「サザナミについての考察」シリーズも早い物で、「その10」になりました。
3月の「サザナミについての考察 その2」では、日本で「スパングル」と呼ばれている品種について遺伝的にスパングルと呼ぶのはおかしいと問題提起させて頂き、欧米でスタンダードとなる「SLグレイウイング」が適切な品種名であることをご報告させて頂きましたが、今だ 国内ではスパングルという呼称が多く使用されていることは、誠に残念に思います。
欧米では、「DILUTE」「EDGED」「PASTEL」「CINNAMON」など色々な品種名で呼ばれておりましたが、各国の各サザナミインコの協会が正式に「SLグレイウイング」という品種名で統一を計る様に推進しております。
また、略称では「SLG」を使用しております。
例. SL DFグレイウイング コバルト → DF SLG コバルト
今回は、サザナミインコの「レースウィング」は本当にレースウィングなのかと言う疑問を解明致しました。
この件につきましては、今年6月にまぁこさんから情報を頂き、先月にはひろりんさんから同様の情報を頂きまして、今回、オランダ・ベルギーのブリーダや各協会・機関を中心に調査して、結論を得る事が出来ました。
お二人の情報提供に関しまして、この場をお借りしてお礼申し上げます。
サザナミインコの「レースウィング」と呼ばれている個体の写真は以下の通りです。(こちらはクリームイノ タイプです。)
サザナミインコの「レースウィング」ですが、この品種は私が知る限りでは 2005年にオランダのゴーダ地方(チーズで有名な所です。)のブリーダにより発見されました。
その時に外観から見て「レースウィング」と言う名前で呼ばれた様です。
しかし、インコの品種名では「レースウィング」と言う品種は、遺伝的にシナモン因子とイノ因子が遺伝子の乗換え(クロッシング オーバー)により偶然に発生したものを指し、別名を「シナモンイノ」と呼ばれています。
この遺伝子の乗換え(クロッシング オーバー)はZ遺伝子を2つ持つ♂(オス)でしか発生しませんので、まずこの偶発的に発生した♂の「レースウィング」を得るところから始まります。
さて、ではこのサザナミインコの場合はどうかと言うと、これが全く異なります。
サザナミインコのレースウィングと呼ばれたものは、SL SFグレイウイングのスプリット イノ♂の掛け合わせにより発生していたのです。
それも、偶発的ではありません。
しかし、発生するのは全て♀(メス)なのです。
従いまして、この時点でこのサザナミインコの品種はレースウィングでは無いことが明らかです。
ではこのサザナミインコの新しい品種は何かと言えば、SLグレイウイング クリームイノとSLグレイウイング ルチノーと言うことになります。
他のSLグレイウイングと同様に♂はDF(ダブルファクター)とSF(シングルファクター)が居り、♀はSF(シングルファクター)のみとなります。
♂のDFは外見上 ♀のSFと同じで写真の通り、羽や胸・腰部分に薄っすらと墨で汚れた様な模様が出ますが、この模様の濃淡は個体差が大きく大変薄いものも居ります。
これに対して、♂のSFには殆ど特徴が見られず、クリームイノ・ルチノーとの違いが見出せません。
それで、♀しか生まれないと思われていました。
また、クリームイノ・ルチノーと同様にダーク因子が隠れ因子として存在しますのでdd, Dd, DDが居ります。
ルチノーにはスプリット ブルーも存在します。
従いまして、下記の品種が居ります。
【SLGクリームイノ】
・SL DFグレイウイング クリームイノ(dd,Dd,DD)
・SL SFグレイウイング クリームイノ(dd,Dd,DD)♂
・SL SFグレイウイング クリームイノ(dd,Dd,DD)♀
【SLG ルチノー】
・SL DFグレイウイング ルチノー(dd,Dd,DD)
・SL SFグレイウイング ルチノー(dd,Dd,DD)♂
・SL SFグレイウイング ルチノー(dd,Dd,DD)♀
