“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

対照的な社説

2013年01月01日 15時00分00秒 | 臼蔵の呟き
読売新聞はいまや自民党政権の扇動、政治部、宣伝部的な役割を担ってます。省税率を引き上げろ、超金融緩和・日銀総裁が自民党の言うことを聞かないのであれば首を挿げ替えろ、TPPに早く参加するようにけしかけています。これらの主張のほとんどは国民多数の意見、思いとは反対です。読売新聞は今回の選挙結果を千載一遇のチャンスと見て、何でもやれる、何でもやるように自公政権に迫っています。かれらの本質なのかもしれませんが、これほど露骨に自公政権にけしかける背景は、今回のそう選挙結果が消去法で自公政権が成立したことを理解しており、焦りがあるからではないかと思います。民主党政権が批判され、大敗した最大要因を全て自民党に迫り、さらに、原子力発電所再稼動、建設、原子力発電所の輸出産業化などを迫る様は「死の商人」としての読売新聞の本質を非常によくあらわしています。

彼らはプロ野球「巨人」軍を使って宣伝、部数拡大を行ってきました。その狙いは、上記の彼らの右翼的政治姿勢を貫徹させるために政治宣伝であったのだと思います。原子力発電所の導入をアメリカと組んで行った人物が正力氏であったこと、憲法改悪、9条攻撃をする先方である読売新聞の歴史とも関係しています。このような新聞社が、日本のマスコミの中枢の一角を形成していることが政治経済の閉塞感を打開できない要因ともなっています。
彼らが垂れ流す、政治経済における情報、政策提案に反論を加え、彼ら主張を運動で跳ね返すことが必要になっています。国民の声を無視した民主党政権が大敗しました。同様に、国民の意思と真っ向から対立する無責任な大手新聞社にも歴史的な審判が下るだろうことは確かです。

