香水とカクテル

 

 

 

 

マティーニというカクテルが
ある。

ジンとベルモットで作るのだが、
通ほどこのベルモットの量に
こだわる。
つまり少なければ少ないほど、
”ドライ”。
粋というわけだ。

　老舗のバーでは、大ぶりの
氷をベルモットで洗い、
そのベルモットの香りのする
氷をシェイカーにぶち込み、
ジンを注ぎ入れ素早くシェイ
クする。

きりっと冷えたものをグラスに
注ぐ。
うっとりとした工程だ。

　マティーニに入れるベル
モットの分量というのは、
女の人がつける香水の
ようなもの。

香水の香りも少なければ
少ないほど粋なのだ。

耳の後、首、胸元、乳首、
手首、膝の裏と、

その日、自分が一番感じる
ところ一か所につける。
脈打ってなくても、カレが
口づけする箇所が基本。

全部点々と香水をつけたら
つけすぎ（笑）

　強い香りの香水は、
部屋の中に香水をシュシュと
吹いておいて、その霧の中を
通りぬける。

そんなにはかなげにつけても、
ふとした拍子やすれ違いぎわ
に、微かに香るものだのだ。

そのはかなげな微かな残り
香りこそ、異性を弾きつける
のである。

宿題

 

私はリュックから手紙を
取りだし、もう一度読み
始める。

　電車が揺れてガクンと
停まった。斜めになりなが
ら片手で吊革につかまり
窓の外を見る。
線路脇に数本のヒマワリ
が咲いている。

体を起し、手紙の最後の
行に目を落とす。
［今、素晴らしい恋をして
ますか？］

　意気な昔の私から、
今の私へ厄介な宿題を
出されてしまったカンジ
だ。

　まだ、宿題をやっていない
今日なのだが・・・・・。

　昔の私にひとつだけ
教えてほしいことがある。

「ねぇ、一体どういう恋が
素晴らしいの？」

夜明け

 

 

大人になってゆくということが
純粋でなくなることと同義語で
あった頃、過ぎてゆく季節の
中で

「恋」は「孤独」だから
返事はいらないと思う

夜明けのバーボンソーダ

ファンデェーションのコツ

ファンディーションは、
まず自分の肌の色に合った
もの、つまり顔色の欠点を
カバーするものを選ぶこと
が大事です。

血色の悪い人はピンク系の
ファンディーションを使って
ください。

また、
手のひらで、
モイスチャーライザーと
ファンディーションをまぜて
から塗ると、長もちします。

【ポイント】
肌も観葉植物と同じ、
いつも適度な水分が必要です。

ファンディーションを塗ってから、
日に二、三回は霧吹きで
水分をスプレーすると、
みずみずしさが保てます。

プロは、
ファンディーションを塗るまえと
あとの肌に、
ミネラル・ウオーターを
スプレーしています。

アイ・ラヴ・ミーでいいんじゃない

自分のことを好きでいられる。
これは、美しくあるための
重要ポイント。

自分を愛している人は、自信の
オーラで輝いています。

彼女に声をかける、粋な言い回しを、いくつ思いつきますか。

経済や政治情勢に詳しい
だけが男の能力じゃあり
ません。

粋な言い回しで女を口説く、
これも男の能力です。

君がいるから、恋をした。

 

 

なんてロマンチックな
愛の告白。

女のコは待っているんです。
バレンタインデーのお返し
にこんな言葉を。

もろともに冬幾たびも籠（こも）りつつきみこそもつと知りたきひとり

　ある日、国語の先生が、黒板に

大きな字で「知は愛なる」と書か

れた。中学時代の記憶なので、細

かい説明は忘れてしまったが（た

ぶん、有名な人の言葉なのだろう）、

この黒板の文字だけは、とても

印象に残った。というのも、正直

言って「なんで？」と思ったからだ。

 

「知るということは、愛するという

ことなんですね」—　と先生は簡単

に言うけれど、知れば知るほど嫌い

になる奴だっているし、愛っていう

のは、もうちょっとその、知識なん

かで割り切れないものではないだろ

うか・・・・。愛という言葉に、お

おいなる憧れを持っていた十代の青

年には、なんとなく納得しがたい思

いを抱いたのだった。

 

　その頃に比べると倍の年齢になっ

た今、あの「知」とはつまり「知り

たい」ということなのではないか、

と思う。好きでもない相手のことを、

人はわざわざ知りたいと思わない。

知りたい、という気持ちは、そこ

に愛が芽生えているからこその感

情なのだ。

 

　食べ物の好き嫌いや、洋服の好

みどんな仕事をしているのか、ど

んな部屋に住んでいるのか、趣味

は何か、夢は何か、家族は？恋愛

観は？・・・・好きな人のことな

ら、いくらでも知りたいことがあ

る。

 

　歌は、上記にあげたようなこと

は、とりあえずほとんど知ったう

えでの、それでもなお知りたい、

という恋の歌だ。

 

一緒に幾つもの冬を過ごしてきた、

という上の句から、二人は生活を

ともにしていることがわかる。

相手は彼女にとって、最も身近で

最もよく知っている男性だ。それ

以上なにを、と思う人もいるかも

しれないが、そこから先をこそ、

本当の恋愛なのだ。

 

　彼のことなら、なんでも知って

いる、というのは錯覚だ。たと

えば彼が今、なにを考えているの

かは、どんなに近くにいてもわか

らない。そういう、心や内面的な

ものへ、少しでも近づきたいとい

う切なる願いの歌だ。

 

「未知の部分を残しておくのが、

気持ちをひきつける秘訣さ」な

んで言うプレイボーイがいるが、

そんな手官は不要。とことん好

きになった相手なら、その人は、

永遠に未知なる存在なのだから。