久しぶりの更新になります♪(^^)
あ、今ちょっと新しく別の小説書いてるので……そちらのほうはもう随分お話後半といったところなのですが、当初自分で考えていたラストと変わってしまったせいで、「もっと短く終わる予定だった気がするのにな~」なんて思いつつ、時間のある時にちまちま続き書いてますww
まあ、そんなことはどーでもいいのですが、ちょっと泊まりがけで来客があるため、部屋のほうを多少(どころじゃないかも)片付けていたところ……探していた清水玲子先生の『秘密』の公式ガイドブックの入ったダンボールをようやく見つけたのです!!
いえ、本の中に萩尾先生と清水玲子先生の対談記事があるのですよ~♪といっても、この本を購入した時、わたしまだ萩尾先生のファンではなかったため、今とは違い「きゃあ~!萩尾先生~!!」という感じでもなく、どちらかというと「清水玲子先生が尊敬する漫画家としての萩尾望都先生」みたいな感じで読んでいたわけです(そして、対談の中で言及されている『トーマの心臓』も『11人いる!』も読んだことがないというおそろしさよ・笑)。
んで、今回あらためて読んでみて、今はもうすっかり萩尾先生ファンになってるので、対談の興味深い部分などが変わってしまったんですよね。しかもわたし、読んだの結構前なもので……初めて読むのにも近いような「えっ!?こんなこと書いてあったっけ?」的驚きもあったりしました
それが対談の最初のほうにある、(『月の子』の)ギル・オウエンのモデルは(バレエダンサーの)マラーホフであると書いてあるところ……そうだったんですね(笑)清水玲子先生がマラーホフ好きっていうのはずっと前から一応知っていたものの……ギルのモデルがマラーホフだとは知らなかったのです(わたしが覚えてるのは、バレエ雑誌か何かで、清水先生がマラーホフに会ったみたいな記事があって、そこに写ってた清水先生を見て、「めっちゃ美人!!」と思ったことだったでしょうか)。
あ、ちなみにわたし、『秘密』の映画のほうはいまだに見てなかったりするんですけど……今回、清水先生と萩尾先生の対談を読んでいて、急に見たいと思うようになったり(だから、前読んだ時はどこの何を読んでたんだっつーの☆という話です^^;)。
なんにしても今回は、わたしが萩尾先生のファンになってから再び読み返したということで、その点に限った視点から、ここの文章については書いてみたいと思っています(いえ、『秘密』の描き下ろし漫画など、他に読みどころが満載で、最初に読んだ時にはそちらにばかり気を取られていたように思われますww)。
対談の中で萩尾先生が、「お笑い(コメディ)とミステリに関しては、素質(センス)がない」みたいにおっしゃってるわけですけど……この件に関しては、「え~っ。何をおっしゃいますやら……」というファンの方のほうがめっちゃ多いと思うわけです。そもそもデビュー作の『ルルとミミ』だって楽しいコメディと思いますし、ミステリということで言えば、『残酷な神が支配する』があるわけですからね(^^;)
でも確かに、『思い出を切り抜くとき』の中に、萩尾先生がご自身をめっちゃ冷静に分析し、「わたしがミステリーを描けない理由」みたいに書いたエッセイがあって、すごく面白かった記憶があったり(笑)
それで、ここで清水先生が萩尾先生の割と初期の作品で『モードリン』があるじゃないですか、みたいに言及されていて……『モードリン』はわたしも好きでしたなんでかっていうと、雰囲気的にアガサ・クリスティっぽさがあるからです(笑)。あと、このあと清水先生と萩尾先生の対談の中で、「映画を見たり本を読んだり、展覧会へ行ったりといったインプット(心を耕す時間)がない」と、「自分を壊して新しいものを作ることは出来ない」といった会話があって。
たぶん、漫画家さんの場合特に、映画によるインプットって大きいような気がするんですよね。「ハッとさせられるようなラスト」とか、「その発想は自分の引き出しにはないな~」とかいう以前に、このアングルからこう撮ってとか、作品の見せ方の視点的なこととか……無意識のうちにも蓄積されたものが、時々パッと「この角度以外にない」、「このコマの並び以外ありえない」というある種の絶対性とも多少関係するんじゃないかな~という気がしたり。。。
まあ、わたし如き素人の意見などはどーでもよく、「今までの自分を壊して、新しいものを創る」みたいに、萩尾先生はさらっとおっしゃってるわけですけど……漫画のみならず、創作的なことに関わってる方って、これが出来ない時に、「それ以上壁を突破できない」、「スランプに陥る」みたいになるってことだと思ったりするわけです(演劇でいうなら、似たような役柄しかやってこないっていうのに少し似てる気がする)。
