書きかけだった、2015年の最終釣行記。
記憶に残るうちに書きとめたものの、あまりにぶざまな釣りのために読み返す気も起こらなかった。
でもそれも2015年のシーズンの僕の釣果なのだからと思い直し、今更のように公開してみる。
一年前、2014年のシーズンの最終釣行を思い出してみる。
どうにかして網を掻い潜って釣りをしていたものの、さすがにどの有望ポイントも網だらけで腐り始めていた。
もういっそのこと釣行そのものを止めようかとさえ考えていた。
それが最終週末の前日になると、いつもよりもかなり気持ちの入っている自分が居ることに気付く。
今にして思うと、昨シーズンは確信や自信のようなものがあった。
それは自身の釣技に対するものではない。
根拠は無いけれど、釣れない気がしなかった。
「大丈夫だ。絶対に釣れる。日暮れまでに必ず尺上は獲れる」。
おかしな話だが、そんな気持ちをいつも抱きながら川に降り立っていた。
そして実際に魚たちが成長してくれた7月以降の釣行ではほぼ釣行の度に尺上の魚を手中に収めることができた。
それが今シーズンは到底そんな気持ちは持てない。
例年なら下流から差してきた大物が複数匹入っていて当然のポイントにもさっぱり魚が居ない。
アマゴだけでなくウグイの姿すら少ない。
まだまだ下流域でもたもたしているのかと思うがそうでもない。
下流域で釣れる魚も小さい。
好調だった昨シーズンも初期の釣りでは「何だか今年は小振りだな」と感じた。
だがそれは体長が小さいなと感じただけだったが、今シーズンは体長が小さいだけでなく体躯も細いように感じる。
奥飛騨の高原川の魚も小振りで細いと感じたが、ここ益田川の魚たちも成育状態があまりよくないのかもしれない。
支流の小坂川については二年続けて魚も薄いしサイズも小さい。
そのような状況の中で、更には水況や天候にもよく悩まされた。
増水したあとに水位がなかなか落ち着かない。
ダムにより流量が調整されているからであろう。
一見水位は高止まりで落ち着き、濁りも引いたに見えるが、よく見ると僅かに濁りが入っているということもある。
益田川の水は最上流域から複数のダムで流れが寸断されることが原因なのか、或いはこれが本来の水色なのか分からないが、強めの緑色が付いており透明度は決して高くない。
だから益田川への釣行回数が少ない釣り師や水況を気に止めない釣り師には気付かないが、一見濁りがないように見えてもよくよく観察すると懸濁したような濁りが僅かに入っていることがある。
そのようなときは、益田の魚の食いが頗る悪くなる。
最終釣行日はまさしくこのような日だった。
朝一番でポイントに入ったときに益田の水色を見て肩を落とした。
「よりによって、最終日にこの水色かよ・・・」。
8月の半ばからずっと高水状態が続いている。
60cm高だとか、90cm高だとか、その水位で竿を出すなんてどうかしてると思われるような水況の中でも竿を出してきた。
半日同じポイントで竿を出し続けることを余儀なくされたこともあった。
自身の釣技でカバーできる限度を遥かに超えていた。
でも1ヶ月半もの間、アマゴたちがずっとどこかに隠れているわけがない。
絶対に捕食行為はする筈だ。
ならばポイントの見立てでカバーできるはずだ。
しかし、僕の見立てはたいしたものではなかったということなのだろう。
時折20cm台のアマゴは食ってくれる。
幸運にも尺アマゴに巡り合えたこともあった。
でも例年の益田のことを思うとあまりにも貧弱な釣果だった。
「まったくどうしようないくらいに呪われたシーズンだったな・・・」。
終焉を告げようとしている2015年の益田川での釣りを振り返りながら、僕は日すがら竿を振り続けた。
しかし、アタリは一度も無かった。
翌日は少し水位が下がった。
多少無理をして薄暗い内に渡渉し、昨シーズンの最終釣行で36cmのアマゴを獲ったポイントに朝一番で入った。
しかし、相変わらずアタリは一切ない。
場所を変えようか、変えてもどのポイントでも同じようなものだろうし、いっそ納竿にするかと考えながら河原に腰をおろしていた時、毎年この時期にそこで出会う地元の網師の方に話しかけられた。
