集改センターの第147回 スキルアップセミナー報告
開催日:2017年(平成29年)4月5日(水)
テーマ:
1.管理組合理事の責任及び管理会社の責任を法的に検証する
2.管理組合理事の利益相反行為とは
講 師:九鬼 正光(本会・正会員/弁護士)
<セミナー概要>
≪テーマ1≫
■自主管理から管理会社への委託の流れ
区分所有法には「管理会社」という言葉は出てきません。このことは区分所有建物とは区分所有者が集まって管理するもの(
自主管理)、と考えられていることを現しています。管理者とか管理組合といった、区分所有者が管理するための機関、
組織については定められています。区分所有建物(マンション)は当初は小規模なものでしたが、昭和40年代後半から50年代にけて、
マンションの規模が大きくなるにつれ、自主管理は難しくなり管理会社に委託する管理組合が増えてきました。
■管理会社への委託内容の理解
マンション管理のどの部分を委託するのか、契約の内容はどのようなものとするのか、が管理会社と管理組合の間で締結する管理業務委託契約書において
決まってきます。昨今、管理会社に任せきりという管理組合が多くなっていると感じられます。一例をあげると、滞納者の問題があります。
ほとんどの管理委託契約においては、滞納者へは6か月間督促するが、それ以後は管理組合で対応すること、となっています。
管理組合の責任において法的措置等の回収に向けた行動をとる必要があるのです。委託契約内容をよくチェックして下さい。
■管理組合理事の責任
管理組合役員と管理組合の関係は、基本的には委任関係にあり、委任関係は原則、無償となっています。管理組合の横領事件について、理事長と監事に責任がある、
という判決が東京地裁で出されています。理事長などの役員に就任すると、「権限がある」という意識を持たれる方が多くおられるようですが、同時に、「
責任も生じるのだ」ということ、「善管注意義務がある」ということのほうこそ、強く意識することが重要だと考えます。
≪テーマ2≫
■管理規約の利益相反規定について
昨年の標準管理規約の改正で、「利益相反取引の防止」規定が新設されています。主には外部の専門家の役員就任が可能とされたことで、
定められたものと思われます。株式会社に適用されている法律をそのまま持ってきたような規定で、37条の2第2号は間接取引について書かれていますが、
どういったことが想定されるのか、疑問符が残る内容となっています。
~ 次回開催予告 ~
■第148回スキルアップセミナー 2017年5月10日(水)午後3時から
テーマ:大規模修繕工事で行うべき工事とその必要性
講 師:田中 隆宏(本会・正会員・設計管理事業部/1級建築施工管理技士)
10~15年毎に行われるマンションの大規模修繕工事。どのような工事が行われているのか、
◎またどのような工事が必要なのか?専門家の話を聞いてみませんか。