それで、ここからおふたりの会話は、「少女漫画は普通の日常を描いたものが多い」的な振りを取材者の方に与えられ、清水先生も萩尾先生も「そこから外れたものが多い」ものを描かれている……みたいな話になるのですが、そこでSFが果たした役割って、当然大きいと思うわけですよね。まあ、なんか言わずもがな☆という感じですけど(笑)、SFっていうのは、とにかく設定としてまずスケールが大きい。たとえば、萩尾先生の作品で言えば、『海のアリア』がたとえとして割とわかりやすいかもしれません。『海のアリア』は「宇宙人が転校生とやってくる」という設定ではありませんが、でも教師のアリアド・ディデキャンド氏が宇宙人で、音楽の先生として赴任してくるわけです。
そうした意味で、突然「普通の日常」の中に非日常が混ざりあい、そこからは日常の中にいかに非日常が潜んでいるかの連続によってストーリーは進んでいくわけで……よく考えると清水玲子先生の『月の子』もそうですよね。他星から産卵のために地球へやって来たベンジャミン・セツ・ティルトですが、彼らは宇宙人ながら地球人たちの日常に紛れるような形で生活している。もちろん、彼ら人魚族のいるところ、幽霊現象が起きやすかったりもするわけですけど(笑)、『海のアリア』も『月の子』も、ジャンルとしてはSFファンタジーなんじゃないかなと思ったりするわけです。
そして、萩尾先生には『11人いる!』とか、『銀の三角』、『A-A’』など、清水先生にはジャック&エレナシリーズのような、超本格SF作品があって……このくらい遠い未来から見た作品を描けるっていうことは、そうした引いた<視点>があるっていうことですよね。萩尾先生が対談の中でおっしゃっておられるように、>>「SFの目」があれば、長いスパンでものを見られるという。。。
ここからおふたりの話は少し真面目なものに変わって、この対談の頃、ちょうどイギリスのブレグジットの頃だったのかなと思うのですが、そうした政治的な問題にも触れておられます。引用すると長くなるので、大体の意味の要約ということになりますが(汗)、清水先生は>>「EUもぐちゃぐちゃになってきて、巨大な戦争の要因になっていってしまうような気がして……すごく怖いんです」とおっしゃり、萩尾先生は次に第一次世界大戦や第二次世界大戦のことに言及。>>「ああ、ここでこうしておけばよかったのに!」と思うことが結構あって、その時は気が付かなかったり、古い考えに支配された人たちが先送りにしたりして、結局とんでもないところまで行ってしまう」。清水先生は1万年時計について触れられ、そのくらい長いスパンでものを見られれば、ゴミ問題や地球の温暖化の問題や難民問題も「自分はどうせ死んでいるから関係ない」とは考えなくなるのではないか、と。
>>萩尾:「それはすごいですね!原発廃棄物の処理だとかね」
清水:「他人事にはできなくなりますよね」
萩尾:「SF的な発想ができない人というのは、なんとかなる、誰かがなんとかしてくれると思っているんですよね」
清水:「はい。どうしても短いスパンで考えるけれど、想像力を働かせれば、それでいいわけがない」
萩尾:「SF的な発想が必要ですよね」
確かに、自分が死んだあとに地球がどーなろーと知ったこっちゃねえや☆と考える人の比率のほうが高い限り、物事は変わっていかないのではないでしょうか。萩尾先生も清水先生も、SF的な遠く引いた視点から物事を考えられるだけでなく、思想的にも深いものを持っておられるからこそ、作品にも常人離れした表現力が備わっているのでしょう
そして、ここから対談は終わりに近づき、最後は「少女漫画の豊かさ」に触れて終わりとなります。わたし、樹村みのり先生の作品って一作も読んだことないんですけど(汗)、ユダヤ系のお話であるっていう『解放の日』という漫画にすごく興味を持ちました。読んでないものの、タイトル読んだだけで、背景にある問題をすごく調べてお描きになったんだろうな……ということが、すごくわかる気がするので(いえ、ユダヤ人の方の文化について調べるのって、本当にものすごく大変ですから^^;)。
それで、樹村みのり先生のように、そうした難しい社会問題についても少女漫画は描いてきたし、>>「少女まんがは、深刻な問題を読みやすく、とても難しいテーマも読者にわかりやすく深く伝えることができる」と萩尾先生。清水先生:「どんな設定でもお話がしっかりしていれば受け入れるよ、という姿勢が受け継がれていて。少女まんがは、すごく豊かなものだと思います」、萩尾先生:「豊かだと、本当にそう思います」
――といった形で対談のほうは終わりとなりますm(_ _)m
萩尾先生と清水先生のお写真がある意味当然といえば当然ながら掲載されていて……対談のほうが終始なごやかに、楽しいものであったことが読者にも伝わってきます
あ、ちなみにわたし、萩尾先生の『愛するあなた 恋するわたし』の中にある清水先生との対談のほうはまだ読んでないので、そのうちいつか購入しようと思っていたり
それではまた~!!