さて、今回は『ここではない★どこか』シリーズの中の、舞ちゃんシリーズの第3話目『シャンプー』について、何か書いてみたいと思いましたm(_ _)m
あ、わたしの場合は例によって(?)物語に対する純粋な感想ではなく……とにかく舞ちゃんシリーズに関してはすべて大好きですし、舞ちゃんが恋してる王子さま、天草夜羽根(あまくさよはね)くんも、なんか「格好いい」のは設定のみで、なんか抜けてるところが好きです(温泉でケツだし写真撮られてたり、脱毛テープに悶絶してたり、サイコーですよね♪)。
で、舞ちゃんは文学系の大学生で、生方先生(小説家)の勧めで某文芸マイナー誌で新人賞を取ったりしてます(スゴイ!)。
そんで、その後も継続して生方先生に作品を添削してもらったりしてるみたいなのですが……この舞ちゃんシリーズの第3作目の『シャンプー』には、戸田美津絵(戸田ミッチ)さんという小ギャル……でもないか。ちょっとギャル系っぽい同じ大学の文学少女(?)が出てきます。
それで、お話の中で、戸田ミッチちゃんは天草夜羽根くんをモデルに『クリスタルな男』という作品を書いてまして(言わずもがなという気はしますが、たぶん『なんとなくクリスタル』への揶揄……じゃなくて、オマージュ的な?^^;)……舞ちゃん、戸田ミッチちゃんから「いいわよ。正直に(感想を)いってちょうだい」みたいに言われるわけですけど、実際に舞ちゃんが「うーん。ブランド品とか高級品とか出てくるけど、意味もなく出てきてるカンジ。セレブじゃない人が無理してセレブを書くとこんなかなって……現実味がないカンジ。うーん。センスもないし……」と感想を述べると――怒って舞ちゃんのことを突き飛ばし、椅子から落としてしまうという。。。
>>「ひどい!こんなひどいこといわれたのはじめて!わたし、高校で文芸部の部長だったのよ」
え~と、漫画と小説で表現形態違うかもしれなくても……やっぱりちょっと、増山法恵さんのことが頭を少しだけ掠めました(ここ描いてる時、萩尾先生の頭の中にはもちろん、増山さんのことなんてなかったとは思うんですけどね^^;)。
そのですね、増山さんが萩尾先生や竹宮先生の漫画を批評したりしてたのは20代のほんの初め頃のことであって――『永遠の少年』のあとがきなどを読むとわかるとおり……その後、このあたりのことに関しても、きっと考え方が変わったと思うわけです
その~、わたし自身の持つ、「漫画」というものに対する考え方っていうのは、大体こんなところかなと思います。簡単にいうと、仮にそれが16ページくらいの短編であっても、ある程度決められたページ数内でストーリーを展開して完結させる、また、ストーリーに沿ってコマの中で登場人物に適切な振るまいをさせる……それをすべて絵によって表現するっていうのは、実際相当しんどいことです(^^;)
十代~二十代くらいの頃、まわりに絵がうまかったり小説書いたりしてる友達が何人かいたのですが、まず、イラストがうまいというのと、漫画がうまいというのでは、話がまったく違ってくる……というのが、見ていてすぐ気づいたことでした。スケッチブックに描かれた綺麗なイラストを見て、わたしなどは単純なので、「すごいすごい!きっと漫画家になれるよ!」なんて軽く言ってしまうのですが、イラストがうまくて、手放しで賞賛できる友達でも、いざ漫画を描く、それが6ページくらいの短編でも、ものすごーく大変だ……というのが、横で見ていて思ったことだったというか
まあ、簡単にいうと、一枚イラストを完成させるくらいのものを、もし1ページの中に6つコマがあったとしたら、イラスト6枚描くくらいの気合いで、ひとつひとつのコマを丁寧に描いていくというのは……とてつもなく大変なことなんだなと思いました。しかもその中には、ストーリーの展開上、この角度で登場人物が4人でてこなくちゃならないとした場合、そんなに色々な顔の角度や表情描けないよ……とか、問題が山積することになるわけです(^^;)
それで、最終的にわたしが思ったのが、「ひゃあ~!漫画描くのって思ったより超大変!!」ということであり、もし仮にそれが一般的にいって下手な絵と評されるものであったとしても、批判するなんていうことは、絶対できないというのが、わたし個人が漫画という表現に対して思ってることです。
まあ、「そういう割に随分色々批評してるやんけ☆」といったところではあるのですが、プロの漫画家さんでいくつも作品発表してる方については、特に問題ないと思ってるという、なんというかそれだけの違いです(^^;)
ですから、『一度きりの大泉の話』にある増山さんやサトさま(佐藤史生さん)の手厳しかったらしい批評というのは……おそらくその後、佐藤史生先生はプロとしてデビューすることによって、また増山さんは小説を自分ひとりだけの力で完成にまで導かなくてはならない苦労を知ることによって(by,『永遠の少年』のあとがきより)、きっと変わっていったんだろうなと、勝手ながらそう思ったわけです。
