのアマゴが数匹釣れただけだった。


もうどうしようもないなと諦めざるを得なかった。
食い気はないだろうが魚は確実に入っているだろう、しかも入っているなら大物というポイントが益田川本流にある。
夕まずめ、一発勝負に出ることにした。



この水況で竿を出すなんて、なんて酔狂な釣り師だろうとくだらない駄洒落を言いたくなるほど目も当てられない流れだった。
しかし、何かに摂り憑かれたように黙々と繰り返し竿を振り、餌を流し続ける。
高水のため流す筋は限られている。
それでも僕は根気よく流し続けた。
今シーズンずっと耐えてきた。
天候と水況に悩まされる釣行が多い中、例年なら大物が入っているだろうポイントでもかすりもしない状況にも耐えてきた。
そろそろ、益田の神が微笑んでくれてもよい頃ではないか。

しかしながら神の表情に笑みは浮かばなかったようだ。
こんなサイズのアマゴが2匹遊んでくれただけだった。





翌日も益田川漁協管内の全域を見て回った。
前日よりは水位は落ち着いたが、まだまだ釣りには制約がある水位だった。
いっそのこと同じポイントで何とかのひとつ覚えのように竿を振り続けてみようか。
そんな考えが浮かんできた。

ある程度川を見て回った後、僕はそのような愚かとも言える釣り方を実行に移し始めた。
遡上魚を狙っているのかと錯覚するような釣りだった。
見事にアタリはない。
何度も挫折しそうになった。
しかし、他のポイントへ入ってもまともに竿は出せないのだと思いなおし、途中で自身の休息も兼ねて場を休めながら、とにかくひたすら同じポイントで竿を振り続けた。
しかし、結果は前日と何も変わらなかった。
こんなサイズのアマゴが2匹釣れただけ。





昨年は9月に入ってもほぼ釣行毎に尺以上の魚に出会えた。
帰り際は心の底から益田川に対する感謝の念を抱いていた。
今年はなかなかそうは思えない。
寧ろ恨めしく思う。

日暮れまで粘ってみたがいい魚には出会えなかった。
恨めしい気持ち、悪態をつきたい気持ち、それでもやはりどこかで期待したい気持ち・・・
色々な感情が入り混じった複雑な気持ちを抱きながら日暮れまで粘った。
この気持ちは何処にぶつければよいのだろう。



当日のタックル

竿:ダイワ 琥珀本流エアマスターメタルチューン105M
水中糸:フロロ0.8号 ナイロン0.8号
ハリス:フロロ0.6号
鈎:オーナー スーパーヤマメ 8.5号
餌:ミミズ、ブドウ虫



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2015/08/22 益田川~荒んだ気持ちをリセットしてくれた尺上アマゴ

2015-08-22 21:55:11 | 渓流釣り 釣行記(益田川水系)
2015年8月22日。
この日の僕は益田川へ向かった。
南飛騨の益田川だ。
奥飛騨の高原川ではない。
先週末の釣行後からずっと天候と水況を見ていると益田川の方が期待出来ると判断したからだ。


釣行前日、仕事のトラブルがあり帰宅が遅くなった。
なんだか運が悪いなあという感じのトラブルだった。
モヤモヤというかイライラというか、すっきりしない気分だったし、実際日付が変わって休日になったというのに、解放感が全くなかった。

そんな気持ちをリセットしたい、益田川に洗い流してもらおうと期待しての釣行だったが、運のなさはそのまま継続しているようだ。
自身の腕が未熟だからというようなものではなく、運が悪いなあという障壁が朝から昼以降まで続き、まともに釣らせてもらえなかった。
色々と詳細に記述すると、また不愉快な気分に引き戻されそうなので、今日はもう釣果画像と少しの本文とします。


昼過ぎまでモヤモヤ、イライラは継続。
もう限界。
何とか夕まずめに尺上を獲って、清々しい気分で今日の釣りを終えたいと願って入ったポイントでの釣果。




先ずは33cmのアマゴ。
雌らしい穏やかな表情のアマゴだった。



次に30cmほぼジャストの雄のアマゴ。




この二匹で不愉快な気持ちは解消。
ありがとうな。またよろしく頼むよ。



当日のタックル

竿:ダイワ 琥珀本流エアマスターメタルチューン105M
水中糸:フロロ0.8号
ハリス:フロロ0.6号
鈎:オーナー スーパーヤマメ8.5号
餌:ミミズ




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2015/08/15 益田川~賭けて出した盛夏の尺上アマゴ

2015-08-20 12:51:43 | 渓流釣り 釣行記(益田川水系)
2015年8月15日。
僕はこの日は南飛騨の益田川にいた。
例年なら8月は先ず益田河畔には立たない。
山地とは言え気温がかなり上昇する地域であることと渇水傾向が相まって、とてもアマゴを狙える水温ではない。
朝一番だけならまだ勝負は出来るが、陽が高くなってから夕まずめまで、せっかくの休日を釣りをせずに過ごすことは避けたい。

