“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

経団連が求める日本再興

2014年06月20日 12時50分56秒 | 臼蔵の呟き

消費税税率を10%まで当面引き上げること。反対に法人税率を25%(現状は35%)まで10%引き下げること。また、政府予算で研究開発投資支援策を要求しています。国民には増税を迫り、企業としての法人税は引き下げることを求め、企業の競争力強化のために研究開発費への税金投入を要求しています。あつかましいこと限りない提言という名の政治要求をとうとうと語っています。その彼らの提言に沿った形での政策提示、政権運営が進んでいます。

エネルギー問題では、原子力発電所の再稼動を要求しています。政治には国民説得も含めて行うようにとしています。安心安全だとの安全神話を振りまいてきたことへの反省などは全くありません。彼らがいかに反国民的で、利益至上主義化を示しています。

経済・社会のイノベーションを進め、「日本再興」を実現する
- 2014年度事業方針 -

                       2014年6月3日         一般社団法人 日本経済団体連合会

安倍政権の経済政策が功を奏し、デフレからの脱却に向けて「経済の好循環」が始まりつつある。今こそ「日本再興」の絶好のチャンスである。この機会を逃すことなく、日本経済を本格的な成長軌道に乗せることが喫緊の課題である。経済成長を通じ、国民生活を向上させ、社会全体のセーフティーネットを強化するとともに、世界から投資や人材を集め、更なる発展の可能性を切り拓いていかなければならない。官民が一体となって、少子・高齢化と人口減少問題にも向き合い、名目3%程度の持続的な成長の実現に全力をあげる必要がある。

折しも東京でオリンピック・パラリンピックが開催されることが決定した。これを好機として、それまでの間を持続的成長の礎を築くための集中対応期間と位置づけ、規制・制度改革を含めた経済・社会のイノベーションを大胆に進め、豊かで活力と魅力に溢れ、グローバル経済の発展に主導的な役割を果たす、新たな日本を創り上げていかなければならない。

政治と経済は車の両輪である。政治には、引き続き、経済再生に最優先で取り組むことを期待したい。企業は成長戦略の主役との自覚のもと自ら攻めの経営に努めることが重要であり、経団連としても、政府の「日本再興戦略」の着実かつ迅速な実現に向けて政策提言を積極的に行い、下記の課題に真正面から取り組み、持続的な成長と豊かな国民生活の実現に邁進する。

1.震災復興の加速

「集中復興期間(2011~2015年度)」の後半に入った今、被災地の住民の目に見え、実感できる具体的成果が問われている。あらゆる資源を優先的に投入し、まちづくり事業の加速や地域産業の再建などを成し遂げるべきである。創造と可能性の地としての「新しい東北」の展望を内外に示すことも重要である。

このため、復興事業の推進に必要な体制を強化し、事業をより一層充実させるとともに、経団連としても、引き続き会員企業と連携しつつ、政府・被災自治体ならびに市民セクターの取り組みに協力し、復興特区制度の活用促進など被災地の事業環境の整備等に向け、関係方面に積極的に働きかける。

福島の再生・復興のためには、国が前面に立って、廃炉・汚染水対策、除染等を最優先課題として確実に進めることが不可欠である。また、福島復興再生特別措置法に基づく産業復興再生計画等に即し、農林水産業の再生や再生可能エネルギー等の新たな産業の創出、企業立地を加速する。

2.成長戦略の確かな実行

日本経済の再生に向けた「好循環」が始動しつつある今こそ、「日本再興戦略」をはじめとする成長戦略を積極的に展開するべきである。持続的成長のためには、企業と個人の力を高め、これを最大限発揮させることが重要である。経済界は、「未来都市モデルプロジェクト」等の成果も踏まえ、主体的かつ積極的に成長戦略を実行する。そのためにも、わが国が抱える構造問題を解消し、持続的成長による国民生活の向上を実現するための確固たる基盤を作らなければならない。また、こうした取り組みに広く国民の理解を得るための情報発信に努める。

