以前より、拭き漆の工程で疑問に思っていたことがありました。私のやり方ですと木地調整をした後、拭き漆をしながら水砥ぎで#800のペーパーから#2000のペーパーまで番手を上げながら平滑にしていきます。その際ほとんど漆を研いで取ってしまいます。しかし、人によっては研ぎをするのに拭き漆をするのは意味がないという人もいます。ですので自分のやり方に確信が持てませんでした。そこで、手板で確認してみることにしました。ケヤキの手板で一枚は通常のやり方で、もう一枚は#2000のペーパーまで一切、漆を使わずその後は通常と同じ方法で仕上げました。
結果、写真では見にくいですが左の拭き漆は小さい導管まで漆で埋まりケヤキらしい表情がはっきり出ています。研ぎで漆を使わなかった右は導管は埋まらず漆を吸って黒くなった色がそのまま残り同じ木に見えません。やはり漆を使うと表面が固まり研ぎにいくらか耐える面になっているのだと思います。拭き漆される方は、研ぎの間に拭き漆をして仕上げてください。