「どうや?釣れるか?」
「いや、全く釣れません。アタリすらない。アマゴだけでなくウグイも居ないです。」
「ほうやろう、今年はどうかしとるわ」
高水のためにずっと網が出せなかったらしい。
本来なら今日の水位でも網にはまだ厳しいとのことだったが、贈答用の鮎を仕入れたくて網を仕掛けたそうだ。
でも、全く獲れなかったようだ。
「ホントに滅多にないくらいの不漁の年やったな。」
「やっぱりそうなんですか・・・」
「ほうや。こんな年はそうそう無いでなあ。あんたもよう来よるで分かるやろう。デカイのなんか全然釣っとらんやろ?」
「ええ。今シーズンは益田本流では数えるほどです。」
6月から7月辺りは、気温がなかなか上昇せず、それに伴って水温の上昇も鈍かったことだろう。
そのためにアマゴたちは下流域に留まっていたのかと考えた。
でも、その下流域でも大型のアマゴを獲ったのはたった一度だけ。
恐らく、大きく育った個体が極端に少なかったのだと思う。
漁協管内では上流部に当たるポイントでは8月半ばまでは比較的まともな反応があった。
今シーズンは下流域は棄てて上流域で勝負しようと考えていたものの、高水続きでそれも断念せざるを得なくなった。
「もう終わりやなあ。来年また会おうな」
そう言って、その網師は川から上がって行った。
僕も竿を畳み川から上がった。
そしてクルマを上流部へ向けて走らせた。
でも、もう竿を出すつもりはなかった。
今シーズンはもう終わりでいい。
不完全燃焼どころか、火入りさえなかったような2015年の益田川。
恨めしい気持ちはあったが、来シーズンはこんなことにはなって欲しくない。
この目に益田の流れを収めて、魚はなかなか釣れなかったけど竿を出させてくれたお礼と、来シーズンはよろしくお願いしますとの気持ちを抱いて、幾つかのポイントに挨拶回りをした。
僕のホームと言える益田川と高原川、そのどちらも不漁に見舞われた2015年のシーズンが終わった。
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記憶に残るうちに書きとめたものの、あまりにぶざまな釣りのために読み返す気も起こらなかった。
でもそれも2015年のシーズンの僕の釣果なのだからと思い直し、今更のように公開してみる。
一年前、2014年のシーズンの最終釣行を思い出してみる。
どうにかして網を掻い潜って釣りをしていたものの、さすがにどの有望ポイントも網だらけで腐り始めていた。
もういっそのこと釣行そのものを止めようかとさえ考えていた。
それが最終週末の前日になると、いつもよりもかなり気持ちの入っている自分が居ることに気付く。
今にして思うと、昨シーズンは確信や自信のようなものがあった。
それは自身の釣技に対するものではない。
根拠は無いけれど、釣れない気がしなかった。
「大丈夫だ。絶対に釣れる。日暮れまでに必ず尺上は獲れる」。
おかしな話だが、そんな気持ちをいつも抱きながら川に降り立っていた。
そして実際に魚たちが成長してくれた7月以降の釣行ではほぼ釣行の度に尺上の魚を手中に収めることができた。
それが今シーズンは到底そんな気持ちは持てない。
例年なら下流から差してきた大物が複数匹入っていて当然のポイントにもさっぱり魚が居ない。
アマゴだけでなくウグイの姿すら少ない。
まだまだ下流域でもたもたしているのかと思うがそうでもない。
下流域で釣れる魚も小さい。
好調だった昨シーズンも初期の釣りでは「何だか今年は小振りだな」と感じた。
だがそれは体長が小さいなと感じただけだったが、今シーズンは体長が小さいだけでなく体躯も細いように感じる。
奥飛騨の高原川の魚も小振りで細いと感じたが、ここ益田川の魚たちも成育状態があまりよくないのかもしれない。
支流の小坂川については二年続けて魚も薄いしサイズも小さい。
そのような状況の中で、更には水況や天候にもよく悩まされた。
増水したあとに水位がなかなか落ち着かない。
ダムにより流量が調整されているからであろう。
一見水位は高止まりで落ち着き、濁りも引いたに見えるが、よく見ると僅かに濁りが入っているということもある。
