弔い上げと墓仕舞いの件が穏便な内に話が住み、お互いの心の距離も縮まっていい時間を過ごした角田家一同の前に、文子が現れ法要の始まりを告げる。
文子 「皆様、法要の準備が出来ましたので、本堂の方へご案内いたします。尚,法要が終わりましたらそのままタクシーで御斎の会場へご案内致しますのでお荷物はお持ちください」
聖司 「あのう、文さん。荷物を持って本堂に行くんですか」
文子 「ああ、そうだよ」
奈美恵 「こっちには戻って来ないの」
文子 「そうなのさ」
妙子 「どうして?」
文子 「それがさ。案山寺さんが法要が終わったらその足で他所に回らねばなんねええのさ、そこの寺がちょうど老松に行く手前にあるもんだから、そこで落としてくれって言うもんでね。(声を潜め指で〇)渋い人なのさ」
文子 「正一さん、悪いね」
正一 「しょうがねえじゃねえか。文ちゃんも一緒に行くんだから支度しとけ」
文子 「ハイよ」
それぞれ自分の荷物を抱え。
聖司 「伯父さん、準備できました」
正一 「それじゃ、行くべえか」
一同 「ハイ」
やがて法要がはじまり読経が流れる。
今までの縁で法要後の食事会に招待されている文は上機嫌に後かたずけです。
文子が入って来る。
文子 「(鼻歌交じり)さてさて、片付け、片付け・・・」
座布団を片付け、お茶セットを片付ける。
文子 「なに着たらいかっぺね・・・どうすっかね・・・あれはどうだ・・・」
石油ストーブを消す。
文子 「ちょっと派手かね・・・(読経を聞いて)ああ、急がねば・・・支度、支度」
読経の続く中、舞台は暗転していきます。
劇団芝居屋第47回「通る道」長らくご覧いただきましてありがとうございます。
これにて終演でございます。
撮影鏡田伸幸
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