うるしの杜の制作手帖

ものづくりの過程や日常の気付きをつむいでいきます

変塗

2012-05-11 23:07:46 | 漆工
そういえばこのブログはうるしの杜の制作手帖でした。釣行日記ではありません。ましてやグルメ紀行でもありません。
これは、最近制作したランチョンマットです。唐塗りの技法に沿って制作しました。変塗のなかで今まで、絞漆を使った技法はほとんどしたことがありませんでした。しかし変塗を勉強する上で重要な要素です。これが出来ないと唐塗りになりません。
それが、手板段階でなかなかうまくいきませんでした。特に絞漆の調整に手間取りました。固さにより縮んでしまったり乾かなかったり、それが何とかクリアできても色漆の塗り重ねでも試行錯誤を繰り返しました。
それでも何とか本番で研ぎ付けて呂色に上げることが出来ました。変塗は目立たないことが多いのですが、様々な可能性を持っていると思います。少しずつマスターしていきたいと思います。 
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うるしの杜

2010-09-21 20:33:36 | 漆工
大学で、漆を学んでいた頃、岩手にある浄法寺の漆の杜に行きました。そして漆掻きを見せていただきました。掻き鎌で樹皮に傷を付けると瞬く間に乳白色の樹液が出てきました。その時あろうことか、「舐めてみたら」と言われ、素直な私は、その樹液を舐めてみました。少し甘く感じ、不思議とかぶれませんでした。
そんな経験をして、思いました。間違いなく漆という世界は、この場所から始まっています。漆の樹液が、生漆で、それから黒呂色などさまざまな漆に加工され、その漆を使い漆製品が作られます。
そんな、思いから私は自分のHPを始める時に「うるしの杜」と名前を付けました。かなり分不相応かもしれませんが。
そんな漆の杜が高岡にも出来つつあります。昨年、漆の苗木を植えた場所に出かけました。山間の、昔田んぼだった所に、植樹されていました。まだ一年も経っていないので小さいですが、雑草が繁茂する中、思いのほか大きな葉を広げていました。しかしこの木が成長して漆が掻けるようになるには、10年から15年はかかるそうです。植樹された苗木がすべて残ってはいないようで、その後、順調に育つことを願っています。私も漆の世界では半人前です。これから順調に成長できればいいのですが・・・
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修了制作展

2010-03-26 21:01:36 | 漆工
私が通っている高岡デザイン・工芸センターの養成スクール(高岡市伝統工芸産業技術者養成スクール)の修了制作展が始まりました。これは2年に一度開かれるもので、金工、漆工のそれぞれ3つのコースの修了生がその成果を発表するものです。
私は漆工のコースに2年通い、螺鈿の箱など4点の作品を出しました。写真は引き型を使った乾漆の作品です。”乾漆朱塗輪花鉢”と付けました。引き型の作品は2点目ですが、今回は、朱の呂色上げをしました。難しいとは聞いていましたが、やはり苦労しました。写真ではわからないかもしれませんが、刷毛目のむらが残り、研ぎ破りもあります。正直出すのも恥ずかしかったのですが、仕方ありません。展示が終わったら、もう一度、呂色上げをやり直したいと思います。
先生方の指導に感謝し、これからも作品を制作していきたいと思います。
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漆黒

2010-02-27 19:57:33 | 漆工
広辞苑にはこうあります。「漆のように黒くて光沢のあること。またその色」 この言葉の意味から考えれば、この言葉の原点は、黒の漆の呂色の状態だと思います。
初めて、大学の先生より黒漆の呂色上げの作業を見せていただいた時の、驚きは忘れません。摺漆された曇った塗面が、磨いていくことにより、劇的に光沢のある呂色面が現れ、広がっていきます。確かに黒ですが鏡面で、その光沢も深みがありもうこれ以上、手の掛けようがない完成度を感じます。
この箱の呂色を上げた時も嬉しかったです。漆の作業の中で一番、嬉しいのではないでしょうか?このために木地に布を貼り下地をつけ漆を塗っては研ぎを繰り返し、何ヶ月(本当はもっと長く)も掛けてきたのです。苦労が報われる瞬間です。たとえ鏡面が現れ、その面に最初に写ったのが、中年のオヤジの冴えない顔だったとしてもです。
しかし、逆に、鏡面ということは、傷や面の揺らぎなど面に問題があるとすべてが出てしまうことも意味します。確かに私の場合問題がないということはほとんどありません。(ほんとは全部問題あり)それと、次にこの面に加飾(蒔絵)という作業が待っています。この箱との付き合いはまだまだ続きそうです。
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拭き漆

2009-08-30 20:54:14 | 漆工


以前より、拭き漆の工程で疑問に思っていたことがありました。私のやり方ですと木地調整をした後、拭き漆をしながら水砥ぎで#800のペーパーから#2000のペーパーまで番手を上げながら平滑にしていきます。その際ほとんど漆を研いで取ってしまいます。しかし、人によっては研ぎをするのに拭き漆をするのは意味がないという人もいます。ですので自分のやり方に確信が持てませんでした。そこで、手板で確認してみることにしました。ケヤキの手板で一枚は通常のやり方で、もう一枚は#2000のペーパーまで一切、漆を使わずその後は通常と同じ方法で仕上げました。


結果、写真では見にくいですが左の拭き漆は小さい導管まで漆で埋まりケヤキらしい表情がはっきり出ています。研ぎで漆を使わなかった右は導管は埋まらず漆を吸って黒くなった色がそのまま残り同じ木に見えません。やはり漆を使うと表面が固まり研ぎにいくらか耐える面になっているのだと思います。拭き漆される方は、研ぎの間に拭き漆をして仕上げてください。

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