腫瘍内科医一家のニューヨーク滞在記

ニューヨーク研究留学中での出来事を感想を交えてメモ代わりにつづります。

日本のガラパゴス化!

2010年05月31日 20時18分53秒 | 日記
 先日、日本から元上司の先生が職場に登場。
 日本でいえば定年を過ぎた年齢になられてからも、御自身が開発に携わった臨床試験をこれからアメリカ、中国で展開するために、世界中を飛び回っておられる。もちろん、そう簡単にがんに効果のある薬の開発が成功するわけではないが、チャレンジなしには何も始まらない。
 夕食をご一緒したが、その時に、日本のガラパゴス化や厳しい見通しについて熱く語っておられたのが印象に残った。
 「最近の日本は世界に目を向けず、日本の中だけで自己完結する傾向にある。医学界もしかりである。小さな縄張りにこだわるスケールの小さいリーダーが増えてきているが、このことは決して日本の将来のためにならない。個々の日本人の能力は決して欧米の人間に劣ってはいないが、先端の臨床医学や医学研究でアメリカやヨーロッパと渡り合うことは、インフラの面で非常に難しい状況になっている。不可能といってもいいかもしれない。人口が日本の10倍以上いる同じアジア圏の中国にも、教育や環境が整ってくればそう遠くない将来追い越されるであろう。遺伝学的に日本人と近い中国人であればわれわれと同等の発想や想像力を持っているに違いない。自分は日本の将来にとても楽観的な気持ちになれないが、とにかく若い世代は頑張るしかない。」

 もちろん、僕たち若い世代にも心ある人間にはそのことは見えている。
 こちらにいると、嫌でも見えてくる。
 しかしながら、先端の臨床医学や医学研究に関するインフラの問題は決して医療側だけで解決できる問題ではなく、行政、医療職以外の国民側の認識も絡み合った問題であり簡単には状況が変わるとは思えないことも事実である。

 日本のガラパゴス化については、グーグル検索で次の2件がわかりやすく記載されていた。http://www.nri.co.jp/navi/2008/080213_1.html
 二つ目は、賛否両論分かれるところであるが、日本の教育制度についてのガラパゴス化という視点で興味深い。茂木氏の「日本企業の就職にだけ通用する日本の大学教育」という批判が印象的である。http://kenmogi.cocolog-nifty.com/qualia/2010/05/post-cf6f.html

再びヤンキース戦観戦 勝負は下駄を履くまでわからない

2010年05月30日 12時56分02秒 | 日記
 今日、とある方から、ヤンキース戦のチケットをいただくことができたため、家族と再びヤンキースタジアムに出かけた。
 
 今日の座席というか、「部屋」はいつもと違って個人ではいくらお金を出しても決して買うことのできないスイートルーム。部屋に案内されたとたん、家族一同、感謝、感激。

 序盤はヤンキースが完全に主導権を握り、5回終了時点で10対4の大量リード。
 今日こそヤンキースが勝つとご機嫌の息子であった。
 楽勝と思っていたら、7回表にインディアンスに一挙7点を取られて大逆転されてしまい息子が怒り出す始末。この姿を見て、自分が子供のころ甲子園球場に阪神対巨人戦を見に行き、勝敗に真剣に一喜一憂していたことを思い出した。子供に限らず、ヤンキースファンも打たれたピッチャーに容赦ないブーイングを浴びせかけ、球場は一種異様な雰囲気になった。
 まさかのヤンキースの逆転負けが濃厚のため、他の客同様、家族は途中で帰ろうと言いだしたが、あえて最後まで応援しようと説得した。

 もしヤンキースが再び逆転してくれれば、「勝負は下駄を履くまでわからない。」ということを子供心に鮮明に記憶に焼きつけることができるのではという、親ばか特有の甘い期待があった。しかしながら、結果は最終回にJeterのタイムリーで一点を返したものの11対13でヤンキースは勝ち試合を継投ミスで落としてしまったのであった。
 
 もちろん、ヤンキースがまさかの逆転負けをしたこと自体が、「勝負が下駄を履くまでわからない。」といえるのであるが、やはり結末はハッピーエンドに限る。

 
 
 

食物アレルギー対策 その3

2010年05月28日 12時47分52秒 | 日記
 下の7歳の息子がいまだに乳製品とピーナッツにアレルギーがあることは何度かブログでもふれた。日常、ニューヨークの街中を歩くと、どうしても、パンやケーキが目に入ってしまう。

