サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

環境ユーザー・イノベーションの可能性

2015年09月21日 | 環境イノベーションとその普及

横浜環境ビジネスネットワーク メールマガジン【9月18日配信】

コラム 【第6回】環境ユーザー・イノベーションの可能性



 「ユーザー・イノベーション」とは、ユーザーが必要に応じて、製品やサービスを創造や改良することである。
ユーザー・イノベーションに早くから取り組んでいる企業として、無印良品がある。「あったらいいな!ご意見パーク」というWEBサイトにより、消費者から製品アイデアを集めている。この手法は、消費者の持つ膨大な知恵を集めて製品開発を有効にするだけでなく、コミュニケーションによって製品あるいは企業の価値を高める。


 消費者に、製品の使い方を意識し、工夫してもらうという意味では、ライフサイクルマネジメントとして有効である。環境ビジネスは、このユーザー・イノベーションと親和性が高い。例えば、省エネ家電製品によるエネルギー消費量の削減は、ユーザーの使い方次第である。家電製品の使い方の工夫や使用データの収集、さらにはユーザーの提案をもとにした製品改良等はもっと重視されていいだろう。

 

 最近、長野県飯田市の天竜川舟下りの会社で、竹ボイラーを使った足湯を始めた。ここでは、放置竹林で川沿いの景観が悪化し、また不法投棄も多くなっているため、竹林を整備し、伐採した竹で筏をつくり、イベント等で楽しんでいた。その竹筏が古くなってきたとき、竹ボイラーのことを知り、最後にボイラーで利用して、舟下りの後に楽しんでもらう足湯に利用することを考えたのである。

 

 竹ボイラーを開発したメーカーは、こうした利用は想定しておらず、楽しく使ってもらうことが大事だと教えてもらったという。この取組は、地元新聞に取り上げられ、各地の講演にも呼ばれることもあって、竹ボイラーの広報機会となっている。


 そもそも、環境ビジネスが目指すべき持続可能な社会は、消費者が大量消費に依存する暮らしを改め、自立して、楽しく共生する社会であるはずである。この意味でも、環境ビジネスにおいて、ユーザー・イノベーションをもっと重視していきたい。

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