<政治の安定で国力を取り戻せ(読売社説)>

 ◆成長戦略練り直しは原発から◆
 日本は、国力を維持し、先進国の地位を守れるかどうかの岐路に立たされている。
 国力は、経済力、防衛力、技術力などで構成される、その国の総合力だ。安倍政権の使命は、政治の安定によって、国力を維持・向上させることにある。
 それが、年金・医療などの社会保障制度の充実、安全保障政策の強化につながる。防災対策や公共インフラの維持、東日本大震災からの復興も加速しよう。
 政治の安定は、国際社会における発言力や存在感を回復するにも重要だ。鳩山元首相が日米同盟を不安定にしたため、中国、韓国、ロシアとの関係も悪化した。外交の立て直しは喫緊の課題だ。
 ◆参院選が最大のヤマ場◆
 安倍政権の今年最大の政治目標は、夏の参院選で自民、公明両党で過半数を占め、衆参ねじれ国会を解消することである。選挙結果次第では、日本維新の会やみんなの党が新たに連立に参加することもあり得るが、政権の安定に資することが前提だ。
 安倍政権が参院で過半数を確保すれば、次の国政選挙まで最大3年、次期総裁選まで2年余あるため、政治は「安定期」に入る。
 大衆迎合(ポピュリズム)に足をすくわれることもなく、大きな政治テーマや懸案の政策に取り組むことも可能になろう。
 例えば、公明党との調整が必要だが、集団的自衛権の行使を可能にする「国家安全保障基本法」の制定を提案することもできる。尖閣諸島国有化をめぐる中国との対立、北朝鮮の核・ミサイル開発などに対処するためには、集団的自衛権の行使を容認し、日米同盟を強化することが必要だ。こうした認識を共有できるよう、与野党で議論を重ねてもらいたい。
 ◆節度ある政権運営を◆
 先の衆院選で自民、公明両党が法案の再議決が可能な定数の3分の2を超える議席を獲得した。政権担当経験がある自公両党による安定した政治、前に進める政治を、有権者が選択した結果にほかならない。民主党政権のさらなる迷走だけでなく、第3極の政権参加による混乱も回避したと言えよう。
 民主党は大敗して下野したが、衆院でなお第2党にある。参院では引き続き第1党を占めている。当面、自公民3党の連携を軸に、第3極を含めた部分連合を模索する必要がある。民主党は参院選での巻き返しを期して、安倍政権への対決姿勢を強めてくるだろう。
 安倍首相には、2007年の参院選で苦杯を喫し、衆参ねじれを作った過去もある。衆院選で大勝した政権が、民意の揺り戻しによって、次の参院選で敗北するケースが続いている。
 首相に求められるのは、丁寧に合意形成を目指す、節度ある政権運営である。
 真っ先に取り組むべき課題は、経済再生と成長力回復だ。
 ◆「3本の矢」をどう放つ◆
物価上昇率はゼロに等しく、家計や企業の実感に近いといわれる名目国内総生産(GDP)は5年前に比べて40兆円も減少した。日本の経済規模は20年前とほぼ同水準にとどまっている。円高とデフレを解消し、安定成長に向け、政策を総動員しなければならない。
 首相は、「金融緩和」「財政出動」「成長戦略」の3本の矢で、デフレ脱却を図るとしている。妥当な考え方だろう。
 為替相場は円安に振れ、株価も上昇してきている。
 首相は、消費者物価の前年比2%上昇を達成するインフレ目標を掲げ、大胆な金融緩和、政府と日銀の政策協定を求めている。日銀は、今月にもインフレ目標を導入する方針だ。政府と日銀の連携強化が問われよう。
 4月に白川方明日銀総裁の任期が満了する。首相は、後継総裁にインフレ目標を共有できる人物を充てる意向を示している。
 日銀総裁は、国会同意人事だ。ねじれ国会では、参院が反対すると、空席になる恐れもある。与野党で調整を図りたい。
 財政出動も重要だ。政府は12年度補正予算案と13年度予算案の編成を並行して進めている。
