自民党の票田であった農村部、農協に関する法律の改正に着手しました。農協法という法律があることを知りました。彼らの狙いはいろいろあるのだと思いますが、この時期に出してきたことに意味があるように感じます。
1つ目は、TPP交渉に反対する中心的な集団、組織に農協がなっていることへの恫喝の意味合いがあるように思います。自民党、政権に抵抗すれば、農協の権限を著しく制約するぞとの脅しではないかと感じます。今までは農協が地域の政治的なボス役を果たして、自民党議員への票田であった。ところが、自民党が示す農業政策のでたらめさに目覚めた農民たちが自覚し、自主的に対抗、抵抗することで自民党にとっては邪魔な集団になってきた。これが1つの真相だと思います。
2つ目は、企業が農業分野に参入しやすくする。農業の効率化、競争力強化の名の下で、企業参入をしやすくするために、法律の改悪を行う。農地が切り売りされ、農村地帯が、一変する可能性が出てきました。安倍、自民党政権が全面的にこれまでの仕組み、構造を転換しようとしていることがよく分かります。企業にとっては、利益が出るかどうかであり、利益が出なければ、放棄も含めて、あらゆる手段を使います。農村が農民、関連産業で形成されていた時代が終了する可能性も生まれてきました。彼らの狙いを容認してはだめだと思います。本当に安倍、自民党は日本をすべて大手企業の利益追求手段、場所に転換しようとしています。
これらを通じて、農村地帯、農協が自民党の政治基盤であった時代は終了することになります。農協が自民党のお先棒を担ぎ、農民たちを自民党農政に縛り付けてきたことの悪弊がとける点では変化が生まれて歓迎すべき点もあるかもしれません。
<日経記事>農協改革 自民党案
自民党は政府が検討している全国農業協同組合中央会(JA全中)の廃止を柱とする農協改革案を大筋認める。全国約700の農協を経営指導し、監査するJA全中の農協法に基づく権限をなくすことを容認。どのような新組織に移行するかはJAグループの自己変革を踏まえる立場を示す。9日夕にも決定する党の考え方に盛り込む。
農協改革は、支持組織の弱体化を懸念する自民党側の出方が焦点になっていた。党の取りまとめ役である森山裕総務会長代理ら関係議員が8日に都内で協議し、政府案の大筋容認で一致。政府の規制改革会議(議長・岡素之住友商事相談役)が6月中旬に示す答申に反映させる。関連法案は2015年の通常国会に提出される見通しだ。
自民党は党の考え方で今後5年を改革集中期間と位置付ける。JA全中については「自律的な新しい組織への移行」を明記。地域農協への指導権限はなくなるものの、複数農協が集まる連合会などに改組して組織を存続できる余地を残す。
農産物の出荷・販売を一手に引き受けてきた全国農業協同組合連合会(JA全農)の株式会社への転換は「独占禁止法の適用をにらみながら検討する」と記す。農業生産法人への企業の出資比率は現行25%の上限を緩和し「50%未満」まで認める方針を打ち出す。
農地売買などを認可する市町村ごとの農業委員会の改革を巡っては、地元農家で農業委員を選挙で決める仕組みを廃止するとともに、農業委員の数を現在の半数以下に減らすことを認める。
農業協同組合法
(昭和二十二年十一月十九日法律第百三十二号)最終改正:平成二五年一二月一三日法律第一〇二号
第一章 総則
第一条 この法律は、農業者の協同組織の発達を促進することにより、農業生産力の増進及び農業者の経済的社会的地位の向上を図り、もつて国民経済の発展に寄与することを目的とする。
第二条 この法律の規定により登記すべき事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
第三条 この法律において「農業者」とは、農民又は農業を営む法人(その常時使用する従業員の数が三百人を超え、かつ、その資本金の額又は出資の総額が三億円を超える法人を除く。)をいう。
○2 この法律において「農民」とは、自ら農業を営み、又は農業に従事する個人をいう。
○3 この法律において「農業」とは、耕作、養畜又は養蚕の業務(これに付随する業務を含む。)をいう。