・SL DFグレイウイング ルチノー(dd,Dd,DD)/ブルー
・SL SFグレイウイング ルチノー(dd,Dd,DD)/ブルー♂
・SL SFグレイウイング ルチノー(dd,Dd,DD)/ブルー♀
SLGクリームイノの遺伝例
【SL DFグレイウイング クリームイノ×SL SFグレイウイング クリームイノ♀】
50% ♂ SL DFグレイウイング クリームイノ
50% ♀ SL SFグレイウイング クリームイノ
【SL DFグレイウイング クリームイノ×クリームイノ♀】
50% ♂ SL SFグレイウイング クリームイノ
50% ♀ SL SFグレイウイング クリームイノ
【SL SFグレイウイング クリームイノ♂×SL SFグレイウイング クリームイノ♀】
25% ♂ SL DFグレイウイング クリームイノ
25% ♂ SL SFグレイウイング クリームイノ
25% ♀ SL SFグレイウイング クリームイノ
25% ♀ クリームイノ
【SL SFグレイウイング クリームイノ♂×クリームイノ♀】
25% ♂ SL SFグレイウイング クリームイノ
25% ♂ クリームイノ
25% ♀ SL SFグレイウイング クリームイノ
25% ♀ クリームイノ
【クリームイノ♂×SL SFグレイウイング クリームイノ♀】
50% ♂ SL SFグレイウイング クリームイノ
50% ♀ クリームイノ
*ルチノーは、上記のクリームイノをルチノーに置き換えた遺伝となります。
と言うことで、前回までレースウィングとしてご紹介させて頂いておりました品種は、正しくはSLグレイウイング クリームイノ (SLG クリームイノ)とSLグレイウイング ルチノー (SLG ルチノー)と訂正させて頂きます。
次回は、実際に私共「さざなみいんこ どっとこむ」に居りますSLグレイウイング スプリット イノ♂のペアを例に、より詳しくSLグレイウイング クリームイノとSLグレイウイング ルチノーの遺伝をご紹介致します。
どうかお楽しみに!
3月の「サザナミについての考察 その2」では、日本で「スパングル」と呼ばれている品種について遺伝的にスパングルと呼ぶのはおかしいと問題提起させて頂き、欧米でスタンダードとなる「SLグレイウイング」が適切な品種名であることをご報告させて頂きましたが、今だ 国内ではスパングルという呼称が多く使用されていることは、誠に残念に思います。
欧米では、「DILUTE」「EDGED」「PASTEL」「CINNAMON」など色々な品種名で呼ばれておりましたが、各国の各サザナミインコの協会が正式に「SLグレイウイング」という品種名で統一を計る様に推進しております。
また、略称では「SLG」を使用しております。
例. SL DFグレイウイング コバルト → DF SLG コバルト
今回は、サザナミインコの「レースウィング」は本当にレースウィングなのかと言う疑問を解明致しました。
この件につきましては、今年6月にまぁこさんから情報を頂き、先月にはひろりんさんから同様の情報を頂きまして、今回、オランダ・ベルギーのブリーダや各協会・機関を中心に調査して、結論を得る事が出来ました。
お二人の情報提供に関しまして、この場をお借りしてお礼申し上げます。
サザナミインコの「レースウィング」と呼ばれている個体の写真は以下の通りです。(こちらはクリームイノ タイプです。)
サザナミインコの「レースウィング」ですが、この品種は私が知る限りでは 2005年にオランダのゴーダ地方(チーズで有名な所です。)のブリーダにより発見されました。
その時に外観から見て「レースウィング」と言う名前で呼ばれた様です。
しかし、インコの品種名では「レースウィング」と言う品種は、遺伝的にシナモン因子とイノ因子が遺伝子の乗換え(クロッシング オーバー)により偶然に発生したものを指し、別名を「シナモンイノ」と呼ばれています。
