“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

法人税率引き下げ

2014年06月05日 12時59分58秒 | 臼蔵の呟き

先進工業国の中でもアメリカ、イギリス、日本は特に富裕層優遇、多国籍企業、大手企業優遇税制は目に余るものがあります。特に、日本は国債の発行残高は多く、先進国の中では最悪の財政状況にあります。今年中に公債発行残高(国債、地方債の合計)は1000兆円を超えているといわれています。その財政悪化を口実にして「税と社会保障の一体改革」なるデマ宣伝によって、消費税率を13年度まで5%であったものを15年度10%と倍の税率に引き上げようとしています。消費税率1%=2~3兆円ですから、10%になれば、税収は20から30兆円が消費税で占められることになります。これは税収の50%前後に相当します。多くの国民には負担、増税をしながら大手企業、多国籍企業には減税の大盤振る舞いを行う、これが自民党の考えていることです。自民党が大手企業、多国籍企業、富裕層の利益代理人であることを証明しています。

彼らは、15年度消費税率を引き上げるために、公共事業の拡大を通じて、景気の下支え、似非好景気を演出しています。消費税率を倍にして国民(消費者)から10から15兆円の収奪を行うのですから、国内消費が低迷することは自明のことです。その一方で法人税率を35%から25%、20%に引き下げると言明しています。国の財政破綻を放置して大手企業には減税をし、支援を行う。安倍、自・公政権が逆転した発想方法をしているかを示しています。消費税税率引き上げ分をすべて、企業のために補填する構図です。こんなことが許されて良いはずはありません。

<日刊ゲンダイ>

「成長戦略の目玉は、法人税減税とGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用見直しです。法人税減税を欠くと、海外投資家は日本市場を見限り、株式市場が暴落する恐れがあります。だから代替財源の確保は二の次、三の次。どうしても明記したいのです」(市場関係者)

 法人税の実効税率(法人税、法人住民税、法人事業税などの合計)は現在約35%。これを段階的に引き下げ最終的に20%台とするよう経済財政諮問会議は提言している。目安は25%だ。実効税率1%は約5000億円に相当するといわれるので、税収はガタ減り。実に5兆円が消える計算だ。

<毎日新聞社説>法人税率引き下げ 財政再建と両立するか

 政府が今月中に策定する経済財政運営の基本方針「骨太の方針」に、法人税の実効税率を来年度から引き下げる方針を明記することが固まった。安倍晋三首相が1月の経済財政諮問会議で検討を指示し、政府や与党の税制調査会で議論してきた。

 膨らむ社会保障費に対応するため国民は消費増税の負担を強いられている。なぜ企業だけ減税されるのか、国民生活にどんなメリットがあるのか、現時点でも説明が不十分だ。そのうえ減税分を穴埋めする代替財源も明確でない。財政再建と両立するのか疑問が拭えない。

 法人税の実効税率は約35%で、主要国では米国に次いで高い。欧州やアジアの多くは20〜30%強に税率を下げた。国際競争のなかで国内企業の拠点が海外に流出する「空洞化」に歯止めをかけ、外国から投資を呼び込むため、経済界や諮問会議の有識者らが引き下げを強く求めた。

 ただ、政府税調や与党税調では「減税が必要だと出発点でうたうのは抵抗がある」「復興特別法人税を今年度から前倒しで廃止した効果の検証が済んでいない」との慎重論があった。減税で負担が減った分が投資や賃金に回らず、企業の内部留保だけ増えるとの見方もある。そうした疑問が置き去りにされたままだ。

 穴埋めとなる財源も検討項目が示されただけだ。研究開発や設備に投資した企業の税負担を軽くする「租税特別措置」は、業種で偏りがあり旧来型の産業への補助金とも言われる。法人減税を実現するなら、この既得権益に踏み込むべきだ。

 企業の7割が赤字のため法人税を納めておらず、黒字の企業に偏っている問題もある。課税対象を広げるため、赤字でも事業規模に応じて課税する「外形標準課税」の拡大が検討対象となった。広く薄く税金を担う構造にすることは大事で、議論を深める必要がある。

