腫瘍内科医一家のニューヨーク滞在記

ニューヨーク研究留学中での出来事を感想を交えてメモ代わりにつづります。

冬のニューヨーク 家族でアメリカ自然史博物館へ

2010年01月25日 01時54分47秒 | 日記
 冬のマンハッタンは、家族ずれで遊びに行くところがあまりなさそうである。
 アイススケートには何度か行った。あとが続かない。

 子持ちの職場の同僚たちに、「子供を連れて遊びに行ってやりたいけど、どこかお勧めはないか。」、と聞きまくっても、ほとんどの人たちから帰ってくる答えは、「アメリカ自然史博物館 American Musieum of Natural History」ぐらいである。
 もう一つは意外なことに、ミッドタウンのマディソンアベニューにある日本が誇る「Sony」のフラッグシップストア「Sony Style」であった。まだ、行ったことがないが、ここではソニーの製品が自由に触れるので子供が喜ぶであろうとのこと。

 さすがに、こちらに来てソニーの店に行かなくてもということで、一月の初めに、アメリカ自然史博物館に子供二人を連れていってきた。
 マンハッタンのセントラルパーク西側に接した、81丁目にあるのであるがとてつもなく大きい。
 またしても、アメリカのお金持ちぶりに圧倒された。

 生物、物理、地学、化学の分野のすべての歴史が学べるようになっている。
 子供流にいえば、恐竜、生き物、動物、宇宙等のことが見学できるといった感じである。
 本当にきっちり見学しようとすれば、1週間以上かかるで規模と思われる。
 詳しくはホームページhttp://www.amnh.org/を参照。

 子供たちには、圧倒的な展示場の恐竜の展示や世界の動物の剥製が印象的だったようである。
 少しは教養を持ってほしいという親のひそかな願いはかなえられず、彼らは詳しい説明文なんかそっちのけで、単純におおきな恐竜の姿や動物たちを楽しんでいた。
 また、宇宙旅行をしているかのような錯覚に陥る「Journey to the Stars」というプラネタリウムショーは大人にとっても感動ものであった。地球上の人間の営みなんて宇宙規模で見れば、砂の一粒ぐらいのもので、つまらないことに一喜一憂しても仕方がないと素直に思えた。

 「宇宙」ということで大きく話はそれてしまうが、わが国の総理大臣が「宇宙人」と称されているが、前々から違和感を感じている。軽々しく「宇宙」などというたとえは使うべきでない。彼の奥底に、我々の想像を超えた日本の経済危機を救えるような秘策が隠されているとは到底思えない。変わり者という範疇で「宇宙人」という言葉が使われているのであろうが、それではあまりにも軽すぎる。彼は日本有数の政治家の家系でお金持ちの家に生まれたが、我々と大きくは変わらない普通の人間である。早かれ遅かれ国の借金の付けが我々国民に回ってくる。

 もし可能なら、宇宙人にあってみたいが、僕らがイメージできるようなものではないだろう。
 当たり前だが、宇宙は広大で得体の知れないものにちがいない。

マネージメント能力の欠落

2010年01月20日 06時00分00秒 | 日記
 今年に入り、小さなものであるが、自分のプロジェクトを与えられた。
 テクニシャン、学生からなる数人のチームを形成していく必要があるが、なかなかうまくいかない。自分の立場は、2、3年だけ滞在予定の訪問研究者であり、上司のような権威があるわけではない。当然、彼らは上司の仕事を最優先する。
 これにははっきりした理由があり、こちらで医師になるためには4年生の大学を出てから、さらに4年制のメディカルスクールに入学するのであるが、メディカルスクールに出願するためにはしかるべき人物(医師、研究者等)からの推薦状を複数用意しなければならないとのこと。このため、こちらの学生はメディカルスクールに入る前に、研究所等で2年間程度テクニシャン等として仕事をし、上司の推薦状をもらうように努める。
 当たり前であるが中間管理職的な立場は、やはり洋の東西を問わず、板挟み状態となるものである。
  
 こちらの雇用形態は、平日の9時5時がベースであるので、この時間内でいかに効率よく仕事をしてもらうか考えていけないといけない。これが典型的な日本的雇用になれた身にはとても難しい。日本であれば、仕事が予定通り終わらなければ、夜遅くまで働いたり、休日出勤することで時間の遅れをカバーするが、こちらではそれを他人に求めることは一切許されない。
 もちろん、自分の研究の進行に応じて、時には夜遅くまで働かざると得ない場面もあるが、それはあくまで自己判断で勝手に夜まで働いているという扱いである。
 