○4 自ら前項に掲げる業務を営み、又はこれに従事する者が行う薪炭生産の業務(これに付随する業務を含む。)は、この法律の適用については、農業とみなす。
第二章 農業協同組合及び農業協同組合連合会
第一節 通則
第四条 農業協同組合又は農業協同組合連合会の名称中には、農業協同組合又は農業協同組合連合会なる文字を用いなければならない。
第五条 農業協同組合及び農業協同組合連合会(以下組合と総称する。)は、法人とする。
第六条 組合が、その事業の利用分量の割合に応じてなした剰余金の配当に相当する金額は、法人税法 (昭和四十年法律第三十四号)の定めるところにより、当該組合の同法 に規定する各事業年度の所得の金額又は各連結事業年度の連結所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
第八条 組合は、その行う事業によつてその組合員及び会員のために最大の奉仕をすることを目的とし、営利を目的としてその事業を行つてはならない。
第九条 組合は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 (昭和二十二年法律第五十四号。以下この条、第十一条の四十九第一項第五号、第七十二条の八の二及び第七十三条の二十四において「私的独占禁止法」という。)の適用については、これを私的独占禁止法第二十二条第一号 及び第三号 に掲げる要件を備える組合とみなす。
第二節 事業
第十条 組合は、次の事業の全部又は一部を行うことができる。
一 組合員(農業協同組合連合会にあつては、その農業協同組合連合会を直接又は間接に構成する者。次項及び第四項並びに第十一条の三十一第三項及び第九項を除き、以下この節において同じ。)のためにする農業の経営及び技術の向上に関する指導
二 組合員の事業又は生活に必要な資金の貸付け
三 組合員の貯金又は定期積金の受入れ
四 組合員の事業又は生活に必要な物資の供給
五 組合員の事業又は生活に必要な共同利用施設(医療又は老人の福祉に関するものを除く。)の設置
六 農作業の共同化その他農業労働の効率の増進に関する施設
七 農業の目的に供される土地の造成、改良若しくは管理、農業の目的に供するための土地の売渡し、貸付け若しくは交換又は農業水利施設の設置若しくは管理
八 組合員の生産する物資の運搬、加工、貯蔵又は販売
九 農村工業に関する施設
十 共済に関する施設
十一 医療に関する施設
十二 老人の福祉に関する施設
十三 農村の生活及び文化の改善に関する施設
十四 組合員の経済的地位の改善のためにする団体協約の締結
十五 前各号の事業に附帯する事業
○2 組合員又は会員に出資をさせる組合(以下「出資組合」という。)は、前項に規定する事業のほか、組合員(農業協同組合連合会にあつては、その農業協同組合連合会を直接又は間接に構成する者)の委託を受けて行う農業の経営の事業を併せ行うことができる。
○3 第一項第二号及び第三号の事業を併せ行う農業協同組合は、組合員の委託により、次の各号に掲げる不動産を貸付けの方法により運用すること又は売り渡すことを目的とする信託の引受けを行うことができる。
一 信託の引受けを行う際その委託をする者の所有に係る農地又は採草放牧地(農地法 (昭和二十七年法律第二百二十九号)第二条第一項 に規定する農地又は採草放牧地をいう。第十一条の三十一第一項第一号及び第三号において同じ。)
二 前号に規定する土地に併せて当該信託をすることを相当とする農林水産省令で定めるその他の不動産で信託の引受けを行う際その委託をする者の所有に係るもの
○4 組合員又は会員に出資をさせない組合(以下「非出資組合」という。)は、第一項の規定にかかわらず、同項第三号又は第十号の事業を行うことができない。
○5 出資組合は、第一項に規定する事業のほか、次の事業の全部又は一部を併せ行うことができる。
一 組合員の委託を受けて行うその所有に係る転用相当農地等(農地その他の土地で農業以外の目的に供されることが相当と認められるものをいう。以下同じ。)の売渡し若しくは貸付け(住宅その他の施設を建設してする当該土地又は当該施設の売渡し又は貸付けを含む。)又は区画形質の変更の事業
