序破急

片足棺桶に突っ込みながら劇団芝居屋を主宰している爺です。
主に芝居、時々暮らしの中の出来事を書きます。

劇団芝居屋第三十二回公演稽古場日誌その1

2016-10-19 21:30:03 | 舞台
さて劇団芝居屋第三十二回公演「出張診療所」の稽古も序盤を過ぎようとしています。

役者達は作品全体を把握し、自分の役の有るべき姿を具体的に創り始める時期です。

此処時期の充実度で役作りの結果が大きく異なって来ます。

この時期に重要なものは、視界の広さの確定です。

ここで言う役者の視界というのは、目で見える範囲といった物理的な事ではありません。

役者の視界とは作品の中の自分の役を取り巻く全て状況、人間関係を把握してはじめて具体的な見えてくる世界の事です。

そこで生きる人間としての視界の事です。

つまり知っている事と知らない事をはっきり認識することなのです。

これは台本の読み方が「読者の読み方」から「役者の読み方」へ移行することを意味します。

読者は作品世界を俯瞰し、自分の役を含めたありとあらゆる事を認知します。

しかし役者は、この世界を個人の立場から見上げなければならないのです。

つまり知らない事が、知り得ない事があることを知らなければならないのです。

これが役者の世界の視界ということです。

「君はこの事を知っていたんですか?」

「それは君にとって初めての事だよね」

こんなダメだしを出されいるようじゃ役者の視界なんておこがましいやね。



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