サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

こっぽい屋 ~福井県池田町のアンテナショップ

2008年12月07日 | 環境と経済・ビジネス
写真:こっぽい屋の商品


福井県池田町の取組みのうち、コミュニティ・ビジネスの事例としても注目したいのが、「こっぽい屋」だ。

”こっぽい”は、方言でありがたいという意味。今日は天気がよくて、こっぽいとか、言うらしい。

この「こっぽい屋」は、福井市郊外の大型店の一角にある、池田町のアンテナショップだ。野菜だけでなく、御餅、惣菜等の加工品も含めて、品そろえが豊富だ。

商品は、家庭菜園で作った野菜等を、おばあちゃん達が持ち寄ったもの。だいたい150名ほどのおばあちゃんが参加しているという。

現在の売り上げは、1億5千万円。池田町の米の生産額が3億3千万円ほどだから、この店の売り上げの大きさがわかる。おばあちゃん達にとっても、月5万円以上の小遣いになるのだから、大きい。

町長が、宮崎県の綾町などに刺激を受け、一村一品ならぬ、百姓一品という考え方で、住民に呼びかけた取組みであるが、多くの住民の参加と経営面の成功という意味で、コミュニティ・ビジネスと呼んでいいだろう。

このアンテナショップには、おばあちゃん達が研修で店にたつという。これにより、消費者の声を聞くことができ、生産者と消費者がつながる。

ちなみに、このアンテナショップをはじめて、池田町内ではパーマ屋さんが繁盛したという。お店であるために、おばあちゃん達が髪をセットしたためだとか。

また、消費者は有機農産物だと思って購入するから、それを裏切らない仕組みとして、有機農産物の認証制度を始めた。この認証基準は、成分濃度を検査するような方法ではなく、自己申告による。正直をモットーとする池田町ならではの方式だ。

こっぽい屋の成功をみて、町内では、餅を出す喫茶店をお嫁さん世代が始めた。お雑煮、焼餅、ぜんざい等を出してくれるお店は、きれいで、薪ストーブをたいていた。

こっぽい屋の有機農産物を支えるのは、池田町内の有機資源循環だ。畜産糞尿と町内から回収した生ごみでつくった堆肥が健康な土づくりを支える。特に、生ごみ回収は、行政ではなく、80名の住民ボランティアが担っている。

コミュニティ・ビジネスとは、住民の参加や人と人との関係を基盤とする経済活動であり、活動の目的や成果は公益的なものである。池田町の「こっぽい屋」及び有機物循環は、まさに町民総参加型のコミュニティ・ビジネスだ。


参考:池田町資源循環
http://www13.ocn.ne.jp/~farm-f/index.html
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 福井県池田町 ~強い紐帯の力 | トップ | 地域発エコプロダクツ ~釜... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

環境と経済・ビジネス」カテゴリの最新記事