例年なら先ずは6月は益田川中心の釣行で、一度くらいは高原川にも行くかなという程度。
しかし、昨シーズンは高原川でかなり良い釣りをすることが出来たため、もう少し早い時期の高原川も見たくなった。
その週の初めから仕事の段取りを付けたり、仕掛けを周到に準備したりと、万全の態勢で自宅を出た。
自宅や勤務先だけでなく、高原川流域も金曜の午後から弱い雨が降り続いていた。
ネットの情報で随時水位を確認していたが、何も変化はなく平水が続いていた。
これならば大丈夫だろうと判断し、200kmの道程を走り夜明け前に高原川に到着した。
身支度を整えて後は夜が明けるのを待つばかりというとき、雨の中遠くから発電所の放送と放水のサイレン音が聞こえてきた。
どうやら夜半に上流部で強く降ったようだ。
ほどなくして濁った水が高原川を襲った。
2015年のシーズン最初の高原川での釣行はこんな始まりだった。
お目当てにしていたポイントは到底釣りにならない。
上流部へとクルマを走らせたが濁りは一向に薄くならない。
試しにひとつの支流の川沿いをクルマで走らせてみた。
本流よりは濁りの程度は低かった。
これならば釣りが出来ると判断し、河原の斜面を下りて行った。
竿を振る前に、手を川面の水の中へ突っ込んでみた。
恐ろしく冷たい。
水温を計ると10℃を切っていた。
僕が先週まで竿を出していた長良川や、もうひとつのホームである益田川に比べると確かに高原川の方が水温は低い。
しかし、6月にもなって10℃を切るものなのか?
もしかして雪代なのか?
だとしたらこの濁りで急激な水温低下とあってはもう釣りどころではないだろう。
殆ど諦めの境地で試しに竿を出したが全く食わない。
アタリなのか川底の石に当たったのか判断付かないようなコツンという感触が一度あっただけだった。
取り敢えず寝よう。
眠い。
眠っている間に濁りが取れるかもしれない。
日中は陽が射すという予報だし、もしかしたら状況は好転するかも知れない。
淡い期待を抱きながら、僕はクルマに戻り、座席のシートを倒して眠った。
目覚めてからもう一度本流に戻った。
明け方よりは濁りは薄くなっているし、水位も平水にかなり近くなっている。
せっかくここまで来たのだから一応竿を出してみるかと思っていた時、地元の釣り師Iさんに会った。
Iさんによると、やはりこの濁りと低水温は雪代らしい。
昨年の冬の降雪が多く、強い降雨があると未だに雪代が入るそうだ。
そして、いいサイズのヤマメは全然釣れていないとのことだった。
天候のよい日に雪が解けて午後から水温が下がるというのはもっとシーズン初期のことなのだろう。
僕は雪代の影響を受ける水系での釣りの経験がないため詳しいことは分からないが、多分間違ってはいないと思う。
ある程度季節も進んだし、溶けるべき雪は大方が溶けたのだろう。
通常の好天の際には雪代の影響も受けず、「高原川で良い釣りが出来た」と言っている人も居る。
しかし、強い雨はまた別なのかな。
実際に雪代は入っているし。
今日はここで一日粘っても難しいなと思い僕は高原川を後にした。
もう少し梅雨らしい雨が降った後で、もう一度状況確認のために高原川を訪れようと考えながら、残念な気持ちを消せないままに僕は高原川から去って行った。
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