益田川の水は最上流域から複数のダムで流れが寸断されることが原因なのか、或いはこれが本来の水色なのか分からないが、強めの緑色が付いており透明度は決して高くない。
だから益田川への釣行回数が少ない釣り師や水況を気に止めない釣り師には気付かないが、一見濁りがないように見えてもよくよく観察すると懸濁したような濁りが僅かに入っていることがある。
そのようなときは、益田の魚の食いが頗る悪くなる。
最終釣行日はまさしくこのような日だった。
朝一番でポイントに入ったときに益田の水色を見て肩を落とした。
「よりによって、最終日にこの水色かよ・・・」。
8月の半ばからずっと高水状態が続いている。
60cm高だとか、90cm高だとか、その水位で竿を出すなんてどうかしてると思われるような水況の中でも竿を出してきた。
半日同じポイントで竿を出し続けることを余儀なくされたこともあった。
自身の釣技でカバーできる限度を遥かに超えていた。
でも1ヶ月半もの間、アマゴたちがずっとどこかに隠れているわけがない。
絶対に捕食行為はする筈だ。
ならばポイントの見立てでカバーできるはずだ。
しかし、僕の見立てはたいしたものではなかったということなのだろう。
時折20cm台のアマゴは食ってくれる。
幸運にも尺アマゴに巡り合えたこともあった。
でも例年の益田のことを思うとあまりにも貧弱な釣果だった。
「まったくどうしようないくらいに呪われたシーズンだったな・・・」。
終焉を告げようとしている2015年の益田川での釣りを振り返りながら、僕は日すがら竿を振り続けた。
しかし、アタリは一度も無かった。
翌日は少し水位が下がった。
多少無理をして薄暗い内に渡渉し、昨シーズンの最終釣行で36cmのアマゴを獲ったポイントに朝一番で入った。
しかし、相変わらずアタリは一切ない。
場所を変えようか、変えてもどのポイントでも同じようなものだろうし、いっそ納竿にするかと考えながら河原に腰をおろしていた時、毎年この時期にそこで出会う地元の網師の方に話しかけられた。
「どうや?釣れるか?」
「いや、全く釣れません。アタリすらない。アマゴだけでなくウグイも居ないです。」
「ほうやろう、今年はどうかしとるわ」
高水のためにずっと網が出せなかったらしい。
本来なら今日の水位でも網にはまだ厳しいとのことだったが、贈答用の鮎を仕入れたくて網を仕掛けたそうだ。
でも、全く獲れなかったようだ。
「ホントに滅多にないくらいの不漁の年やったな。」
「やっぱりそうなんですか・・・」
「ほうや。こんな年はそうそう無いでなあ。あんたもよう来よるで分かるやろう。デカイのなんか全然釣っとらんやろ?」
「ええ。今シーズンは益田本流では数えるほどです。」
6月から7月辺りは、気温がなかなか上昇せず、それに伴って水温の上昇も鈍かったことだろう。
そのためにアマゴたちは下流域に留まっていたのかと考えた。
でも、その下流域でも大型のアマゴを獲ったのはたった一度だけ。
恐らく、大きく育った個体が極端に少なかったのだと思う。
漁協管内では上流部に当たるポイントでは8月半ばまでは比較的まともな反応があった。
今シーズンは下流域は棄てて上流域で勝負しようと考えていたものの、高水続きでそれも断念せざるを得なくなった。
「もう終わりやなあ。来年また会おうな」
そう言って、その網師は川から上がって行った。
僕も竿を畳み川から上がった。
そしてクルマを上流部へ向けて走らせた。
でも、もう竿を出すつもりはなかった。
今シーズンはもう終わりでいい。
不完全燃焼どころか、火入りさえなかったような2015年の益田川。
恨めしい気持ちはあったが、来シーズンはこんなことにはなって欲しくない。
この目に益田の流れを収めて、魚はなかなか釣れなかったけど竿を出させてくれたお礼と、来シーズンはよろしくお願いしますとの気持ちを抱いて、幾つかのポイントに挨拶回りをした。
僕のホームと言える益田川と高原川、そのどちらも不漁に見舞われた2015年のシーズンが終わった。
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