クリスマスはきれいで、楽しく、
ファンタステイックでなければ
ならないのだ。たぶん・・。
そんなあなたに、反抗的に、ここ
数ヶ月、あなたのいやがるような
ことをしたりした。
酔っ払ってからんだし、わざと
ジーンズに汚れたスニーカーで
会ったりした,
あなたは、敏感に感じたろうか。
いやな顔をしながら、少し遠い
目で私を見るようになった。
そして、決定的だったのは、私の
女友達と、デートしているのを見て
しまったことだ。
それを見た時「ああ、あなたは、
やはり心がわからない人なんだ」と、
思わざるを得なかった。
そして彼女にあっさり飽きられて、
というより、彼女があまりにもいろ
いろな男性とつき合っていることに
気づき、また、私に言い寄ってきた
りした。
「君は素直で真面目で、やはり僕に
は必要だ」
と言って。
私は、あなたを精いっぱい気づかい
ながら、こう言うしかなかった。
「私は、あなたに似合う女ではない。
もっと、私は私なりの自由な気分で
過ごしたい」と、
どこまでその意味を、あなたがくん
でくれたかは、わからない。不審そ
うな顔をしていた。
華やかなクリスマスの街に背を向け、
あなたを置いて歩き出した私の目に、
さらさらと点滅する大きなツリーが
揺れた。
ふと、めまいがするようだった。
相変わらず、襟元や耳元に風が
冷たい。
・・・ひとりでクリスマスを過ご
そう。部屋に帰って、小さなキャ
ンドルに今までの思い出をともし
て消して、地味に、心だけはこも
った私だけのクリスマスを・・・
―I’ll have a blue X‘mas,without
you・・・
ブルー・クリスマスという曲があ
ったけ。
・・・ひとりでも、ブルーな気分に
はしないで、もうすぐ新しい年もく
るのだし・・・
私は冷たい舗道から、雑踏を抜けて、
家へ向かった。