二 組合員からのその所有に係る転用相当農地等の借入れ及びその借入れに係る土地の貸付け(当該土地の区画形質を変更し、又は住宅その他の施設を建設してする当該土地の貸付け又は当該施設の売渡し若しくは貸付けを含む。)の事業
三 組合員からのその所有に係る転用相当農地等の買入れ及びその買入れに係る土地の売渡し又は貸付け(当該土地の区画形質を変更し、又は住宅その他の施設を建設してする当該土地又は当該施設の売渡し又は貸付けを含む。)の事業
○6 第一項第三号の事業を行う組合は、組合員のために、次の事業の全部又は一部を行うことができる。
一 手形の割引
二 為替取引
三 債務の保証又は手形の引受け
三の二 有価証券(第六号に規定する証書をもつて表示される金銭債権に該当するもの及び短期社債等を除く。第六号の二及び第七号において同じ。)の売買(有価証券関連デリバティブ取引に該当するものを除く。)又は有価証券関連デリバティブ取引(書面取次ぎ行為に限る。)
四 有価証券の貸付け
五 国債、地方債若しくは政府保証債(以下この号において「国債等」という。)の引受け(売出しの目的をもつてするものを除く。)又は当該引受けに係る国債等の募集の取扱い
六 金銭債権(譲渡性貯金証書その他の主務省令で定める証書をもつて表示されるものを含む。)の取得又は譲渡
六の二 特定目的会社が発行する特定社債(特定短期社債を除き、資産流動化計画において当該特定社債の発行により得られる金銭をもつて指名金銭債権又は指名金銭債権を信託する信託の受益権のみを取得するものに限る。)その他これに準ずる有価証券として主務省令で定めるもの(以下この号において「特定社債等」という。)の引受け(売出しの目的をもつてするものを除く。)又は当該引受けに係る特定社債等の募集の取扱い
六の三 短期社債等の取得又は譲渡
七 有価証券の私募の取扱い
八 農林中央金庫その他主務大臣の定める者(外国の法令に準拠して外国において銀行法 (昭和五十六年法律第五十九号)第二条第二項 に規定する銀行業を営む者(同法第四条第五項 に規定する銀行等を除く。次号及び第十一条の六の二において「外国銀行」という。)を除く。)の業務(同号に掲げる事業に該当するものを除く。)の代理又は媒介(主務大臣の定めるものに限る。)
八の二 外国銀行の業務の代理又は媒介(外国において行う外国銀行の業務の代理又は媒介であつて、主務省令で定めるものに限る。)
九 国、地方公共団体、会社等の金銭の収納その他金銭に係る事務の取扱い
十 有価証券、貴金属その他の物品の保護預り
十の二 振替業
十一 両替
十二 店頭デリバティブ取引(有価証券関連店頭デリバティブ取引に該当するものを除く。)であつて主務省令で定めるもののうち、第六号に掲げる事業に該当するもの以外のもの
十二の二 デリバティブ取引(有価証券関連デリバティブ取引に該当するものを除く。)の媒介、取次ぎ又は代理であつて、主務省令で定めるもの
十三 金利、通貨の価格、商品の価格、算定割当量(地球温暖化対策の推進に関する法律 (平成十年法律第百十七号)第二条第六項 に規定する算定割当量その他これに類似するものをいう。次項第七号において同じ。)の価格その他の指標の数値としてあらかじめ当事者間で約定された数値と将来の一定の時期における現実の当該指標の数値の差に基づいて算出される金銭の授受を約する取引又はこれに類似する取引であつて主務省令で定めるもの(次号において「金融等デリバティブ取引」という。)のうち第一項第三号の事業を行う組合の経営の健全性を損なうおそれがないと認められる取引として主務省令で定めるもの(第六号及び第十二号に掲げる事業に該当するものを除く。)
十四 金融等デリバティブ取引の媒介、取次ぎ又は代理(第十二号の二に掲げる事業に該当するもの及び主務省令で定めるものを除く。)
十五 有価証券関連店頭デリバティブ取引(当該有価証券関連店頭デリバティブ取引に係る有価証券が第六号に規定する証書をもつて表示される金銭債権に該当するもの及び短期社債等以外のものである場合には、差金の授受によつて決済されるものに限る。次号において同じ。)であつて、第三号の二に掲げる事業に該当するもの以外のもの
十六 有価証券関連店頭デリバティブ取引の媒介、取次ぎ又は代理
十七 前各号の事業に附帯する事業