 政府内には景気回復に伴って税収が増える分を財源としてみなすべきだとの考えがある。租税特別措置の見直しや外形標準課税の拡大を徹底すれば、負担増になる企業が猛反発するからだ。しかし、税収増がいつまで続くかはわからない。確実で恒久的な財源が必要なのは当然だ。

 政府は2020年度に財政の基礎的収支を黒字にする財政健全化目標を掲げている。消費税率を来年秋に予定どおり10%に引き上げ、毎年2%の経済成長が続くという楽観的な前提でも、20年度に10兆円を超す財政赤字が残ると内閣府は試算している。法人減税でさらに足を引っ張ることがあってはならない。財源など具体策は今年末の税制改正までに決定されるが、国民の納得のいく案を示さなければならない。


新自由主義経済の間違い

2014年06月05日 10時59分17秒 | 臼蔵の呟き

このフィナンシャル・タイムズの指摘はなかなか面白い考察です。アメリカ、イギリスは新自由主義経済、政治の中枢に位置しており、サッチャー、レーガンなどが政権時代にもてはやした主義主張です。その中枢国家のマスコミがこのように指摘せざるを得ないところに、新自由主義の欠陥、限界が見て取れるのだと思います。

日本では歴代自民党政権、中でも中曽根、小泉、安倍などが取っている経済政策、方針は彼らを模倣したものです。彼らの下で旗を振った竹中なる人物はそのいい加減さと、無責任さにおいては犯罪的ですらあります。富めるものはますます富み、貧するものはますます貧しくなる。下々の貧しい民は、自らの努力が足りなかったのだ。だから、現在の境遇を嘆いても仕方がない。彼らを救済するために国が何かを行う、税金を使うことは許せない。これが彼らの論法です。レーガンなどは、富裕層の所得税率の引き下げを自らの信念として行いました。彼は、税率が高いので労働意欲がそがれると主張しました。

イギリス、アメリカ、日本の現在の経済状況はこの考察が述べるとおりです。貧富の格差の拡大、貧困層の爆発的増加、中間層の没落(民主党政権時代に分厚い中間層の創造とスローガン化)が国の経済状況を低迷させる大きな要因となっていることを認めざるを得なくなっています。気がつくのが遅いーーー気がつかないよりも良いのですが。アホノミクスが経済政策というに値しないと経済学者が指摘するとおりです。

<米国の景気回復が生ぬるい理由 重要なのは中間層なのだ>

景気予測の効用なんて、占星術が立派なものに見えるようになるということぐらいだ――。経済学者ジョン・ケネス・ガルブレイスはかつてそう語った。

 エコノミストたちは米国の今年第1四半期の国内総生産(GDP)が前期比年率1%のマイナス成長に終わったことについて、その原因のほとんどは厳冬にあったと述べている。北米に大寒波をもたらした「極渦(きょくうず)」は終わったから、米国待望の景気回復がついに始まると話している。この職業の人たちの揺るぎない自信とは、これほどのものだ。自分のお金のことを考えるなら、星占いか天気予報を見る方がましだと筆者は思う。

伸び悩むどころか低下する大多数の購買力

 景気予測に携わる人々は、米国経済が根本的に変わってしまったという事実をまだしっかり認識できていない。大多数の米国人の購買力は、景気回復が5年前に始まってからも、伸び悩むどころか低下してしまっている。

 調査会社センティア・リサーチによれば、米国の世帯所得の中央値は現在5万3000ドルで、2008年に景気後退が始まった時よりも実質ベースで4000ドル以上――比率で言えば7.6%――減少しているところが、米国経済全体の規模は景気後退前の水準をとっくの昔に上回っている。

 この犯人は、今日の重要な経済的事実の1つである所得と富の格差拡大だ。英イングランド銀行のマーク・カーニー総裁が先週述べたように「社会の中における結果の不平等はほぼ例外なく、世代内と世代間の両方において明らかに拡大している」のだ。

