Life is ART!

高齢者施設で活躍しているアートワークセラピスト達の旬な声をお届けします。

心から癒されるという事

2011-06-16 02:48:33 | ひとりごと
シニア担当のYokoです。


80才近い男性がこう言っていました。

「夢に出てこなくなったんだよ」


夢の登場人物は奥さんです。

あの日、懸命に二人で手をつないで津波から逃げていた

でも一瞬、手がするりと離れた瞬間に奥さんは津波に飲み込まれ

亡くなってしまった。


男性は自分の手をじっと見つめていました。

最後の奥さんのぬくもりが残る自分の手を。


似顔絵が得意な60代近い男性。

3ケ月間のボランティア休暇を取り、被災地に入り(確か陸前高田です)、

テントを張り、亡くなった方の似顔絵を描くボランティアをしているというニュースでした。


写真がある方はそれを元に

無い方のためには何百人という人の顔写真から似たような人を選んでもらう。

そこから似顔絵を描く。

でもただそれだけじゃない。

1時間近くかけて、依頼者から亡くなった方の話を沢山してもらう。

普段良くどんなことを言っていたか。

どんな話し方だったか。etc・・・


そしてそれらの言葉を

亡くなった方の似顔絵の色紙に一緒に書き添える。



80才の男性は、あの日以来毎日のように奥さんが夢に出てきたのだそうです。



出来上がった色紙には奥さんがにっこりと微笑んでいました。

そして普段ご主人に何気なくいっていたであろう

沢山の言葉が書き添えられていました。



「これを書いてもらってからね。夢に出てこなくなったんだよ」

男性の大きな目がやさしく微笑んでいました。



きっと描く時に、奥さんの話していた言葉だけなく

「目じりはもっとこう垂れてて・・」

「ここにしわがあって・・・」

「洋服はこんな感じを良く着てて・・・」

ニュースではそこまで伝えてはいませんでしたが、

奥さんの様子を思い出し伝えている時

もしかしたらもう何千回も何万回も見ている

普段の奥さんの「笑顔」の様子を

沢山沢山思い出したのだと思います。




そしてその言葉を思い出す時

きっと「笑顔」で自分に話しかけている。

奥さんの声が、

毎日毎日見ていた笑顔でいつものように話しかけている。



「おとうちゃん お酒のみすぎちゃだめだよぉ」

「おとうちゃん いつもあんがとね」

これは私の想像です。

でもそんな言葉のように思います。



自分の中で

今も生きている事に気づく。

キラキラと。

キラキラと。



心の中で笑顔と共に

そして耳元にあったけぇなまりと共に

奥さんはお父さん共に

お父さんは奥さんと共に

きっとこれからも

生き続けていくのだと思います。



二度と離れない手を繋いで。。。




(6/15 TBSニュースバードのニュースより)


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