家は商売を営んでいたため常に忙しかった
ただ季節ごとの行事、とりわけご先祖様への感謝は忘れずに行い
お彼岸のおはぎは毎年1升以上のもち米を炊いた
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結婚してからも実家と叔母のためにおはぎ作りは続いたが
実家の両親も亡くなり、叔母も糖尿病を患っていることもあり
今は家族の分だけ作るようになっている
子育てが落ち着いた3年ほど前から再び自分でアンコも作る
餡を練りながら色々なことを思い出す
祖母に味見をしてもらう時にドキドキしたり
母がくるむ綺麗な形に感心したり
叔母のまとめる大振りなおはぎに笑ったり
みぞれが降った寒い日だったけれど、お墓参りを済ませ
身ごもっている長女と共に5合のもち米を丸め、おはぎを供える
餡の艶は出なかったのが残念
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今朝、母に会った
私は「お母さん、お母さん!」と大泣きして抱きつく
母は黙って微笑んでくれる
明日は「この世とあの世が近い日」とも言われるお彼岸の明け
長い間触れていない母
優しく笑を浮かべる母の姿に私は無性に安堵した
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亡き家族を思いながら季節ごとの行事の準備を続けてきた
私だけにいただけたご褒美かもしれない