本番九日前です。
この時期は役者が今までの稽古によって培ってきた虚構(作品)の中の日常が形を成す時期です。
つまり、それぞれの登場人物が台本に書かれてある事を元に、自分の過去を創り上げ、その過去からの人生から生み出された、ものの感じ方、人生観から自分に与えられた台詞を考えて台詞が肉声へと変わる時期です。
簡単にいえば登場人物として生きはじめている時期です。
この時期はまたようやく演出の出番でもあります。
劇団芝居屋ではここまでの時期の演出の役目は、役者が役創りの手助けに徹しています。役者が想定外に自由を手に入れ、役の広がりを手に入れた現場に立ち会う事は演出を担当する者の大きな喜びです。
そんな喜びがたくさん感じられる現場は幸せな現場ですよ、後で演出家が苦労しようがですね。
そうやってたくさんの創り上げたものを、どう飾って分かりやすく観客の皆様に提供するか。
これからが演出の仕事になる訳です。
これは役者にとって新たな戦いの始まりにもなるのです。
それは演出が要求する見せる為の都合と、役者の演技的にこうはできないという事との攻めぎ合いです。
これらの戦いが決着した時に本番体制が出来上がったといえるのです。
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