昔から日本の人々は、四季折々の山の姿を眺めては、
その季節ごとに俳句の季語として取り上げてきました。
春の山は「山笑う」と表現されます。
暖かくなって、動植物が一斉に目覚める季節、
若葉や春の花が柔らかな日差しを浴びている風景を
あたかも微笑んでいるかのように感じたのでしょう。
夏の山には「山滴り」という言葉があります。
夏山の朝はしっとりと霧に包まれ、
苔むした岩肌からは清らかな水滴が滴り落ちています。
暑さの中にも涼を呼ぶ情景をとらえた表現ですね。
秋になれば、紅葉が鮮やかに山を彩ります。
赤や黄色の紅葉は錦にもたとえられ、
これをまとう秋の山は、言うまでもなく「山装う」です。
そして冬、山は深い雪に閉ざされ、
たとえ雪がなくても、落葉樹はすっかり葉を落としています。
静寂に包まれて、眠りに就いているかのような山の姿は、
「山眠る」と表現されます。
豊かな四季を持つ自然は、私たちの心を癒してくれる貴重な財産です。
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