 社会保障と税の一体改革に沿って、消費税率を来年4月に5%から8%に引き上げるかどうかは、今年秋に政府が判断する。
 判断材料の一つが4~6月期のGDP成長率だ。首相は、その数字次第で、引き上げの先送りもあり得るとしている。
 消費税率を確実に引き上げるためにも、10兆円前後の大型補正予算を組み、デフレ脱却と景気てこ入れに万全を期したい。
 通常国会では13年度予算案成立が5月の連休後にずれ込む見通しだ。暫定予算の編成も必至だ。切れ目のない予算執行の実現へ、与野党が協調できる環境を整えることが大切である。
 ◆深刻な電力料金値上げ◆
 政府が成長戦略を進めるうえで不可欠なのが、強い権限と調整力を備えた司令塔だ。首相が経済財政諮問会議を復活させ、新設の日本経済再生本部と一体的に運営することは評価できる。
 各種規制の緩和、環境や医療・介護など成長分野への投資によって、民間の生産力を高めたい。安価で安定的な電力の確保も、成長に欠かせない。
 民主党政権の「脱原発」路線のために、全発電量の3割を占めていた原子力発電所が次々停止し、全国50基のうち関西電力大飯原発の2基しか稼働できていない。
 深刻な電力不足を火力発電でカバーするため、液化天然ガス(LNG)などの輸入が急増し、年3兆円もの国富が資源産出国に流出している。関電など多くの電力会社は赤字に転落し、電力料金の引き上げを申請している。鉄鋼業界は、関電などの電力料金値上げが実現すれば、業界全体で900億円を超える負担増になると試算している。産業空洞化が加速し、雇用など国民生活が脅かされるのは避けられない。
 原子力規制委員会が新たに作る安全基準に従って安全性を確認した原発は、着実に再稼働していく必要がある。
 先の衆院選で、「原発ゼロ」を無責任だとして否定した自民党が大勝したことで、安倍政権には、原子力を含む電源のベストな組み合わせを早急に検討することが求められよう。太陽光や風力など再生可能エネルギーは、水力を除けば、全発電量の1%強に過ぎない。すぐに原発に代わる主要電源として利用できると期待してはならない。省エネと再生エネ拡大の投資費用は100兆円を超える。電気料金または税金として国民が負担せざるを得ないのも現実である。
 世界は引き続き原発を活用し、増設する。特に中国は、十数基を運転させ、50基以上の原発建設を計画している。
 日本は、原子力分野で世界有数の技術力を、今後も保持する必要がある。首相は、安全な原発の新設へ意欲を示したが、有為な人材を確保・育成するうえでも、次世代型原発の新設という選択肢を排除すべきではない。成長の観点からは、原発のインフラ輸出も促進したい。
 ◆TPP参加で反転攻勢◆
 原発政策は、日米同盟を軸とする防衛力にも影響を与える。
 日米原子力協定によって、日本には核兵器にも転用できるプルトニウムの保有が認められている。野田政権が決定した「原発ゼロ」方針の下では、その特別な権利も、原子力の平和利用や核不拡散をめぐる米国のパートナーとしての地位も、失うことになる。安倍政権が原発・エネルギー政策を練り直すのは、当然だ。
 持続的成長には、アジアなど海外の需要を取り込む必要がある。環太平洋経済連携協定(TPP)への参加問題が、民主党政権からの懸案になっている。米国主導で自由貿易を推進するTPPは、今年中の交渉妥結を目標としている。日本は関税撤廃・引き下げ、貿易・投資のルール作りに関与し、国益を反映させなければならない。首相は、早期に参加を表明すべきである。
 こうした国力を取り戻すための政策課題を着実にこなすことで、政治への信頼も徐々に取り戻すことができるだろう。今年を日本が足元を固め、反転攻勢をかける年にしたい。
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元日の社説②