この遺伝子の乗換え(クロッシング オーバー)はZ遺伝子を2つ持つ♂(オス)でしか発生しませんので、まずこの偶発的に発生した♂の「レースウィング」を得るところから始まります。
さて、ではこのサザナミインコの場合はどうかと言うと、これが全く異なります。
サザナミインコのレースウィングと呼ばれたものは、SL SFグレイウイングのスプリット イノ♂の掛け合わせにより発生していたのです。
それも、偶発的ではありません。
しかし、発生するのは全て♀(メス)なのです。
従いまして、この時点でこのサザナミインコの品種はレースウィングでは無いことが明らかです。
ではこのサザナミインコの新しい品種は何かと言えば、SLグレイウイング クリームイノとSLグレイウイング ルチノーと言うことになります。
他のSLグレイウイングと同様に♂はDF(ダブルファクター)とSF(シングルファクター)が居り、♀はSF(シングルファクター)のみとなります。
♂のDFは外見上 ♀のSFと同じで写真の通り、羽や胸・腰部分に薄っすらと墨で汚れた様な模様が出ますが、この模様の濃淡は個体差が大きく大変薄いものも居ります。
これに対して、♂のSFには殆ど特徴が見られず、クリームイノ・ルチノーとの違いが見出せません。
それで、♀しか生まれないと思われていました。
また、クリームイノ・ルチノーと同様にダーク因子が隠れ因子として存在しますのでdd, Dd, DDが居ります。
ルチノーにはスプリット ブルーも存在します。
従いまして、下記の品種が居ります。
【SLGクリームイノ】
・SL DFグレイウイング クリームイノ(dd,Dd,DD)
・SL SFグレイウイング クリームイノ(dd,Dd,DD)♂
・SL SFグレイウイング クリームイノ(dd,Dd,DD)♀
【SLG ルチノー】
・SL DFグレイウイング ルチノー(dd,Dd,DD)
・SL SFグレイウイング ルチノー(dd,Dd,DD)♂
・SL SFグレイウイング ルチノー(dd,Dd,DD)♀
・SL DFグレイウイング ルチノー(dd,Dd,DD)/ブルー
・SL SFグレイウイング ルチノー(dd,Dd,DD)/ブルー♂
・SL SFグレイウイング ルチノー(dd,Dd,DD)/ブルー♀
SLGクリームイノの遺伝例
【SL DFグレイウイング クリームイノ×SL SFグレイウイング クリームイノ♀】
50% ♂ SL DFグレイウイング クリームイノ
50% ♀ SL SFグレイウイング クリームイノ
【SL DFグレイウイング クリームイノ×クリームイノ♀】
50% ♂ SL SFグレイウイング クリームイノ
50% ♀ SL SFグレイウイング クリームイノ
【SL SFグレイウイング クリームイノ♂×SL SFグレイウイング クリームイノ♀】
25% ♂ SL DFグレイウイング クリームイノ
25% ♂ SL SFグレイウイング クリームイノ
25% ♀ SL SFグレイウイング クリームイノ
25% ♀ クリームイノ
【SL SFグレイウイング クリームイノ♂×クリームイノ♀】
25% ♂ SL SFグレイウイング クリームイノ
25% ♂ クリームイノ
25% ♀ SL SFグレイウイング クリームイノ
25% ♀ クリームイノ
【クリームイノ♂×SL SFグレイウイング クリームイノ♀】
50% ♂ SL SFグレイウイング クリームイノ
50% ♀ クリームイノ
*ルチノーは、上記のクリームイノをルチノーに置き換えた遺伝となります。
と言うことで、前回までレースウィングとしてご紹介させて頂いておりました品種は、正しくはSLグレイウイング クリームイノ (SLG クリームイノ)とSLグレイウイング ルチノー (SLG ルチノー)と訂正させて頂きます。
次回は、実際に私共「さざなみいんこ どっとこむ」に居りますSLグレイウイング スプリット イノ♂のペアを例に、より詳しくSLグレイウイング クリームイノとSLグレイウイング ルチノーの遺伝をご紹介致します。
どうかお楽しみに!