(1)企業と個人の力を高め、最大限発揮させる

  1. 科学技術イノベーションの加速
    優れた科学技術をイノベーションにつなげていくことが、持続的成長の原動力となる。企業は、世界最先端の技術開発やこれまでにない発想によって、新たな製品・サービスを創出し、市場に提供していくことが責務である。このような活動を支援する観点から、第4期科学技術基本計画に掲げられた政府研究開発投資対GDP比率1%の達成、高度理工系人材の育成強化等の実現を図る。また、公共データの産業利用、個人情報保護を前提とするパーソナルデータの利活用、クラウド技術の活用促進等により、新産業・新事業の創出につなげる。
  2. 2.                           女性の活躍推進と人材の育成
    少子・高齢化、グローバリゼーションの進展の中で経済成長を実現するためには、グローバル人材の育成と多様な人々が活躍できる環境の整備が重要である。特に、より多くの女性が最大限能力を発揮していくことは、持続的成長の実現に大きく寄与する。このため、女性の活躍推進について、企業が自主行動計画を定めて取り組むことを支援する。また、初等中等教育から大学教育における必要な改革を働きかける。加えて、若年層を中心とする雇用のミスマッチ解消、就業機会の多様化、柔軟な労働市場の構築による労働移動の円滑化を図る。
  3. グローバル化の推進
    TPP交渉の早期かつハイレベルでの妥結、ならびに中国、韓国、ASEANなどのアジア諸国、EU等との経済連携交渉の推進に向け、経団連として、相手国・地域の政府や関係団体等との連携を深め、ルール作りをリードするなど積極的な役割を果たす。また、近隣諸国との関係改善と強化に努める。新興国をはじめとする諸外国へのインフラ輸出推進に向けて、政府との連携を深め、ODAの見直しとともに、ファイナンスや保険・保証制度の強化を図る。技術協力を通じて、現地における関連諸制度の整備に協力する。
    わが国に、ヒト・モノ・カネ・情報を呼び込むため、国内の生活・労働・教育・ビジネス環境の整備を図るとともに、わが国の魅力や考え方を積極的に情報発信し、環境、医療、農業をはじめとする分野で国としてのブランド力を強化する。
  4. 将来に向けた国づくり
    東京オリンピック・パラリンピックの開催を機に、新しい国づくりを推進するべきである。その際、東北の復興ならびに防災に配慮した強靭な国家を目指す。あわせて、訪日外国人旅行者数2000万人の達成や満足度の向上など、より高いレベルの観光立国の実現を目指す。
  5. 5.                           農業の成長産業化
    地域経済社会の中で基幹産業として大きな役割を担っている農業の競争力強化、成長産業化を加速する。このため、経営感覚溢れる担い手の確保、農地集積の推進と経営規模の拡大を進めるとともに、産業界と農業界の連携・協力拡大に向けた取り組みを一層強化する。
  6. 規制・制度改革、行政改革の推進
    規制・制度改革は、民間の創意工夫の発揮を通じたイノベーションの推進、復興のスピードアップ、地域活性化などの観点から極めて重要である。特に、今後の成長分野と見込まれ、経済効果が期待される「情報通信」、「医療・介護」、「農業」、「街づくり」などの規制を抜本的に見直すことが不可欠である。また、わが国の国際競争力強化やビジネスフロンティアの開拓に向け、「国家戦略特区」、「企業実証特例制度」、「グレーゾーン解消制度」などを、積極的かつ効果的に運用するべきである。また、労働者派遣制度や労働時間制度などの改革が必要となっている。経団連としても、これらの実現を積極的に働きかける。同時に、業務プロセスの抜本的見直しを含めた電子行政の推進、番号制度を活用した行政効率の向上など、行政改革への不断の取り組みも欠かせない。