 経済成長の果実の大半が一握りの高所得層の手中に収まる時、その果実はほとんど消費に回らない。そのため、経済全体の成長はいつまでも弱々しいままとなる。

 特に不思議な力が作用しているわけではない。例えば、米国住宅市場の回復ぶりについて考えてみよう。住宅市場はここ数カ月間、再び回復の歩みを止めている(これは厳冬の前から存在し、その後も続くマイナスの傾向だ)。

消費に見る著しい二極化

 不動産業者のレッドフィンによれば、米国の住宅を価格順に並べた時の最上位1%――金額で言えば167万ドル以上の高額物件――の今年1~4月期における販売戸数は、前年同期比で21%増加した。2013年通期では同35%の増加だった。2013年に特に大きく伸びたのはサンフランシスコ湾周辺の地域で、ここの最上位1%の最低価格は535万ドルだったという。

 一方、下位99%の物件の今年1~4月期における販売戸数は、前年同期比で7.6%減少している。要するに、これが現在の米国経済である。住宅の販売戸数は全体では増えている。しかし、ほとんどの人はそれを実感していないのだ。

同じことはほかの分野の消費についても言える。最高級品の販売が絶好調で、最も安価な商品の一部も好調だが、その中間の大部分の商品は苦戦しているという具合だ。「ルイ・ヴィトン」や「ブルガリ」といった高級ブランドを擁する高級品複合企業モエヘネシー・ルイヴィトン(LVMH)は2014年第1四半期、全世界売上高を9%伸ばした。米国での売り上げが好調だったという。

 米国の高級宝飾品大手ティファニーも、米国経済全体がマイナス成長だった第1四半期に売上高を9%増やしている。最上位1%の人々を顧客にしている企業は好調なのだ。

 一方、スーパー大手のウォルマートは、同じ第1四半期に売上高を5%減らした。かつて米国中間層の消費の方向性をいち早く指し示す存在だったシアーズ・ホールディングスも、6.8%の減収に終わった。同様な事例は枚挙にいとまがない。

 高級品の販売店に匹敵する業績を上げているのは、最も貧しい階層の米国人が掘り出し物を探しに足を運ぶ小売店だけだ。

 米国ディスカウントショップ大手のダラーツリーは、2014年1~3月期に7.2%の大幅増収を記録した。ディスカウントショップには、世間の景気が悪くなるとスーパーなどの大規模小売店から顧客が流れてくることが多い。また、景気の悪化をいち早く示す存在であるレンタル収納サービス業界の最大手2社(パブリック・ストレージとエクストラ・スペース・ストレージ)は2ケタ増収を達成している。

株式市場と債券市場が発するシグナル

 このようにはっきりとした相違は、資産市場からの分かりにくいシグナルにも見受けられる。米国の株価は、企業業績の向上に対する楽観論を背景に引き続き好調だが、米国債相場は1930年代の大恐慌並みの悲観論を織り込みつつあるのだ。

 米国債10年物の利回りは、今年年初の3.04%から先週の2.45%に低下している。これは、米国ではインフレが進みそうにないという厳しい見方にほかならない。では、好調な株式市場のシグナルと悲観的な債券市場のシグナルのどちらを信じるべきなのか。答えは「両方」だ。

 米国株の多くの銘柄は、高級なモノやサービスの売り上げ増加と外国での売り上げに支えられて好調を維持するだろう。だが、米国経済全体の成長は加速しそうになく、それゆえに債券利回りはこのような低水準に下がっているのだ。

 債券市場は、多くのエコノミストがいまだに見逃している何かをとらえている。確かにこの世界はややこしいが、この話の基本はシンプルだ。米国では、経済の成長が続く間にも中間層の空洞化が続いているのである。

しかし、中間層が危機に直面していたら、経済成長にも限界が出てくる。中間層が所得を大きく伸ばし始めなければ、我々は「ニューノーマル」という少し腹立たしい名前の付いた状況から抜け出せなくなってしまうだろう。