それで、舞ちゃんシリーズの『シャンプー』に話を戻すとしますと、戸田ミッチちゃんが自分の書いた小説を批判されて怒った場面を見て……なんとなく色々思いだしました。まあ、舞ちゃんシリーズは、軽いタッチの楽しい恋愛コメディと思うので、こんな重い系の話をするのはなんなんですけど――ある作家さんの書いておられた本によりますと、「小説書いたりする人っていうのは、基本的に自意識過剰な人が多い」と。それで、「わたし、一見平凡で普通っぽく見えるかもしれないけどォ、文章書かせるとスゴイんですよォ」みたいな感じの自意識過剰が、小説読んでると透けて見える場合が多いのだとか。
で、今はもうネット小説など、趣味で発表する場が∞にあって、たくさんの方が軽い気持ちで自分の書いた物語をいくらでもブログその他で発表できるので……一昔前とは時代が違うとは思うんですけど、まあ、この作家さん曰く、「普段は普通に働いてる普通の人。でも実は自分はこんなにスゴイんだ、普通の人とは違うんだ」という自己主張っていうんでしょうか。そのあたりの欲求不満やコンプレックスですよね。そのあたりをぶつけてくる作品っていうのは、読んでるほうもしんどいと(あ、この方は新人賞の一次通過とか、二次通過などの作品の下読みをアルバイトでしていたことがあるそうです)。
そのですね、わたしも割と自分のまわりに小説を書いてる方がいたので……お互いの小説を読んでもらうとか、やってたことがありました。なんというか、いわゆる忌憚ない意見っていうんですかね(笑)。まずは文章で面白かったところとか、良かったと思うところを列挙して、次に「このあたりがよくわからなかった」、「説明不足なのでは?」みたいに、お互いやりとりするわけです。
わたし自身はそれで腹が立ったとか、一度もなかったわけですけど……こうした経験を通してのちにわかったことは、そう簡単に人が一生懸命書いたりしたものを批判してはいけない、ということだったかもしれません。それで相手との関係が一時的にでも悪くなったとか、そうしたこともなかったんですけど――友達にひとりだけ、いたんですよね。「自分は自分の書いたものを絶対批判されたくない」って、それに近いことを言ってた方が。というか、「わたし、プロになりたいわけでもないし、趣味で好きで書いてるだけだもん。それをこう直したらいいんじゃない?とか言われたくないし、そういうのに応募しようってわけでもないんだから、いいじゃない」と。
また、わたし彼女とは小説の話をいっぱいしました。わたしのほうでは「今こういう小説を書いてる」とか、ほとんど言いませんでしたけど、彼女のほうの小説の話なんですよね。「次こういう展開に持っていきたいんだけど、ここがなんかうまくいかなくて……」とか、大体そんなような話。で、わたしのほうでとにかく聞き役に徹していればそのうち「ああ、そっか。うんうん、なんかいい感じ。これで続き書けるわ。ありがとう」みたいな感じでにっこり納得するという(たぶんわたし、彼女に思ったことをそのまま言ってたら、絶交されてたんじゃないかと思います。普段の性格が、ではなく、小説に関することではすごく繊細な神経を持ってるというか、ポキッ☆と折れちゃいそうなくらいの繊細さを感じてたので^^;)。
その~、萩尾先生や竹宮先生は少女漫画界の大御所中の大御所ですから、そこで「盗作疑惑をかけられた」とすれば、ファンの方の間でこれだけ激震(?)が走るのは当然あるにしても……今は「未来の大作家目指して小説書いてる!」方ってほんと多いと思うので、比較するにはあまりに小さい話であるにしても、結構心当たりのある方がいらっしゃったのではないかと思うわけです。
たとえば、「お互い批判しあってたら喧嘩になった」とか、「向こうが設定を盗作してきたと言ってきたんだが、オレはそう思わん!」とか、そういう系のことですけど(^^;)
ええと、最終的に何を言いたいかというと、そのあたり、増山法恵さんは本人のいる目の前ではっきり思ったことをいつも言っていたというあたり……とても潔い方だったのではないかと、そう思ったりしたわけです(わたしが人が言ってた批判で一番心に残ったのは、「自分を天才だと思っていたければ、人に作品など読んでもらうな!」という言葉だったでしょうか^^;)。
あと、『クリスタルな男』はその後、戸田ミッチちゃん、ブログのほうで連載して好評だったとのことで、わたしもこのお話、夜羽根くんモデルの主人公が何かといえば二言目に「クリスタルだぜ!」と言ってるような小説だとすれば……是非読んでみたい!とか思いました
それではまた~!!