第1回 そのとき何が起こったか
名著146「心の傷を癒やすということ」精神科医・安克昌
自らも被災者であり、援助者であり、全国からの来援者をまとめる立場にあった精神科医・安克昌。彼ほどリアルタイムで被災者について考えぬき記録を刻んだ医師は数少ない。
震災当日から刻一刻と変化する状況を、自らの心情とともに克明に刻んでいく彼の筆致は、まるでドキュメンタリー映画をみているように生々しく胸に迫る。
震災体験の凄まじさ、そして被災者を救助するのも被災者であるという厳粛な事実。抑制された記述だが、描写のはざまから苦痛や深い悲しみが溢れ出て、読むものを揺さぶる。
第一回は、安克昌による震災直後の記述を中心に読み解き、「震災直後に何が起こったのか」「そのとき何が一番求められていたのか」を深く考察する。
HAUSER - Ave Maria
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