こじらせ女子ですが、何か?

心臓外科医との婚約を解消して以後、恋愛に臆病になっていた理穂。そんな彼女の前に今度は耳鼻科医の先生が現れて!?

変奏曲。-【1】-

2021年09月03日 | 日記

 

 ようやく買いました、『変奏曲』

 

 いえ、この『変奏曲』シリーズが『一度きりの大泉の話』でも言及のある『ヴィレンツ物語』らしい……と知ったのはもっと前のことで、その時もすぐポチリ☆そうにはなりました

 

 ただ、色々な版があってどれにするのが一番いいかわからなかったのと、あとどうやら未完らしい――ということもあって、暫くの間見合わせてたというか。そして、この色々な版があるマジック(?)により、間違えて同じ内容のものを重複して買ってしまいましたなので、わたしと同じように例の大泉問題に関連してこれから読もうとされる方は、どうか何卒ご注意ください、なんて思います(笑)。

 

 でも、間違えて同じ内容のものを2冊購入してしまったとはいえ……巻末に竹宮先生と増山さんのあとがきっぽい文章が載ってたりして、そのためだけにすべての版を揃える方もおられるだろうなあ、と思ったりもします(^^;)

 

 それと、気になることがもうひとつ。わたし、一番新しい版のを2冊と、残り1冊は増山さんの手による小説版と勘違いして購入してしまったんですよねそしてこの変奏曲のvol.2の帯のところには、>>「第1作発表(1974年)より33年目にしての完結を記念し……」とあったり、>>「vol.3(10月発売予定)」と書いてあったりするのですが、どう考えてもこのvol.3に当たる本がどこにもないとしか思えないわけです

 

 ちなみにこの>>「10月」というのは、2007年の10月のことと思われます(vol.2が2007年8月発売なので)。内容としては、漫画のほうは『カノン』という作品で終わっているとのことで、この続きの『カノン完結編』というのを増山さんが小説という形で書き下ろしたものが収録になるという、そうした予定だったようです。

 

 でもこのvol.3がないらしいのは、どうも増山さんがこの小説を完成させられなかったかららしい……という、そうしたことみたいなんですよね(^^;)

 

 あ、ちなみにわたし、責めてるわけでもなんでもありません。わたし自身は萩尾先生の『一度きりの大泉の話』に言及のある物語として『ヴィレンツ物語』に興味がある――という、あくまでそうした立ち位置から本を購入し、買ったあと「結局どの版を買うのが正解だったんだろうなあ」と思いはしましたが、とりあえずそれぞれ巻末のほうに収穫があったので……「同じ内容のものを2冊も買って無駄金はたいちまったよ、チッ☆」といったように思うことはありませんでした(あ、でもちょっとは思ったか・笑)。

 

 ええと、とりあえずわたしまだ、vol.1とvol.2の途中までしか読んでないのですが、とりあえずvol.1だけ読んだ時点で、かなりのところほっとしました。『変奏曲』を連載当時、増山さんは>>「漫画家・竹宮惠子の価値が下がるということ」を恐れ、当時は自分が原作者とは名乗らなかったとのことで……竹宮先生の作品は一切読まないという萩尾先生とはいえ、それでも雑誌の表紙に竹宮先生と増山さんの名前が並んでいるのを見たら――再びのショックがぶり返していたのではないかと思うからです

 

 また、萩尾先生が『風と木の詩』のほうをこそ、増山さん原作の音楽学校の話……といったように勘違いしておられることから見ても、実はこの『変奏曲』シリーズこそが、増山さんが大切にしておられた『ヴィレンツ物語』だとは、発表当時も今もご存知ないみたいだからなんですよね(ほんと、萩尾先生がそのことを知らなくてよかったと思います^^;)。

 

 なんにしても、例によって前置きが長くなりましたが(いつものこと・笑)、今回はおもにvol.1の内容に触れようかなと思っています。主人公はピアノの天才ハンネス・ヴォルフガング・リヒター(通称ウォルフ)と、ヴァイオリンの天才エドアルド・ソルティ(通称エドナン)。そして、ふたりの間を取り持つような役割の音楽評論家ホルバート・メチェック(通称ボブ)の三人。

 

 それで、わたしが重複してもう1冊買ってしまった『ヴィレンツ物語①』(1988年、新書館刊)のほうは、『ヴィレンツ物語』→『変奏曲その1』の順なのですが、『変奏曲vol.1』のほうは、『変奏曲その1』→『ヴィレンツ物語』という収録順です。

 

 実際のところ『ヴィレンツ物語①』(親書館刊)のほうが、話の流れとして自然で、物語としてもよくまとまってる思うんですよね。また、こちらは間違って買ってしまったので、②巻以降の収録内容についてはわかりませんが、『変奏曲vol.1』はちょっと内容のほうが散漫な印象でした。そして、vol.2のほうがvol.1よりも内容的に充実している……が、vol.3が存在しないため、続きを読みたければ他の版のどれかを買え!ということになるようです(これもまた、ちょっとヒドい話☆^^;)。

 

 やれやれ。また前置きが長くなりました(でもこれはわたしのせいじゃない!笑)。ええと、具体的な内容のほうですね。ここが大事!『変奏曲その1~エドアルド・ソルティを記述する試み』は、1976年『別冊少女コミック』の3~5月号掲載……とのことで、『風と木の詩』も同年に発表になっていることから、編集者さんとの間でこの頃すでに「同性愛表現オッケー」の許可が下りていたのでしょう。『変奏曲その1』の中には、エドナンとホルバートのベッドシーンがあります。で、てすね。vol.2の『VARIATION(変奏曲外伝)』という短編の中では今度、ホルバートはウォルフとも関係を持ったことがある……といったように明かされています。