答えを持ち合わせない政治家

 民主党も共和党も、そして欧州の大半の政党も、この問題に対する答えは持ち合わせていないようだ。バラク・オバマ大統領は最低賃金の引き上げを強く求めており、実現できれば米国で最も貧しいグループに入る労働者たちの助けになると見て間違いあるまい。しかし、最も重要な問題の解決にはつながらないだろう。

 共和党は富を生む企業などの減税を求め続けているが、これも同様に、問題の解決にはならないだろう。両党は互いに譲らず、議論は膠着状態に陥っている。

 両党には、20年ぶりの厳しい冬を耐え抜いたカナダが大いに参考になるかもしれない。

 カナダの2014年第1四半期の経済成長率(前期比年率)はプラスの1.2%だった。マイナス1%の米国とは対照的だ。折しもカナダには、米国のそれよりも元気な中間層が存在する。米国の景気回復がはかばかしくないことの背景には、悪天候よりもはるかに重要な何かがあるのだ。


原子力ムラ御用学者の暴言

2014年06月05日 05時54分05秒 | 臼蔵の呟き

電力会社が、電気料金に上乗せした利益から、御用学者への研究費、補助金、資金援助をしてきたかいがあるような発言です。このような人物が、公然と講演で発言していることに驚きを感じます。安倍、自民党中枢のような破廉恥な政治屋たちでさえも公然とはいえないようなことを「学者」の肩書きを使って公に発言している点で犯罪的です。

彼らに共通する原発擁護論、再稼動推進論の多くは、科学技術には100%、完全はないと言うこと。したがって、他の科学技術に比較して原発は精度が高く、安全だとの主張です。また、資源小国の日本で、原発コストは他の発電コストに比較して安いとの主張です。このような理屈は、この間の論争の中で、完膚なきまでに叩かれてきました。しかし、彼らは性懲りもなく、何の反省、福島第一原発事故の総括もせずに、原発再稼動を迫り、規制委員会が再稼動を妨害しているとの主張をするのですから、始末に終えません。このような人物が大学の教授、識者として社会的に評価されるのには耐えられません。

そもそも、科学技術は100%、完全はないのだから、原子力発電所の建設、原子力発電所の稼動はありえないのです。一度、事故が起きただけで、福島県の浜どおり地域は、何順年間も立ち入ることができなくなったのです。彼は、そのことをどう受け止め、総括しているのでしょうか。安倍、自民党政権も狂気の政権ですが、学者であっても言ってよいことと、悪いことがあるくらいの社会的常識がなければ、通用しません。

福井地裁判決と比較してみるとあまりのレベルの違いに愕然とします。何とかにつける薬はないのかも知れません。このような人物は社会的孤立化させるしかないのでしょう。

<北海道新聞の報道>原発再稼動の遅れ 地震学者のせい   北大名誉教授 杉山氏の発言

 原発推進派の杉山憲一郎北大名誉教授(原子力安全工学)が2日、札幌市内の会合で、9月に原子力規制委員会委員を退く島崎邦彦委員長代理について「思いつくことを後出しジャンケン的にやっているので、非常に(審査の)時間がかかる」と批判し、泊原発(後志管内泊村)など全国の原発再稼働の遅れは地震学者の島崎氏らの姿勢が原因だとの認識を示した。

 杉山氏が発言したのは、北海道商工会議所連合会や道経連など主催の「第1回北海道エネルギーシンポジウム」。

 杉山氏は島崎氏ら地震学者について「(地震の断層が存在する)可能性があるという話しかしないので、再稼働審査が進まない。世界で一番厳しい規制というが、規制委員が納得するための審査だ」と不満を漏らした。

 さらに事故が起きた東京電力福島第1原発も含め国内の原発の耐震性は震災前から十分だったと主張し、「原発の規制を全部見直す必要はなかった。ここだけ改善すれば当面は普通の産業のリスクより2、3桁低くなるというような判断を最初にすべきだ」と持論を展開した。