(2)成長に資する経済社会基盤を構築する

  1. 1.                           法人実効税率の引き下げ
    企業活動がグローバル化する中、国内生産・開発拠点等の維持と内外からの投資促進を図り、「経済の好循環」を進めるためには、法人税制の国際的なイコールフッティングが欠かせない。経団連としては、法人税制全体のあるべき姿を念頭に置きつつ、国際的に最も高い水準にある、わが国の法人実効税率を25%程度に引き下げるべく、その道筋の早期明確化に向けて、幅広い理解と支持を高めていく。
  2. エネルギーの安定供給と経済性の確保
    エネルギーは国民生活・企業活動の基盤である。原子力を含む多様なエネルギー源を確保し、安価・安定的なエネルギー供給を実現する必要がある。このため、安全性の確保を大前提に、原子力発電所の再稼働プロセスを可能な限り加速するべく、国民の理解と支持を高めつつ、関係方面に働きかける。放射性廃棄物の最終処分場問題も国主導で進展することを期待する。同時に、革新的エネルギー・低炭素技術等の開発と、再生可能エネルギーの固定価格買取制度と地球温暖化対策税の見直しに取り組む。エネルギー資源の安定確保、経済性、環境適合性のバランスが取れたエネルギーミックスを実現する。電力システム改革に当たっては、電力の安定供給と経済性を確保できるものとするべきである。あわせて、官民が協力して、家庭における省エネ努力も促進する必要がある。
  3. 少子・高齢化と人口減少問題への取り組み
    今後ますます深刻化する少子・高齢化と人口減少問題に対し、日本経済への影響ならびに、その対策について検討する。その際、子育て環境の改善はもとより、諸外国の移民政策も参考にしつつ幅広い外国人材の受け入れ等の促進を図る。
  4. 財政健全化・社会保障制度改革の推進
    財政健全化に向けて、経済成長とのバランスを踏まえつつ歳出・歳入両面からの改革を促し、2020年度までにプライマリーバランスを黒字化する道筋を描く。国民の安心を支える社会保障の持続可能性を高めるため、番号制度も活用した社会保障給付の一層の重点化・効率化とともに、まずは消費税率10%への着実な引き上げの実現を図る。急速に進む高齢化に備え、高齢者医療制度の負担構造を抜本的に改革するとともに、企業自らも、従業員の健康維持増進や疾病予防を重要課題と位置づけた「健康経営」を推進する。
  5. 地域の活性化に向けた道州制の導入と地方分権改革の推進
    地方経済の活性化は、国・地方を通じた「経済の好循環」を実現する上で不可欠である。人口減少と財政状況の悪化という困難な課題に直面する中、地方の活性化を図るためには、地方中枢拠点都市をベースとした連携や地方の中堅企業の活躍、PFI、PPPなどによる民間参加などが重要である。また、自らの選択と責任によって地域経営を機動的に行えるよう、道州制の導入を進め、道州制推進基本法の早期成立に向けた政治への働きかけを強化する。あわせて、道州制導入の前提である地方分権改革を重点的に推進する。

経団連がもとめる日本、政権への要求

2014年06月20日 10時58分16秒 | 臼蔵の呟き

経団連が、大手企業の政治経済における思惑をあけすけに提言というかたちで発表しています。この内容を見ると、彼らが何を考え、どうしようとしているかを理解できます。

安倍、自民党政権がやろうとしている中心的な政治課題は、そのすべてで経団連の提言に沿っていることがよく分かります。小選挙区制度と中選挙区制度の違いから来る政治の劣化についても触れています。ところが、その打開策の提起は国民から見たら国民を愚弄し、議会制民主主義を否定するようなものばかりを提言しています。政治資金問題では政党助成金をそのままとして、民間からの政治資金提供をもっと行えるようにしたい。政党助成金の割合を3分の1まで下げたいとして、企業献金を公然と開始する、出来るようにすべきとの真逆のことを提言しています。よく言うよなと。

もう一つは、参議院を廃止して、衆議院だけの一院制とすることを提言しています。衆参のねじれを解消することが経団連、大手企業にとって重要な政治課題であることをあけすけに論じています。衆議院は総選挙により、時の政権にとってどうにでもなると考えています。また、衆議院は小選挙区制により、大政党に有利な選挙制度であることを前提にして提言しています。経団連にとっては自民党、民主党など経団連、大手企業の利益代表政党が政権につき続けるような政治制度を維持したいと考えていることがよく分かります。 

<国益・国民本位の質の高い政治の実現に向けて>       一般社団法人 日本経済団体連合会

はじめに

わが国が、豊かで活力があり、世界に信頼される国家として存立していくために、経済と政治が「車の両輪」となり、諸課題の解決に力を合わせて取り組んでいくことが不可欠である。しかし、近年、政治の不安定化・停滞により、国益・国民生活の向上に不可欠な政策の適時・適切な遂行に支障が生じている。このような観点から、下記により、現下の政治のあり方について提言を行なうとともに、経済界自らが政治に対していかに行動していくかを表明する。

1.現状認識:危機に直面する日本

目下わが国は、内外に重大な課題が山積し、まさに内憂外患と言っても良い状況にある。東日本大震災からの復興の加速、長引くデフレからの脱却、大胆な規制改革などを通じた成長力強化、主要国で最悪の状況にある財政の健全化、社会保障制度の持続可能性確保、原子力を含むエネルギー政策の再構築、TPPをはじめとする経済連携の推進、外交・安全保障政策のたて直しなど、いずれも待ったなしの課題である。とりわけ、グローバリゼーションの進展の中にあって、企業をとりまく事業環境のイコールフッティングの確保と日本国債に対する国際的な信認の維持は最重要課題である。

