河原には
よく似た背中を丸めつつ
等間隔に並ぶ恋人
よく似た背中を丸めつつ
等間隔に並ぶ恋人
「男の悲劇はね」
と食事中のワインのためにか
なり酔った声で、男が言った。
「心から惚れてしまった女に
対しては、卑猥になれないこと
なんだ。性と愛というのは、永
久に平行線をたどるしかないら
しい」
「愛は家の中で飼っておいて、
性を外で求める典型的な例ね」
「男の悲劇だよ」
と彼はもう一度同じ言葉を呟
いた。
「女にとっても悲劇よ。女だっ
て同じよ」
と私は言った。
「男が感じることは女だって
同じように感じるのよ。男だけ
がそうだっていうことはないと
思うのよ。結婚した男だけが卑
猥なセックスに対して飢えてい
るわけじゃないの。女も同じな
の。女の性にとっても、愛とか、
習慣とか義務といったものは障
害になるのよ」