<福井地裁判決要旨>

1.           はじめに
ここでは、裁判官の考えの大元となる法規範(=法的思考の基準)が書かれている。
その内容は、人の生命身体・精神の自由をはじめとする国民の「人格権」が、何よりも優先するというものである。

2.福島原発事故について
福島原発事故は、チェルノブイリ事故に匹敵する規模のもので、250キロメートルの避難区域は過度とは言えない。

3.本件原発に求められるべき安全性
原発の安全性・信頼性は、極めて高度でなければならない。そして、万が一の場合にも国民を守る万全の措置がとられなければいけない。
それは人格権の要請であって、行政法規によって左右されるものではない。

4.原子力発電所の特性
原子力発電所は、他の発電方法とは違い、膨大なエネルギー発生装置のゆえに、運転の停止だけでは安全性を確保することができないという危険な性質を持っている。
一旦、事故があると、「停止」のほかに「冷やす」+「放射性物質の閉じ込め」が必要だが、その構造に欠陥がある。

5.冷却機能の維持
 1260ガル規模の地震でメルトダウンすることは、被告である電力会社自身が認めている。被告はこの規模の地震が来ないというが、科学的根拠がない。

 百歩譲って、1260ガル規模が来ないと仮定する。
 被告は、700~1260未満ガル規模の地震なら、その対策方法を書いた「イベントツリー」があるので、大事故にはならないという。
 しかし、そのためには、(1)余すことない事故原因の把握、(2)事故対応の有効な具体策、(3)これらを有効・完全に実施するための管理システムという3つの前提条件がすべてクリアーされる必要がある。しかも、地震+津波という災害時においてどれだけクリアーできるのかという疑問がある。
(1)指揮系統と人員確保の困難性
(2)事故状態の把握の困難性
(3)時間的急迫性
(4)緊急時対応テストの実施の困難性
(5)緊急時の保護システム装置の同時故障の可能性
(6)放射性物質の漏れで誰も近づけなくなる
(7)外部からの支援を受けられない周辺の道路事情

また、被告は、理論上700ガル以上の地震は来ないというが、平成17年以降、4個の原発で5回あったという事実がある。
 
では、700ガル以下の地震ならどうかと言えば、それでも、やはり危ない。
世界の地震の1割が起こっている日本で、原発の安全性に対する意識に欠如があり、あまりにも楽観視している。

6.閉じ込めるという構造について-使用済み核燃料の危険性

常に冷やしておかないと危ないという性質をもつのが、使用済み核燃料。
被告である関電は、「冠水さえ保てればよく、頑丈な施設で囲う必要はない」という。
しかし、災害時に起こる内外の力で、やわな施設は破損し、冠水が保てなくなることは十分考えられる。万が一に備えて相当に頑丈な施設で囲い込む必要がある。
被告は、そのような危機管理意識がなく、深刻な事故はめったに起きないと考えている。

7.本件原発の現在の安全性

国民の生存を基礎とする人格権を被ばくから守るという視点で見ると、大飯原発の安全技術と設備は、楽観的な考えによる極めてぜい弱なものである。

8.原告らのその余の主張
(省略)
9.被告のその余の主張
(1)コストの問題
被告は、国民の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等とを並べて論じるが、そもそもそのような無意味な議論は話にならない。

(2)国富の流出や喪失
「たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると当裁判所は考えている。」

(3)CO2排除による環境保護
原発が、一度、深刻な事故を起こせば、その凄まじい環境汚染は、CO2削減どころの騒ぎではない。原発運転の根拠とするのは甚だしいスジ違いである。

(結論)
以上の次第であり、原告らのうち、大飯原発から250キロメートル圏内に居住する者(別紙原告目録1記載の各原告)は、本件原発の運転によって直接的にその人格権が侵害される具体的な危険があると認められるから、これらの原告らの請求を認容すべきである。