2013年01月01日 11時00分00秒 | 臼蔵の呟き
雇用問題、青年層の雇用問題、自然の保護、災害対策のあり方、領土問題と外交、戦争と平和、現行憲法の歴史的価値などが論じられています。それらが人間中心主義と表現されるものかは別にして、この主張は、前民主党政権、自公政権への警告にもなっていると思います。
現状を打開するために何をすべきか、社説として提起されればもっと良いのですが。政権党に「睨まれる」のはいやなのかもしれません。これらの分析を参考に自分たちが何をすべきか、どう行動すべきなのかを考えることが必要なのだと思います。過去も、現在も、未来においてもです。

<年のはじめに考える 人間中心主義を貫く(東京新聞)>

 安倍自民党政権が船出しました。近隣に朴槿恵韓国大統領と習近平中国総書記。多難を思わせますが、新しい年を人間中心主義の始まりに-が願いです。
 多くの国民の要請でしょう、安倍晋三首相の最優先政策は経済再生でした。しかし、経済はだれのためのものか、それが問題です。本紙が「新しい人間中心主義」を訴えたのは、第一次安倍内閣の二〇〇七年の元旦社説でした。
◆若者、働く者に希望を
 2002年からの「いざなみ景気」は「戦後最長の景気拡大」や「企業空前の高収益」とはうらはらに非正規雇用やワーキングプアを急増させ、死語だった「貧困」を復活させました。収益は労働者に配分されず、企業に内部留保されたり、株式配当に回ったのです。経済は大企業や富裕層のものだったのです。
 73カ月のいざなみ景気はジョブレス・リカバリー。賃金は下がり続け、労働は長時間化、1090年に870万人(全雇用の20%)だった非正規雇用は1756万人(同34%)に膨れました。人間中心主義の訴えは空回りだったといえます。それでも経済は人間のためのもの。若者や働く者に希望を与えなければなりません。まず雇用、そして賃金。結婚し、子どもをもち家庭を築く、そんな当たり前の願いが叶(かな)わぬ国や社会に未来があるはずがありません。それゆえ人間中心主義が訴え続けられなければなりません。
 脱原発への決断は再生可能エネルギーへの大規模投資と大量雇用を見込めます。医療や福祉は国民が求めています。農業や観光も期待の分野。経済の再生と同時に人を大切にする社会とネットワークの構築が始まらなければ。
◆自然と共生する文明
 近代思想の研究家で評論家の松本健一さんが大震災後の東日本の海岸を歩き、復興のあり方を考えた「海岸線は語る」(ミシマ社)を著しています。その復興構想「ふるさと再生」に共感しました。
 松本さんは大震災当日の三月十一日は内閣官房参与として首相官邸四階にいました。一階の二百人の官僚たちは所属官庁の領域の対応に追われ、復興の全体構想を考える人物がだれもいなかったことから菅直人首相に復興ビジョン私案を提出しました。その二年前、「海岸線の歴史」(同)を出版、東北地方の海岸を調べていたことから私案が作成できたのです。
 松本さんによれば日本民族は民俗学の折口信夫のいう「海やまのあひだ」に住まいしてきた民族。海と山の豊かな自然が精神的細やかさや繊細な美的感覚を養い自然と共生する暮らしを選び続けてきたのですが、西欧近代思想を取り入れ発展するうちに自然と共に生きる日本人本来の思想を失ってしまった、というのです。
 西欧の近代は自然を制御、征服する思想。今回の大震災はその西欧の限界を示しました。巨大なコンクリートの人工堤防を簡単に破壊しました。人間は自然を制御できない。松本さんが復興を試みる「ふるさと」とは、人が生まれ、住み、死んでゆく人間存在の根の場所としてのふるさとです。
 近代思想や経済至上主義ではもう立ち行かない、自然と共生する文明のあり方を模索すべきではないかとも言います。近代文明を考え直す。そこに人間中心主義が連なっています。
 「外交問題の処理に最大の禁物は興奮と偏見である。公平を期する新聞でさえかなり不十分な報道をもって民間に無用の興奮をそそっている」
 これは1931年9月18日の旧満州(中国東北部)・柳条湖事件を報じた新聞報道を批判した中央公論の巻頭言。現在の尖閣諸島や竹島の領土問題で新聞は冷静なのか、肝に銘ずべき切言です。
 日本の新聞の歴史で最も悔やまれ、汚名となっているのは満州事変を境にしてのその変節です。それまで軍を批判し監視の役割を果たしていた各紙が戦争拡大、翼賛へと論調を転換させたのです。国民を扇動していったのです。
 その中で時流におもねらず敢然と戦ったジャーナリストといえば東洋経済新報の石橋湛山でした。帝国主義の時代にあって朝鮮も台湾も満州も捨てろと説いた「一切を棄(す)つるの覚悟」や「大日本主義の幻想」は百年を経てなお輝く論説です。イデオロギーではない戦争否定の理念、ヒューマニズム、学ぶべきリベラリストでした。
◆非武装、非侵略の精神
 満州事変から熱狂の十五年戦争をへて日本は破局に至りました。三百万の多すぎる犠牲者を伴ってでした。湛山の非武装、非侵略の精神は日本国憲法の九条の戦争放棄に引き継がれたといえます。簡単には変えられません。
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元日の社説①

2013年01月01日 09時06分07秒 | 臼蔵の呟き
全国紙の社説が、国家とか、経済再生などを大上段から説くのとは正反対に現実を見つめ、現実の問題を解決することなくして、未来はないとする論調のほうが納得出来ます。全国紙(こういうのも何の価値も無いことですが)は政権政党の宣伝機関に、第三の権力に成り下がっています。
民主党政権も、自公政権も福島第一原発事故対応、3.11震災復旧、復興対策なくして日本の復興は有り得ないと言っています。彼らにとっての隠れ蓑となった観さえある「3.11震災復旧復興」です。安倍首相は29日福島第一原発を視察して、「新原発を作る」と明言しました。彼らにとっての3.11復旧、復興とは支持獲得の枕詞であり、自らの腹黒い意図の隠れ蓑であることを示しました。
地方紙(価値としては上位に位置する)の社説はまともです。政権におもねることも無く、占有率の高く、読者が一番多い地区から物事を見るからかもしれません。震災復旧、過疎化の問題、一次産業の現状、環境問題などの中心的な問題が私たちに問われているのだと思います。

