環境科学会誌 Vol.30(2017)No.1に、下記の論文が掲載されました。
再生可能エネルギーによる地域社会の構造的再生に関するチェック項目の構築—長野県飯田市・滋賀県湖南市の評価—
大規模な再生可能エネルギー設備の地域への立地が,地域主体との紛争や地域主体と設備間の乖離を招いている。一方,小売電力の完全自由化により再生可能エネルギーの新たな可能性が拓けてきている。こうしたなか,地域主体は,再生可能エネルギーの導入による目標を検討することが必要となっている。
本研究では,再生可能エネルギーの導入による地域社会の構造的再生の目標のチェック項目を作成した。長野県飯田市と滋賀県湖南市の事例調査により,チェック項目を作成し,チェック項目の有効性の確認を行った。チェックリスト作成に用いた理論的枠組は,(1)エネルギーの自治,(2)対話とネットワーク,(3)地域経済の自立,(4)公正と安全,環境共生,(5)地域主体の自立共生,の5つの要素で構成される。
作成したチェック項目の特徴は3点である。(1)本チェック項目は,地域社会の構造的再生を重視して作成したものである。(2)本チェック項目は,定量的に把握できない側面も含めて,目指すべき地域社会の状況を網羅的にカバーする。(3)本チェック項目は地域のチェック&アクションのためのみならず,取り組みの第一歩への指針としても有効である。今後の研究課題として,さらに多くの地域の事例調査を行い,チェック項目を改良していくことがあげられる。
下記から御覧いただけます。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sesj/30/1/30_300103/_article/-char/ja/