そんな思いで、僕は例年盛夏の時期には奥飛騨の高原川に行く。
しかし、前日の僕は高原川に見切りを付け益田川に向かった。
高原川での釣果があまりにも酷い。
3日と半日近く竿を出して獲った尺以上の魚は、ちょうど尺のヤマメ二匹のみ。
数も型も芳しくないし、アタリも少ない。
例年盛夏の時期にはアタリは遠くはなるが、それでも尺上のヤマメを1日に複数本獲れたし、それ以下のヤマメもそれなりに出てきた。
それを思うと、今シーズンの高原川は魚が少ないように感じる。
降雨があればその後の状況は少しは良くなるかもしれないが、そもそも少ない魚を釣るのは難しい。
そこで益田川はどうかという考えが思い浮かんできた。


ひと頃の猛暑から多少は過ごしやすくなったとは言え、ここ数日の下呂市周辺の天候をチェックしているとまだまだ暑い。
降雨がないために川は渇水状態。
水温も相当に高い。
漁協のホームページによると、鮎釣りに適した箇所でのことだが、益田川の水温は25℃とのことだった。
はっきり言ってアマゴを釣るには絶望的な水温のはずだ。
しかし、二日前に少ないとは言え降雨があった。
僅かではあるが水位は上昇した。
そしてその翌日は終日曇りがちな天気だった。
これまでよりも日中の水温の上がり方は穏やかなはずだ。

纏めると状況はこういうことだ。
ずっと高水温の渇水が続いた後に、僅かでも水位が上昇して水温の上がり方が穏やかだったとなれば、もしかしたらアマゴたちが動くかも知れない。
朝一番のほんの僅かな時間でも動くかも知れない。
更には予報では、僕が釣行を企んでいる15日も曇りがちな天候のようだ。
夕まずめも大いに期待して良いかもしれない。
僕は高原川に申し訳ないなとは思いつつも、気持ちは益田川に向いていた。



2015年8月15日の夜明けとほぼ同時に川に降りて行った。
3日前の降雨で一旦は平水に戻ったものの既に渇水と言ってもよいほどまで水位は落ちている。
釣り座に向かう途中に益田の水に手を浸してみたがとても温い。
高原川と比べるとかなり温い。
「厳しい釣りになるな。やはり盛夏の益田はむりなのか・・・」。
そんなことを考えながら釣り座に着くと、僕は先ず水温計を流れのある地点に浸した。
表示は18。5℃前後。
まるっきり無理な水温ではない。
「でもここは陽が射すまでの勝負だろうな。」

僕はいつもやるように手前から奥へ少しずつタナを深くしながら探っていった。
しかし、釣れてくるのはウグイとカワムツだけ。
掌サイズのアマゴが1匹釣れたが、脂鰭のある魚はそれだけだった。

もう一箇所、水温が低いポイントがあった。
間違いなく水温は低いのだが、果たして今時期にそのポイントにアマゴが着いているのか不安だった。
ものは試しとばかりに竿をだしたが、ここでも結果は同じだった。
掌サイズのアマゴとウグイにカワムツ。
「本流は夕まずめに賭けよう。ひとまず小坂へ行こう」。
僕は国道41号を北進し、益田川の大支流、小坂川へと向かった。


しかし、小坂の状況も悲観的だった。
過去に、これほどまでに温くなった小坂の水に入ったことはない。
盛夏の頃でもアマゴが充分に活動可能な水温の小坂の水が今日はとても温い。
案の定どのポイントでも反応はなかった。
時計の針は15時半を回った頃だった。
そろそろ行こうかと、夕まずめに勝負をかけようと思っていたポイントに向けてクルマを走らせた。



既に山の端に陽が半ば隠れていた。
これから少しずつ魚が動き出すはずだ。
しかし川は渇水状態。
流れも相当緩い。
自然の流れを利用して釣りをする餌師にとってはなかなかに厳しい状況だった。

僕は仕掛けが飛ばせる最少限度のオモリとしてガン玉Bを1個噛ませた。
少しでも自重で飛ばしやすいようにと考え、ミミズは大きめのものを鈎に付けた。

先ずは1投目。
岸近くから流芯へ向かう緩い流れを利用して、餌の流しを演出していた。
気付くと目印が流れを無視した方向に右往左往してもがいている。
アワセをくれると、相手はそのまま一気に下流へ向けて走り始めた。
竿が伸び切ったところで水面を割ってジャンプした相手は40cmほどのニジマスだった。
ニジマスとは言え、久しぶりに味わう大物の手応え。
ここは存分に遊んでもらおうと僕は下流へ歩を進め、矯めの体勢を取れるよう試みた。
竿を充分にためることが出来ると、動きを阻止された相手は再び水面に顔を出して首を振る。
そのままジャンプかテイルウォークに移りたいような動きを見せたが、僕は直ちに竿を水面ギリギリまで下げてそれを阻む。
自分の意思どおりに動けない相手は、もう後先考えずに暴れまくり深場へ潜り、浮き上がり、首を振りもがいた。