危機とも言える今日の状況から脱却するためには、強力な政治のリーダーシップが求められる。

2.日本政治の状況:問題解決能力の低下

こうした中で、わが国の政治を見ると、問題解決能力が著しく低下しており、経済界として強い危機感を抱かざるを得ない。

第一は、ポピュリズムの政治の傾向が顕著になっていることである。わが国は今後、国民にとって痛みを伴うような厳しい改革を推進していかねばならない。しかるに、多くの政党、政治家は、世論調査などを気にするあまり、ともすれば万人受けのする政策のみを口にし、必要な負担、義務、責任を国民に求めることを回避する風潮があることは否定できない。また、国民がそれに安住している面もある。

第二は、衆参両院のいわゆるねじれ状況により、政策遂行に著しい遅滞が生じていることである。

第三は、不安定な政治体制のもとで、諸外国との信頼関係の構築が困難となっていることである。政策の責任者が頻繁な交替を繰り返している状況では、海外への適確な情報発信や、フェース・トゥ・フェースの関係に根差す諸外国との信頼関係を築くことは到底不可能である。

第四は、政治を担う主体である政党の一体性が欠如していることである。現状では、基本的な政策についても、同一政党内に賛成派、反対派が混在し、国政に無用な混乱をもたらしている。

第五は、政治とカネの問題が、依然として政治に対する国民の信頼に悪影響を与えていることである。

3.めざすべき政治の姿

目下のわが国において目指すべき政治とは、第一に、わが国の将来に真に必要なダイナミックな政策を「立案」できる政治である。大所高所の観点から、現実を踏まえた政策を立案する勇気と能力とがわが国政治に求められている。

第二は、困難な課題であっても国民の理解を得て前進させることのできる、「説得力」を持つ政治である。ときに政治は、国の将来のために、国民にとって痛みを伴う政策を実行しなければならない。そのため世界の政治リーダーは、国民に対して説得し、理解を得るための努力を文字通り命がけで行なっている。世論の動向などに過度におもねる政治からの脱却が求められる。

第三は、グローバルな観点にたった政策を、適切なタイミングで迅速に実行できる「判断力」「実行力」を持った政治である。経済社会のグローバル化が進む中で、経済活動においても、国の政策決定にあっても、迅速果敢な意思決定が求められる。

第四は、政策の司令塔の確立である。省庁の縦割りを排し、国益に沿った改革を進めていくことが重要である。かつては経済財政諮問会議が大胆な改革を遂行した。第二次安倍政権は同会議を復活させるとともに、日本経済再生本部を設置した。政官民が一堂に会した司令塔において、横断的な改革を迅速に断行していく必要がある。

以上のようなあるべき政治を実現するために、抜本的な政治改革の検討・実施が急務となっている。

4.求められる政治改革:日本政治の質的向上が急務

(1)選挙制度の抜本的改革

1994年の小選挙区比例代表並立制の導入から20年近くが経過した。現行制度のメリットとしては、まがりなりにも選挙を通じて、政権の交代が可能となったこと、また、選挙に要する政治資金の減少したことなどが挙げられる。しかし、その代償も大きい。第一に、1994年の政治改革においては、二大政党制を指向する衆議院の選挙制度改革のみが先行し、参議院の改革が放置された。第二に、中選挙区制下では可能であった、天下国家を語ることのできる優れた政治家が、着実に連続当選を重ねることが困難となる一方で、経験不足の新人議員が散見されるようになっている。
通常国会において、選挙制度改革が議論されることとされている。今次選挙制度改革論議において、単なる定数削減にとどまらず、有為な政治家の育成に資する選挙制度を実現するために、抜本的な制度改革の検討が行なわれることが期待される。まず、衆議院においては、かつての中選挙区制におけるメリットを改めて評価し、あるべき選挙制度を検討していくことが求められる。参議院においては、将来的には道州制の導入を視野に入れつつ、地域ブロック制や比例代表制の見直しなどを検討すべきである。また、衆参両院における一票の格差の是正、定数の大幅削減(例えば半減)が急務である。さらに、時代の変化に対応し、選挙運動におけるインターネットの活用を解禁すべきである。インターネットの活用は、カネのかからない政治の実現にも有効である。
これらの諸点について、選挙制度審議会を立ち上げるなど、国民的議論を早期に開始すべきである。

