他国の政治問題にとやかく言うことはないのですが。中国政府の民主主義、政権党と国民の関係、基本的な人権擁護、言論の自由などが確保されているかどうかは、他国、中国の問題であったとしても注意深く見て行く必要がある問題です。
中国が世界各国に尊敬されたいのであれば、基本的な人権、言論の自由、民族問題、海洋権益をめぐる近隣諸国との紛争、強圧的な態度などはどうしても改善、解決されなければならない課題だと考えます。中国社会が歴史的に日本、イギリス、アメリカ、フランス、ロシアなどの帝国主義的な干渉を受けて植民地化され、大きな被害を受けたことは痛みとして感じ、そのぬぐいがたい感情が現在の政治に影響していることはやむをえないことと思います。
しかし、中国が経済力ではアメリカに次ぐ世界で2番目に大きな生産力を持つに至った現在は、大国中国の政治経済の地域ふさわしい法治、基本的人権などを守れる国になることは欠かせない課題です。それらを国内で実現することができれば、国内での様々な矛盾、問題も違った形で話し合われ、解決を見ることも出来るのだと思います。意見の対立を暴力、武力で威圧、弾圧することで封鎖することは絶対に出来ません。このことは中国だけでなく歴史が示すとおりです。
同時に、日本との領土問題、ベトナム、フィリピンとの海洋権益、領土問題も話しにより平和的に改善する姿勢をとることを要請したいと思います。安倍、自民投資絵件が靖国神社参拝、南京大虐殺はなかったなどの歴史改ざんを行っている中での中日関係の修復が難しいことも良く理解できます。しかし、このようなおろかな安倍、自民党政権だからこそ、良識を持った、大人としての中国の対応が対比され、世界各国から評価されるのではないかと思います。
<信濃毎日社説>
中国共産党・政府が民主化運動を武力で鎮圧した1989年の天安門事件から、あす4日で25年になる。
この日を前に習近平指導部は、人権派弁護士の浦志強(ほしきょう)氏をはじめ改革派知識人、活動家らを相次いで拘束した。事件の遺族の会「天安門の母」の創設者、丁子霖(ていしりん)さんは滞在先で軟禁され、6月4日に息子の墓参りもできない状態だ。
見過ごすことのできない言論、人権弾圧である。
事件は、80年代の改革・開放路線が進展する中で起きた。経済とともに政治体制の改革を目指す党内の改革派を支援する形で学生、知識人らが民主化運動を展開。保守派主導の党指導部は戒厳令を敷き、天安門広場に軍が突入して学生らを鎮圧した。当局は死者を319人と発表したが、実際は大きく上回るとみられている。
党・政府は当時の民主化運動を「反革命暴乱」「政治風波(騒ぎ)」として武力弾圧を正当化、事件の再評価を拒んできた。国内メディアは事件を一切取り上げず、学校でも教えられない。
習指導部は、基本的人権や民主主義を「西側の価値の押し付け」として拒否。「法治」の徹底を打ち出す一方で、党の権限を振りかざして、民主化を求める動きを押さえ込み続けている。
憲法が定める言論の自由など市民の権利擁護を訴える新公民運動に関わった活動家を昨年以来、数十人拘束。中心的人物の許志永(きょしえい)氏は公共秩序騒乱罪で懲役4年の判決を受けた。2010年にノーベル平和賞を受けた民主活動家、劉暁波(りゅうぎょうは)氏も依然、獄中にある。
改革・開放によって中国は大きな経済発展を遂げてきた。それは同時に人々の権利意識を高め、多様な価値観を生んで社会を多元化させた。経済格差の拡大や汚職のまん延などによる、不平等、不公正への不満も強まっている。矛盾を解決し、多元化した社会に対応できる政治の仕組みを実現していくことは、避けて通れない課題だ。体制批判を力で封じるだけでは、中国社会は立ちゆかない。自覚して改革を進めなければ、矛盾の拡大や抵抗の先鋭化によって、社会がさらに不安定になる恐れも大きい。
グローバル化する世界で、民主化を求める声は高まっている。党・政府は批判に向き合い、政治や社会の進むべき方向を見定めていく必要がある。国際社会の信頼を得るためにもそれは不可欠だ。
天安門事件を歴史の暗闇に封じ込めてはならない。