詩絵里(★シェリー★)の星の囁き達

尾崎詩絵里(★シェリー★)の自作恋愛小説及びポエム、写真専用部屋です。掲載文の引用、転載は固くお断りいたします。

小説「時空恋話~JIKUU-RENWA~No.1

2011年02月16日 | 小説「時空恋話」
時空恋話~JIKUU-RENWA~


1.第一章   近未来

「そんなに堅くならなくてもいいぞ沢田君。本日君に来てもらったのは、君の受講しているゼミで誰もが体験してもらう、実地レポート作成のためだ。前回の幹部会議で次の調査が決定した。
内容は、過去の学生・・そうだな・・ ちょうど君くらいの年齢の学生がどれくらい日記を書いているか調査をすることになった。それで君に白羽の矢があたった。 」

「ぼ・・ぼくにですか?」
昨日、いきなりメールで依頼事項があると言われ、何が何だかわからないままセンターにきた、宏幸にここのセンターの幹部、宏幸の大学では教授職の柿谷はおっとりとした声で言った。

「君には今から過去へ行ってある調査をしてきてもらう。それは、過去の君と同じくらいの年代の学生が、どれだけ日記を書いているかだ。それもブログやSNSではなく、実際に自分の直筆で日記帳に書いている学生をターゲットに一人選んで調査をしてほしい。」

「はい。わかりました。」
ここのセンターでは、調査員は質問をしてはならない規則になっている。
調査員として登録をして、はじめての仕事だ。理由を尋ねたかったが、宏幸は規則に従い、Yesとだけ答えた。

「調査のターゲットについては、君にまかせるが、条件については後ほど君の携帯通信機に送っておく。今回の実験の目的も合わせてだ。調査内容はレポートで週一回報告をして欲しい。様式は君にまかせる。とりあえず、その進捗状況で君の過去への滞在期間が決定する。大丈夫、すぐに帰ってこられるから・・・これで君のゼミでの評価も高くなるよ」

「はい、柿谷教授ありがとうございます。」
宏幸が通っている大学では、実践としていろいろな調査項目が組み込まれていた。
なぜそんなゼミを選んだかといわれたら、きっと宏幸は「親の遺志を引き継ぎたかったから」と迷いもなく答えただろう。
でも宏幸の周りを見回しても過去の案件の調査というのは初めてだった。

「でも、本当に帰ってこられるのでしょうか?もし、トラブルなんかあったりしたら」
過去の事件の事が心をよぎり、宏幸の心がチクリと痛くなった。

「両親の事は、本当に申し訳ないと今でも思っている。でも今回のシステムは、万全だ。それと君に守ってもらうことがある…」

「何ですか?」

「それは、過去に行って決して恋をしてはいけない。もしこれを破ったら君は帰ってくることはできない…」
どんな決まりごとを守れといわれるかと一瞬身体を硬くした宏幸は「恋をしてはいけない」という想像しなかった柿谷幹部の言葉に一瞬苦笑いをしそうになった。

「わかりました」

「では、準備はいいかい?」

「OKです」

「では、頼んだよ…」

柿谷幹部は過去に行く時空移動マシーンのスイッチを押した。
時空移動マシーンはブーンという機械音を立てると、センターのホールから一瞬にして消え、宏幸は過去へと旅立っていった。


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~第2章へ~
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