 先週末、僕のプロジェクトがなかなか進まないのを見かねて、ミーティングが開かれた。上司は、医学生に「彼は上級研究員で、自分自身で研究プロジェクトを進め、君たちを指導する立場だから、この実験については君自身の手でやりなさい。いつまでにできそうだ。困ったときだけ、彼に聞いて教えてもらいなさい。」と僕が言わなければならないことを代弁してくれた。
 僕は横で聞いていて、とても恥ずかしくなった。自分はマネージメント能力が全然ないといわれているような気持ちになりとても居心地が悪かった。
 ミーティングの後、上司が「これで大丈夫か。」と声をかけてくれたときは本当に情けなかった。上司に「Thank you.」と言っている自分が格好悪くて仕方がなかった。
 
 翌日は、その学生に朝、昼、夕の3回様子を見に行って声をかけた。金曜日にもかかわらず、自主的に1時間半ほど時間を延長して働いてくれたので、帰り際に彼のところへ行き「ありがとう。時間が遅くなって悪かったね。」と声をかけたら、帰り際、笑顔で「Have a nice weekend」と返してくれた。
 彼の笑顔を見てようやく少しではあるが安堵した。

 当分、苦戦が続きそうである。

 写真は、職場のミーティングルームである。 
 

「善伪」って?

2010年01月18日 06時00分00秒 | 日記
 職場に仲の良い中国人の同僚がいる。

 自分より1年下で、もともと中国では外科医だったそうであるが、6年前に同じく病理医の奥さんのニューヨークへの留学を追いかける形でこちらに留学してきたとのこと。
 彼は、5年間の留学生活後、研究室が解散(こちらでは研究費がとれなければ研究室が解散になることはよくあることらしい。)となり、一昨年からテクニシャンに転身し、自分の職場で働いている。彼曰く研究者は大変なので、自分にはこちらの方が性にあっているし、人生はエンジョイしないと、とのこと。
 後日、アメリカにとどまる本当の理由を教えてくれた。「別にアメリカが好きなわけではない。アジア人に対する差別も感じるし嫌いだ。アメリカにすむ多くの中国人は子供の「教育」のためにこちらで生活するんだ。お前が子供の教育を気にするのと一緒だよ。」

 彼は親切でナイスガイで、性格的にとても優しい。笑顔が癒し系でどこか、昔の上司に似ているので、初めて会った時から親近感を覚えている。彼の中国時代のボス(外科教授)が日本に留学経験があるとのことで、彼は日本という国を好意的に見てくれていると感じる。 とにかく、彼とはとても馬が合う。彼とはいつまでも友人でいたいと心から思う。
 1980年代に中国で日本映画が放映されていたらしく、30代半ばにして、「高倉健」が好きというのも最高だ。(笑)

 先日、彼から、「CVS store」というチェーン店のドラッグストアで、「SOY JOY(日本でもおなじみ)」のキャンペーンをやっているから絶対に行くように勧められた。

 驚いたことに、6本入りひと箱(6ドル)のソイジョイを買うと、レシートにひと箱無料のクーポンが印刷されるので、次にレシートと一緒にひと箱「ソイジョイ」をレジに持っていくと無料になるばかりか、さらにレシートにひと箱無料のクーポン券が印刷されるという。これが一人当たり6回まで繰り返されるので、(わかりにくくて恐縮であるが、ひと箱買うと来店ごとにひと箱ずつ最大6箱まで無料でもらえる!なんと、たった6ドルでソイジョイが6本X6箱の計36本が無料でおまけでもらえる。)
 彼は、「早く貰わないとなくなってしまうぞ。急いで6箱貰ように。おれなんか妻と二人で計12箱もただで貰ったよ。」と屈託なく笑う。

 さっそく仕事帰りに寄って、ソイジョイをひと箱購入。さらに、もう一度、店に入り、レシートとソイジョイひと箱を持ってレジへ。確かに無料になったし、さらにレシートには次回の無料クーポンが印刷されている!しかしながら、これ以上繰り返してソイジョイひと箱だけをもってレジに繰り返し行くのは恥ずかしすぎる。
 