<被災を生き抜く/山河を守る独立自尊の気概(河北新報)>

 <去年今年貫く棒の如(ごと)きもの>
 高浜虚子、1950年の作。「貫く棒」の解釈をめぐっては、「変化なく過ぎていく歳月」という老年の泰然とした心境を表すというのが一般的だ。
 新しい年が明けた。
 仮設住宅で迎える二度目の正月は、昨年より快適だろうか。家族てんでんばらばらの避難生活を送る被災者には久しぶりのだんらんを、と願わずにはいられない。
 東日本大震災から、間もなく2年がたとうとしている。受難にあって、平凡こそが掛け替えのない価値だと知った。ジェットコースターのような一生に耐えられるほど、私たちは強くできていない。
 元旦に「心機一転」を誓うにしても、それは「貫く棒」である穏やかな日常があればこそ。安心立命は万人の願いである。
 一方で新年を素直にことほぐ気分になれないのは、復興の遅れという重苦しい棒が被災者を貫いているからでもある。去年も、今年も、そして来年もとなれば気力はなえ、被災地は衰退していく。
 反転のきっかけをつかみたい。禍福があざなえる縄だというなら、この手で福をより合わせよう。2013年、固い信念を貫き通す年にしたい。
    ◇   ◇    
 「わが阿武隈村は、今日ここに共和国として、日本国から分離独立することを宣言します」
 昨年、出版された村雲司さんの『阿武隈共和国独立宣言』は、放射能に汚染された村の老人たちが国と刺し違える覚悟で独立を宣言する奇想天外なフィクションだ。
 時は大震災から2年後の2013年3月11日。彼らは日本外国特派員協会で「独立」をぶち上げる。
 国旗は「暮しの手帖」創刊者・花森安治に倣って、ボロ布をつぎはぎした「一銭五厘の旗」、国歌は仮設住宅で歌うようになった『夢であいましょう』だ。
 「日本国」からの侵攻に備えるため、「核武装」することも併せて宣言する。原料は放射性物質の汚染土。これを三尺玉に詰め、いざという時、地元の花火師が打ち上げる。
 物騒なプランの結末を明かすのは、やぼになるのでやめておこう。ただ、非暴力主義者である彼らのこと、意外な展開が待ち受けている。
 「仮設住宅、仮の町、仮の人生。仮のままで人生を終えたくはない」。古老のつぶやきは、そのまま原発事故で避難を強いられている人たちの苦悩と重なる。
 「故郷の山河を棄(す)てろと国が強要するなら、俺たちは国を棄ててもいいとさえ思っている」。村議会議長の叫びは「帰還困難区域」というレッテルを、地域のプライドに懸けて返上する決意表明だ。
 「核武装」は震災がれきの受け入れをめぐって、各地で起きた混乱に対する強烈な皮肉であることは言うまでもない。告発の対象は、原発政策に象徴される国土構造のゆがみである。
    ◇   ◇    
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題をめぐり、東京の非政府組織(NGO)などが昨年、県内移設は人権侵害との申し立てを国連の人種差別撤廃委員会に行った。
 沖縄では一向に解決しない基地問題へのいら立ちから、「沖縄への差別」と指摘する人が増えている。
 宮里政玄琉球大名誉教授は差別の根底に「最大多数の最大幸福を目指し、人口の少ないところ、経済的に弱いところに犠牲を強いる功利主義がある」と指摘。原発にも同じ構造を見て取る。
 岩手、宮城、福島3県を中心にいまだ32万人余りが不自由な避難生活を送る。
 「山河破れて国あり」。復興の足取りが遅れれば、私たちは荒廃したふるさとを子や孫に引き渡すことになる。それは将来世代に対するつけ回し。差別にほかならない。
 昨年、沖縄県尖閣諸島の領有権をめぐって日中両国が角突き合わせた。絶海の無人島を守るために費やされた政治的エネルギーに比して、東北復興に割かれたそれは十分だったろうか。復興予算の流用問題は、政官の本質を浮き彫りにしたのではないか。
 「阿武隈村」の独立を荒唐無稽と切って捨てることは簡単だが、東北の位置付けを変えずして、どんな復興策も未来を照らし出すことはない。
 三尺玉に込めるべき火薬、それは「独立自尊」である。
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