 息子は、乳製品が食べられないことにたいして、駄々をこねたり一切しないのであるが、当然ながら食べたいのを我慢している。
 
 こちらのアパートは、一般的に、キッチン用品、洗濯機等の、いわゆる白物家電が、初めから備え付けれらていることが多い。もちろん、日本のキッチンと比べると簡素な造りではあるのだが、機能的には必要十分といったところである。ガスコンロ、電子レンジ、冷蔵庫はもちろんのこと、ガス式のオーブンがあるのは嬉しい。日本の自宅をオール電化仕様にしたため、オーブンに関してはこちらの方がパワフルで大きく使い勝手がよい。
 そういうこともあって、こちらに来てから、娘が簡単ではあるがケーキを焼くことを覚えた。
 市販のカップケーキには、ミルクやバターが入っているので、息子は口にできないが、自家製なら、小麦粉、ベーキングパウダー、マーガリン(乳製品が含まれていない)、はちみつを混ぜて焼くだけで作れる。
 先日娘がカップケーキを焼いた時、初めて自分で作った娘はもちろんのこと、息子も「本当にケーキを食べてもいいの!」と声を上げて喜んだのが印象的だった。

 そして、パン類については、ニューヨーク名物の「ベーグル」や「プリッツェル」は、通常、小麦と水と塩だけしか含まれていないので、息子も問題なく食べられる。

 あとは、ドイツ製の豆乳から作られたホイップクリームさえ手に入れたら、イチゴショートケーキを作れるのであるが、まだ、ニューヨークで見つけることができていない。11月の息子の誕生日までには何とか手に入れてやりたい。 
 




日曜日の職場にて

2010年05月24日 23時54分37秒 | 日記
 先週日曜日、子供の運動会の帰りに、職場に寄った。
 日曜日の夕方であるため、ほとんど誰もいない。

 こちらでは、週末に仕事をする人はとても少ない。平日でも夜遅くまで仕事をしているのは、日本人か、たまにアジア系の人がいるぐらいの印象である。もちろん、他のフロアには、自然発生的にポスドク間に競争原理が働き不夜城の研究室もあるが、ここではそのような研究室は少数のようである。幸い今の職場は、日本でときどき(?)聞くような、性格のひねくれた研究者が、本来関係のないはずの他の研究者のことをとやかく詮索するような陰湿な空気はほとんど感じられない。
 
 我々日本人の多くは英語が苦手なため、一つ一つのことに時間がかかってしまうのかもしれないが、それにしてもこちらの人間は仕事が早い(荒い!?)。毎日夕方5時から6時には、みんなさっさと帰途につく。
 オンとオフのメリハリのつけ方はこちらの人間のほうがはるかに上手なのである。

 
 これはチャンスとばかり、職場(研究室)の様子を写真に収めてみた。
 写真奥は、職場の窓から見えるマンハッタンアッパーイーストエリア。
 写真右手は、先月新たにやってきた最大同時に16色染色可能なフローサイトメーター。
 
  

ひさびさにダウンしてしまった。

2010年05月20日 11時58分37秒 | 日記
 最近、公私ともどもいろんな意味で時間に余裕がなかった。少し疲れていたのだと思う。
 この二日間は、日本の「大先生」が来られたこともあり、こちらにきてからはほとんど飲むことのなかったお酒を連日飲んだこともいけなかったのであろう。

 昨晩、いろいろやることがあり2時間弱の睡眠で、職場に向かったところ、全く頭が働かない!!気持ち悪いし、眠いし、座っていることさえもつらい。

 こんなときは、日本であれば、医局のソファーや、こっそり当直室で1-2時間寝ることができる(本当は勤務時間中だからいけません。よい子はまねをしないように。)のであるが、こちらでは、そのようなことをできる場所がない。
 今の職場では、誰も職場のソファーなんかでは寝ないのである。
 
 思い出話になるが、僕が医師として駆け出しのころは、日本では基本的に医者が病気で仕事を休むことは恥とされた。今もそのような気風が残っているところが多いと思う。研修医時代など、冬場に40度の熱を出して、当時の上司に連絡をすると、「今からお前の入院ベッドを確保してやるから、そこから回診しろっ!」と一喝された。
さすがに今は、もしインフルエンザだったら院内感染騒ぎでえらいことなるのでありえないが。

 そんな仕事中心に生きる価値観はこちらの人間に言わせると、「クレイジー」の一言で片づけられてしまう。

 職場では寝るところもないので、午後から帰らせてもらい、アパートで爆睡してしまった。体調が悪くて昼間に寝ると、きまって普段見ることのめったにない夢を見てしまう。そして、その夢は大抵はろくでもない夢なのである。余計気持が滅入ってしまう。
 さらに追い打ちをかけるように、夕方学校から帰ってきた娘からは、「なんで家にいるの。幽霊かと思った。」といわれる始末。ダメ押しは、息子からの、「お父さん、体大丈夫? いまから野球をしよう。」の一言。泣き面に蜂とはこのことか。

 やはり、仕事を休むとろくなことがない。