(2)立法府改革

衆参ねじれによる政策遂行の停滞を解消することが急務である。
参議院は本来「良識の府」、「再考の府」たるべきである。ところが現実には、「政局の府」、「政党間対立の府」と化しており、現状のままでは政策遂行の阻害要因となっていると言っても過言ではない。
参議院がその本来の役割を取り戻し、与野党の対立を超えた「良識の府」としてその独自の存在感を発揮することが期待される。
それが困難であるならば、わが国の二院制のあり方に関する抜本的見直しが不可避である。根本的な改革としては、憲法を改正し、現在衆参両院がほぼ同等の権限を有する法案審議の要件について、衆議院において再可決を可能とする要件を現行の3分の2から2分の1とすることで、衆議院の優越性を確立すべきである。あるいはこの際、参議院を廃止し、一院制の採用を検討すべきである。
ただし、わが国の憲法は改正要件が厳しく(硬性憲法)、直ちに憲法改正を行なうことは困難である。当面の改革として、衆参両院での与野党協議を通じた法案の積極的修正を図る慣行を確立すべきである。昨年の通常国会および臨時国会における三党合意に基づく社会保障・税一体改革法の成立、特例公債法を政局の材料としないとの合意はその重要な一歩と高く評価できる。同時に、両院協議会による調整機能の発揮、法案の会期不継続原則の廃止と国会の通年化、国会同意人事の見直し、大臣の国会出席義務の緩和などが求められる。

(3)政党のガバナンスの強化

政党は、理念や実現すべき政策を共有する政治家が集い、一致協力して活動する組織であるべきである。政党の綱領や基本理念、基本政策の確立、政策立案能力の強化、意思決定プロセスの明確化などにより、政策本位の政党の活動を強化していく必要がある。必要に応じ、政党法の制定により、政党要件のあり方などを法定することも検討すべきである。

(4)政治リーダーの登用・育成

政治家、とりわけ国政に携わる国会議員は、「選良」という言葉が示す通り、社会から広く尊敬を受ける崇高な職務であるべきである。人格、識見、政策立案・遂行などの様々な面において、優れた能力を有することが求められる。いわゆる世襲はいちがいに否定されるべきではない。政治は結果責任であり、能力がある人材が政治を担うことが期待される。そのためには、有為な人材が、社会の幅広い分野から政界に登用されるような制度ならびに環境を整備することが必要である。例えば、政治リーダーの育成の観点からは、公共政策に関わる大学院などに中堅・若手政治家がグローバル水準の能力を身につけることのできるコースを設置することや、新人政治家に対するわが国の歴史、文化、経済、国際関係など政治活動を行なう上で必須の知識を習得させるための研修を実施することなどが考えられる。さらに、政党の人材育成機能を抜本的に強化すべきである。

(5)政治資金問題

民主主義を適切に維持していく上では相応のコスト、すなわち政治資金が不可欠である。政治資金の構造は、幅広い民意に支えられたものとすることが求められる。したがって、民間寄附の役割は重要である。わが国経済社会において企業が果たす社会的役割に鑑みれば、企業の政治寄附は、企業の社会貢献の一環として重要性を有する。
1994年の政治改革においては、政党助成制度が導入され、政党の政治資金を、党費・会費などの自助努力、民間寄附、政党交付金によってそれぞれ3分の1程度ずつ賄うことが目指された。しかし現状では、国政を担う主要な政党の本部の収入の過半を政党交付金が占めている。政党助成のあり方を含め、バランスのとれた政治資金の構造を確立していくことが求められる。また、政治団体への寄附やパーティ券収入について、より一層の透明性向上策を検討する必要がある。政治団体の収支報告書の公開の仕組みを、国民が容易に情報を知ることができるよう、エクセルデータでの活用を可能とするなど、改善を図ることが急務である。
民間寄附の促進策の検討ならびに、透明・公正な国民の政治参加に向けたルール整備も欠かせない。税制優遇を含め、民間寄附を促進するための措置を拡充していく必要がある。また、個人寄附・選挙支援と組織の関係のあり方について、米国のPAC(政治行動委員会)規制を参考としつつ、明確なガイドラインを設定することも検討すべきである。