 

 いえ、自分的に「ウォルフ、心臓悪くて早死にしたのになんで?」と思ったり(笑)。ついでにお書きしますと、おかしな話、エドナンとホルバートのベッドシーンは物語に特に必要というものではありませんし、それはウォルフの短編にしても、むしろ純粋なファンの方にとっては「これ、必要かなあ?」といった感じなわけです。

 

 =『風と木の詩』を連載中だったこともあり、竹宮先生は煩悩を抑えることが出来なかった……と思われるのですが、風木を先に読んでしまってると、このあたりについてもはっきり言ってもはやどうでもいいと思える(それに、煩悩を抑えないのはよいことです・真顔)。

 

 ただ唯一、自分的に「勘どころを外している」と思うのが――何ゆえにそれでいて、ウォルフとエドナンのベッドシーンがないのか……ということなんですよね(笑)。いえ、読みはじめる前からわたし、『変奏曲』はそういうお話なんだろうと思ってました。天才ピアニストのウォルフと天才ヴァイオリニストのエドナンが、音楽的にも共鳴した頂点で、恋人同士として愛しあうようになるという……でも、全然違いました

 

 一応誤解のないように書いておきますと、わたし、キャラクターとしてホルバートって結構好きです。でもなんで同性愛者の彼がエドナン・ウォルフ双方と関係を持っていて、読者が一番読みたいといって過言でない(たぶん)ウォルフとエドナンがそうした関係になっていないのだろう、という(その上、エドナンはウォルフの妹のアネットと結婚している^^;)。

 

 このあたりの展開の不自然さその他から、わたし自身はレビューの高さとは裏腹に、「☆5つは流石につけられないかなあ」と思い、☆3つ、あるいは一番つけられても3.5、☆4つでも少し多いかな……う゛~んじゃ、3.7くらいとか……といった感じです

 

 まあ、自分的にはウォルフとエドナンのそうした関係すらいるのかどうか……という感じではあるのですが、ウォルフにはピアノ科の成績で1位と2位を争うくらいの、ローラという少女がいたりもして、もしウォルフとエドナンがそうした濃ゆい関係になるのでなければ、そちらの愛情関係のほうが、一般的少女漫画の展開として大切なような気もしたり(つまり、ホルバートと一夜の関係を結ぶより、ローラとの関係のほうが普通は大切であろう、という^^;)

 

 そのあたりが統一されていないことがたぶん、わたしが『変奏曲』をあまり高く評価せず、5段階評価で3~3.7くらいかなあ……と感じる一番の理由かもしれません。ただ、『ヴィレンツ物語』は中編として面白いと思いますし、これが増山法恵さんが大切にされていたお話なんだなあ……という意味でも、とても興味深かったです

 

 ただ、『変奏曲1』に関しては、エドナンとホルバートのベッドシーンが特に必要ないものであることと、それよりも、エドナンがマリトという少女に銃を渡したのは何故か、また、彼女の写真をホルバートが撮影していたら困ると思い、エドナンはホルバートの求めるとおりベッドをともにしたのに――この少女の顔を写真に撮られていたら何故エドナンは困るのか……といった描写がのちに明かされておらず、宙ぶらりんなまま終わるわけです(=単に竹宮先生がエドナンとホルバートのベッドシーンを描きたかったとしか思えないという・笑)。

 

 このあたり、増山法恵さんがどう思ってたのかはわかりません。増山さんの意向としても、「そのとおりに描いて欲しいと、わたしからもケーコたんにお願いした」とかだったら、この形で正解なのでしょう。これは、vol.1、vol.2の途中までを読んだあくまでわたし個人の印象ですが、増山さんにとってはウォルフって、一番思い入れのある大切なキャラクターだと思うんですよね。そして、彼が天才だけれども心臓病で早世してしまうということも、増山さんの中では最初から決まっていたのでしょう。となると、あとはその短い生を、ウォルフがいかにして生きるかということで……まず、『ヴィレンツ物語』があってのち、さらに彼の人生を別の角度から語ったといえる『皇帝円舞曲』などがあるのもそのせいなのだと思います。

 

 もしかしたら、人気があって「続きが読みたい!!」という読者の方からのファンレターかたくさんあったとか、そうした事情もあったのかもしれませんが、ウォルフの人生が『皇帝円舞曲』や『アンダルシア恋歌』などで、さらに丁寧に別の角度から描かれていることにはとても好感を持ちますですから、ウォルフ主軸、エドナンも主軸、そしてこのピアノとヴァイオリンの天才の才能が絡み合い、友情を越えた恋愛感情を持つようになる――というのが一番よい話の展開と思うのに、そうなってなくて、何故かホルバートという同性愛者が肉体関係だけは横からさらっていく……という、不思議な展開なんですよね(^^;)

 

 ただ、増山さんにとって大切なお話であるだけに、「ここはもっとああして!」とか、「こうして!!」といった注文等が多かった場合(注文の多い料理店@増山法恵・笑)……竹宮先生のほうで「そのくらいの息抜きさせてちょ☆」となるのもわかる気がするので、そのあたりは実際のところがわからないだけに、なんとも言えない気がするわけです。。。

 

 ではでは、次回さらに『変奏曲』という作品の内容について、というよりも、巻末にあった竹宮先生&増山さん&指揮者の大友直人さんのスペシャル鼎談のこととか、言うまでもなく萩尾先生のことについて書きたいと思っていますm(_ _)m

 

 それではまた~!!

 

 

 

 

 


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