サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

地域環境力と社会関係資本

2010年05月16日 | 環境と教育・人づくり
写真:ハナニラ

 地域づくりにおいては、「主体個々の力」の形成とともに、「主体間の関係の力」の形成が重要である。私が、この「主体間の関係の力」が、「社会関係資本」に相当すると気づいたのは、たかだか2年前である。
 
 この「主体間の関係の力」は、主体の組み合わせから、次のように整理できる。

 1.住民同士、住民とセクター

  1-1 近隣の住民同士(地縁関係)
  1-2 職場・学校やNPO活動、あるいは情報コミュニティ等を通じた人同士
  1-3 住民と行政、企業等

 2.同セクターの組織同士

  2-1 地域の互助組織同士
  2-2 地域のNPO同士
  2-3 地域の企業同士
  2-4 地域の行政同士(行政内部の部署間、市区町村と県・国等)

 3.セクター間、組織同士
  
  3-1 地域の住民・互助組織とNPO
  3-2 地域の住民・互助組織と企業
  3-3 地域の住民・互助組織と行政
  3-4 地域のNPOと企業
  3-5 地域のNPOと行政
  3-6 地域の企業と行政
  3-7 地域の住民・互助組織とNPO、企業、行政等
  
 4.地域内の主体と地域外の主体


 さて、パットナム(1993)は、社会関係資本を、内部結束型(bonding)と橋渡し型(bridging)に分類している。前者は、内部志向、フォーマル、強い絆である。後者は、外部志向で、インフォーマル、外部志向である。

 また、ウールコック(1998)は、連結型(linking)の社会関係資本を加えた3分類を提起している。連結型は、「地域に住む住民同士だけでなく、制度化された権力や権威を超え、人々が自治体や企業と連携し、必要な情報や制度を得ることを通じて構築される信頼やつながりを中心とする」。

 地域環境力の組み合わせとの対応で考えると、社会関係資本は、組織間というよりは、個人と組織等との結びつき方を中心としている。この意味で、組織間、セクター間の関係は社会関係資本の範囲外となる。

 上記分類でいえば、1が社会関係資本に相当し、1-1は結束型、1-2が橋渡し型、1-3が連結型に相当する。

 さて、地域環境力は、社会関係資本よりも広い概念である。ただし、行政、企業、NPO等の相互関係が間接的には個人と組織との関係に影響を与えることも考えられる。

 この意味では、個人を中心にした人と人のつながり、人と組織等とのつながりは、狭義の社会資本であり、組織間、セクター間の関係は広義の社会関係資本として、捉えるべきものではないだろうか(つまり、地域環境力=広義の社会関係資本)。

 人と組織等とのつながりは、個人に対して直接的な社会関係資本であり、組織間、セクター間の関係は個人に対して間接的であり、より基盤的である。

 なお、組織間、セクター間の関係が形成されたとき、それが地域住民にどのような影響を与えるかという観点の実証的研究も必要である。
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