5.経済界の行動

経済界は、国益・国民本位で、質の高い政治の実現に向けて、具体的な行動をとっていく。

第一に、政策本位の機能する政治の実現を求めるとともに、国益・国民生活の向上に資する政策提言活動を強化していく。

第二に、経団連の主張と主要政党の政策や活動との比較・評価を実施することとする。

第三に、経団連の関連団体である企業人政治フォーラムが中核となり、企業人と政治家とのコミュニケーションを一層活発に行なうとともに、政治改革等に関する国民的運動を展開していく。

おわりに

昨年末の総選挙において、国民の選択を通じた政権交代が再び実現した。国政を担う主要な政党がそれぞれ与党と野党を経験したという観点から、今はまさに政治改革を行なう好機と言える。無用な与野党対立を排し、必要な政策を立案し、国民の理解を得て、迅速に決断・実行できる政治を実現することが求められる。本年を経済・政治同時改革の年とし、強い政治のリーダーシップのもとで、わが国経済の再生が果たされることを強く期待する。


集団的自衛権 「普通の国」論

2014年06月20日 08時45分06秒 | 臼蔵の呟き

ギリシャ戦は0-0です。何とか勝って欲しい者です。

戦争をすることが普通の国で、戦争をしないことが特殊な国とすれば、日本は特殊な国でよいのではないですか!安倍、自民党中枢は戦争をする普通の国になりたい。これが彼らの本音です。そのためにあらゆる手練手管を弄しています。公明党との密室協議を行い、国家の構造、ありようを根本的に転換してしまうような憲法9条の否定と、戦争できる国家作りに狂奔する様は狂気と言うしかありません。

憲法を馬鹿にし、空文化する。国会を軽視し、密室協議で政策転換を図る。法治国家といいながら憲法を無視する。彼らは口で言うことと真逆のことを行っている。許されることではありません。

<毎日新聞>集団的自衛権 「普通の国」論

 ◇「特殊な国」ではダメか

 安倍晋三政権が昨年暮れから進めていることは、総じていえば外交・安全保障政策における「普通の国」路線である。国家安全保障会議(NSC)設置、特定秘密保護法制定。そして今回の集団的自衛権の行使容認で完成体にしようというのか。

 普通の国論議が声高になったのは、1991年の湾岸戦争以来である。あの時多国籍軍が侵略者であるイラクを制裁、その際に日本が武力行使に参加できず、お金だけでしか貢献できなかった特殊な国としての屈辱がトラウマ化したものだった。ところで、この間議論してわかったことは、特殊な国の背骨は、憲法9条という条文の強力な規範力(あるべき姿を強制する力)にある、ということだ。

 9条の「戦争放棄」(1項)、「戦力不保持」(2項)をどう読んでも、武力行使として許されるのはぎりぎり個別的自衛権止まりであろう。その証拠に歴代首相も内閣法制局も、他衛権たる集団的自衛権については一貫して封じ込んできた。

 自公政権は、そこに風穴をあけようとしている。54年の砂川判決や72年の政府見解の中で集団的自衛権が必ずしも全否定されているわけではない、との脆弱(ぜいじゃく)な理屈を根拠に、具体的にどういう事例をその行使の対象にするか、線引きを実施中だ。

 国民はこの政治過程の本質が事例を限定することではなく、穴をあけることにあると直感的に気づいている。アリの一穴とでもいおうか、この種の穴が際限なく広がるのは歴史の教えるところだ。9条が規範力をそがれ、ある意味無力化していくことも覚悟しなければならない。

 失うものが二つあるだろう。

 第一に、「大東亜戦争の遺産」(故上山春平京大名誉教授)を失う。上山氏は9条成立の背景を、大西洋憲章(41年)、ポツダム宣言(45年)、極東委員会対日管理政策(47年)という非戦モラルの高い国際的協定と300万人の犠牲者を出した日本国民の選択(国会議決)という極めて特殊な状況下で作成された国際的文書と位置づけた。

 第二に、この規範力は節目にその役目を果たし日本を武力行使の誘惑から救ってきた。湾岸戦争だけではない。99年周辺事態法での後方地域支援への限定、2003年イラク特措法の非戦闘地域限定しかり、である。

 遺産という古くて新しい視点。国民の血税である経済支援が本当に評価されなかったのかという検証。加えて外交能力の向上など別手法での対応がまだ考え尽くされたわけではない。これで特殊な国としての生き様を捨てるのはいかにも惜しい。