 翌日、彼がニコニコしながら、「ソイジョイちゃんともらったか。」と聞いてくる。「ありがとう。ひと箱は貰ったけど、何回も繰り返しもらうなんて日本人にはできないよ。」と言ったら、紙に「善伪」と書かれた。意味がわからなかったので、筆談で、「謙虚」という意味かと書いたら首を大きく横に振る。パソコンの中日辞典で確認したら、なんと「偽善」と表示されるではないか!思わず、「なんで?」と聞き返すと、どうやら、中国人の発想では、「お前も6箱もらいたいんだろ。お上品ぶるなよ。」という感覚らしい。
 目からうろこが落ちる気分であった。我々日本人からみて、中国人が時々遠慮がなく、強引に見えることがあるが、ようやく彼らの発想が理解できた気がする。
 こちらも「honest」を売りにしているので、引き下がるわけにはいかない。「多くの日本人はシャイなんだよ。」と反論したら納得してくれた。
 
 ソイジョイ片手にレジに恥ずかしがらずに夫婦そろって6往復できる彼にはかなわない。 今回は、あんたの勝ち!(笑) 

息子の食物アレルギー対策 USDAマーク

2010年01月16日 15時56分41秒 | 日記
 昨年末にニューヨーク在住にあたってのアレルギー対策について書きかけてそのままになっていたので少し書きたいと思う。

 息子は、小学一年生になった今も、主治医の先生から食物アレルギーのため、乳製品、ピーナッツを食べないように指導されている。
 初めて診断された時は、さらに卵、小麦、牛肉も食べられなかった。実は、妻は息子のために息子が二才になるまで息子と同様の除去食ですごし、市販のミルクは一切使用せず母乳だけを与えて育てた。
 
 こちらに赴任するに当たって最大の懸案事項であった息子の食物アレルギー対策であるが、これに対する対応として適切なのは、とにかく「添加物」の入っているものを摂らないことである。しかし、現代社会ではなかなか難しい。

 加工食品は、とにかく成分表示を全部確認する必要ががある。
 とくに、加工食品の場合、和食、中華等の本来あまり乳製品を使用しないはずの食物にさえ、「蛋白加水分解物」という名目で、乳成分が含まれていることが多いのである。油断できないことは、たとえ乳成分の表示がない場合でも、成分表示の下の方に小さな字で、この製品は乳成分、ピーナッツが含まれる食品と同じ工場でつくられていますと表示されていることもある。
 
 意外に思われるかもしれないが、ハムやベーコンもほとんどの場合、「蛋白加水分解物」と称し、乳成分が添加されているのである。
 こちらに来てしばらくいろいろなスーパーを探し回ったところ、いわゆるグルメスーパーと呼ばれるところで、この問題が解決した。

 アメリカでも郊外であれば、このようなスーパーが近くになくて苦労したかもしれない。
 写真のごとく「USDA(United States Department of Agriculture)」の認定を受けている食品は、オーガニックであることが保障されたものであり、たとえば、加工肉の場合は、たとえば豚の飼料に抗生剤、ホルモン剤を使用せず、加工の際も亜硝酸や乳製品由来の蛋白加水分解物は使用しない等の決まりがある。値段は通常のものより、約3倍ほどかかってしまうが、日本で同じような添加物なしの加工肉を買うよりは若干割安である。
 USDAについては、http://www.usda.gov/wps/portal/usdahomeを参照されたい。

 それにしても、家畜に抗生剤だけでなく、ホルモン剤を使用するなんてスポーツ選手のドーピングじゃないんだから勘弁してほしいものである。
 

「アバクロ」について

2010年01月14日 06時00分00秒 | 日記
 日本でも銀座に「アバクロ」がオープンし長蛇の列ができたと聞いたが、こちらでもたしかに人気である。
 しかし、こちらでは日本よりずっと安く買えるし、日本の値段を聞くと外国ブランドであることを考慮しても、日本人はなめられているいるような気がする。
 
 友人たちへ
 
 こちらに遊びに来てもらったら、自宅から地下鉄2駅でニューヨークの5番街のフラッグシップ店に行けるので、日本なんかで買わなくてもいいよ。
 どこかのインターネットのサイトでアバクロがセレブ愛用とあったが、笑わすなといいたい。これは普段着用の少しミーハーなカジュアルブランドである。
 この鹿のマーク(笑)をみんなで楽しめばいいのだ。