ありったけの力で抵抗したのだろう。
ファイトは長くは続かなかった。
引きが弱まったことが分かると、僕は取り込みのために下流へ移動した。
水面付近で弱々しくヒラを打ちながら竿の動きに従うだけのニジマスが居る。
既にその時点で眼が虚ろになっていることが分かった。
「こりゃ気を付けないとまずいな。死なせてしまうな。」
寄せの動作からそのまま玉網に入れた。
少し休んでもらってからリリースしないとこれは本当に逝ってしまうかもしれないと危惧し、水中でストリンガーをかけて再び流れに戻した。
僕も一息ついた後、水中からストリンガーを引き上げ、構図などお構いなしに手早くほんの数秒で撮影を済ましたが、目は虚ろなままだった。




何とか帰る頃までには回復してもらわないと困るなと思いながら再び釣りを開始した。
ほんの数回流した後、再びアタリがあった。
さほど大きくはないなと予測したが、それは案の定27cmのアマゴだった。
「今日はよく食う日なのかな」と思いながら再び流し始めると、穂先がググンっと引き込まれる強い魚信があった。
すかさずアワセを入れ、暫く遣り取りをしたものの、餌のミミズがすっぽ抜けて水面に上がってきた。
恐らく一気に口の奥まで入ったのだろうが、鈎掛かりしていなかったのだろう。
結構な重量感のある引きだったため残念に感じた。


その後も立て続けに二度アタリがあった。
一度はアワセを入れた瞬間にハリスがチモトで切れた。
もう一度は同じ失敗を犯したくないとの思いから、既に魚が餌を咥えて動き回り始めていたため、軽く竿を立てるような感じでアワセを入れたが、鈎が外れてしまった。
こんなよく食う日に獲れないなんて運がないんだなと思いながら、夕闇迫る益田川に尚も流していると、ググンっと穂先が強く引き込まれる先ほどと同じような魚信が再び竿を襲った。

今度こそと思いながら短めではあるものの瞬発力のあるアワセを試みた。
確実に鈎に乗った感のある重量感のある手応え。
走りはせずにその場で激しく首を振っている。
かなり激しく、そして相当に鋭角的な首振りだった。
間違いない、アマゴだと確信し、決してばらさぬよう力加減を調整しながら慎重に竿を矯めた。
走りはしないが、深場に突っ込むような引きを繰り返し、そのまま深場を移動する。
向きを変えるときに激しい首振りが襲う。
目印はまだまだ水面付近にある。
僕はそのまま少しずつ下流へ移動し、取り込み位置に近付いた。
下流へ向かうに連れ、魚の方も体力の限界が近付いているようだった。
少しずつ目印の位置が上がり、ついに水面付近に魚の姿を認めた。
尺上のアマゴだ。
おとなしく抵抗せずに岸際に近付いてくる。
僕は玉網を腰から抜いた。
そのまま騙すようにゆっくり岸に導き、構えた玉網に導いた。



益田の盛夏のアマゴ 33cm。
今日は高原を諦めて益田に来て本当に良かった。
かなり賭けの要素の強い川の選定だった。
悪い予感は的中かなという思いが時間の経過とともに強くなっていったが、夕まずめのあと僅か数分で日没というタイミングで獲った尺上のアマゴたった。



これで納竿にしようと思った。
最後に1本立派な尺上のアマゴを獲れたのだから、今日の釣りは良い釣りだったではないか。
これ以上ガツガツしてどうする?と自問したものの、まだ目印は確認できる明るさだった。
「益田へのお礼のつもりで目印が見えなくなるまで竿を振っていよう」。
何故か急にそんな思いが沸き出て、僕は今しがた33cmのアマゴを掛けた周辺を流していた。
すると、先ほどよりは小物だろうけど尺はあるなという手応えと知らぬ間に格闘していた。



獲れた魚は31cmのアマゴ。
少し痩せてはいたが体長だけなら正真正銘31cmの尺上のアマゴだった。



帰り際、僕はニジマスの口からストリンガーを外し流れに返した。
まだ完全には回復していない様子だったが、一晩中繋いでおくわけにもいかない。
かなり無謀な盛夏の益田川釣行であったが、結果が出せて嬉しい。
自身で言うのもおこがましいが、今日は本当に高原ではなく益田だという判断が功を奏したことは間違いない。
益田川、またよろしく頼むよ。
僕は既に暗がりと化した益田川に挨拶をして釣りを終えた。





当日のタックル
竿  :ダイワ 琥珀本流エアマスターメタルチューン 105M
水中糸:フロロ 0.6号
ハリス:フロロ 0.5号
鈎  :オーナー スーパーヤマメ 8号
餌  :ミミズ





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